活動ブログ

平成26年度 スペシャル・マンデー・コース

スペシャル・マンデー・コース

スペシャル・マンデー・コースをまとめた14分の動画です。

(撮影・編集:株式会社らくだスタジオ)

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投稿日: 2015年5月1日

スペシャル・マンデー・コース:練馬区立田柄第二小学校(2015.2.23)

2015年2月23日(月)は、3校の小学校をスペシャル・マンデーコースに迎えました。
午前中1組目は練馬区立田柄第二小学校6年生の皆さん。
練馬からはなかなかアクセスしずらい印象の上野ですが、直通バスでスムーズに上野公園に到着です。

(児童88名、引率教員8名、とびラー12名)
※当日4クラスが来館予定でしたが、学級閉鎖で3クラスになりました。この日に来られなかったクラスの皆さんには日を改めて来館いただきました。

 

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まずは東京都美術館の講堂で、上野公園の9つのミュージアムを紹介し、観賞の流れや美術館でのルールを確認します。「美術館に行ったことがある人?」の問いにちらほら手があがりますが、この日がミュージアムデビュー!という子どもたちもたくさんいたようです。

図工の三田先生は、事前のミーティングで
「美術館でしかできない、本物の作品を味わう楽しさを児童に体験してもらいたい。絵と絵の違いを楽しんだり、自分と友達の見方が違うことに気付いたりしてほしい。今回の美術館見学を鑑賞の授業の1年の総まとめとして位置づけている。この活動が、3月に小学校を卒業する6年生の中学校生活につながれば」
と話してくださっていました。

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全体の説明が終わったあとは、グループにわかれてとびラーと自己紹介。展示室にある絵がプリントされたアートカードを用いて、これから観にいく絵を確認します。

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気持ちの準備が整ったら、展示室に出発です!

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最初の40分間はグループ観賞の時間。作品の前で腰を下ろし、じっくりと観察し意見を交換します。

スペシャル・マンデーは美術館の休館日(もしくは休室日)に行うので、ほかの来場者の方々を気にすること無くじっくりと作品鑑賞することができるのが特長です。リラックスした雰囲気のなか、それぞれのグループから個性的な意見が飛び出します。

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ファシリテーターを務めるとびラーは、子どもたちと一緒になって絵に近づいてみたり、遠くから眺めてみたり、子どもたちの発見をうながす様々な問いを投げかけます。

「新印象派」の作家たちは点描画でさまざまな表現を追究したことで知られていますが、子どもたちも作品を間近に見て、作家たちが行った実験の数々に驚いたようです。

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グループ観賞のあとは個人で観賞する時間。あらかじめ学校でアートカードを見ながら選んでおいた「お気に入りの作品」や、実際に展覧会場で興味を持った作品とじっくり向き合って、「つぶやきシート」に思ったことを書き留めます。

「なにもない空を描いているのがおもしろい」
「本当にこのような都があるのかうたがってしまうほど美しい」
「おくゆきがあって森の道を歩いているようだった」

絵と1対1で向き合っていることがよく伝わってくる言葉が「つぶやきシート」に残されていました。

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観賞終了後は、上野公園の9つのミュージアムでの観賞をサポートする「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼント。4月から中学生になる皆さん。どんどん冒険の範囲を広げて、またミュージアムに遊びに来てくれればと思います。

ーーー

そして後日、6年生全員からとびラーにお礼のお手紙が届きました。
観賞の感想やとびラーへの感謝の気持ちなどがずっしりとつづられた素敵なお手紙でした!
ありがとうございます。ここに一部を紹介します。

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投稿日: 2015年2月25日

スペシャル・マンデー・コース:品川区立浅間台小学校(2015.2.23)

2015年2月23日(月)のスペシャル・マンデーコース、午前中の2組目は品川区立浅間台小学校5、6年生の皆さんでした。
(児童39名、引率教員5名、とびラー6名)

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上野公園で送迎の直通バスを降り、綺麗に列を作って東京都美術館に入って来てくれました。

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まずは図工の吉田先生と東京都美術館の熊谷学芸員が観賞の流れを説明し、美術館でのルールの確認をしました。6年生は、5年生のときに学校の近くの原美術館に見学に行っており、そこで美術館の基本ルールを学んでいますが、5年生はそのほとんどが初めてのミュージアム体験。吉田先生は、事前の授業でワークシートを用意して美術館のイメージや気になる作品について考える時間をつくってくれていました。

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説明が終わったあとは、7〜8人のグループにわかれて担当とびラーとご対面です。「今日はどうぞよろしくね!」
お互いのニックネームやこれから観にいく作品を確認して、いざ展示室へ。

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最初の10分間は、3フロアにまたがって展開される会場をぐるっとまわり、展示の全体像をつかむ空間把握の時間。
そのあとは40分間のグループ観賞の時間。1作品20分ずつ、2作品をグループごとに見ていきます。

「ここはどこなんだろう」「この女の人は誰だろう」「ここに何か描かれているけど何かな」お互いに、問いと意見をぶつけ合いながら対話による観賞は進みます。

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吉田先生は、「展示室で作品をじっくり見ることで、絵と絵の違いを楽しんだり、自分と友達の見方が違うことに気付いたりしてほしい。たくさんの人の前で自分の意見を言う機会はあまりなく、慣れていないのでサポートしてもらえれば」とお話されていましたが、他の来場者がいないスペシャル・マンデーの文字通りスペシャルな空間で、子どもたちは活発に意見を交換することができたようです。

 

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グループ観賞のあとは個人観賞の時間。一人一人、自分のお気に入りの作品を探したり興味を持った作品を観察したりして自分の心の声と対話します。

先生は、子どもたちが風景画が続く展示に飽きるのではないかと少し心配されていましたが、その必要はなかったようでした。3枚(6作品分)用意した「つぶやきシート」にびっしりと思ったことを書き留めるみなさん。

参加とびラーも、毎回子どもたちの発言や行動から多くの気づきを得ていますが、プログラム実施後のふりかえりの時間には
「グループ観賞であまり発言のなかった子も、シートに観察力の高さを伺わせる書き込みをしていたりと、子どもの観賞の仕方も人それぞれなのだと実感した」
「1つの絵を深く観察できる子が多かったように思う。学校での事前の気持ちづくりが充実していたのではないか?」
「子どもの集中力にはいつもハッとさせられる」
と言った意見が出ました。

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観賞終了後は、みなさんに上野のミュージアムでの冒険を続けるためのアイテム「ミュージアム・スタート・パック」が全員に贈られました。

地図をみたり、オリジナルバッジがもらえる呪文を唱えたり・・みなさん熱心に話を聞いてくださり、更なるミュージアムの冒険への準備はバッチリ!と言った感じでした。

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ーーー

後日、みなさんが事後授業で作成した冒険の記録のコピーを送っていただきました。

見た目もいろいろと工夫が凝らされた素晴らしい記録の数々で、作品を目の前にしたときの驚きが伝わってくるようです。

 

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投稿日: 2015年2月23日

スペシャル・マンデー・コース:台東区立東浅草小学校(2015.2.23)

2015年2月23日(月)のスペシャル・マンデーコースの午後の回には、台東区立東浅草小学校の4年生のみなさんが参加されました。 (児童54名、引率教員4名、とびラー16名) 元気よく美術館に到着した皆さん。 _MG_4493 コピー まずは展覧会場の前に集合して、あいうえののプログラムや上野公園にあるさまざまなミュージアムのこと、これから観る展示のことなどを皆さんにお伝えします。 東浅草小学校は去年も4年生を連れてスペシャル・マンデーに参加してくださいました。そのときの体験がとても印象深かったとのことで、担当の渡邉先生が再度、今年の4年生を連れていらしてくださいました。同じ台東区に位置する小学校として上野公園をもっともっと活用していきたいと考えてくださっているとのことです。 _MG_4501 コピー 児童のみなさんは事前の学校授業で「新印象派展」の作品を観ながら気になる作品を選び、その理由をワークシートに記してくれていました。また、渡邉先生がそのときに皆さんから出た疑問をまとめてくださいました。 「どこからこのいう絵をあつめたんですか?」 「美術館にある絵には、どんな意味があるのですか?」 なかなか鋭い質問ばかりでしたが、「美術館は、昔の人やいろいろな国の人が作った貴重な芸術作品を、出来るだけ長く大切にして、より多くの人が観られるように活動しているんですよ」とお話しました。 1835_150527194200_001_ページ_21835_150527194200_001_ページ_1 美術館での観賞のルールなどを確認したあとは、少人数のグループに分かれてとびラーと自己紹介。今回は児童6〜7人のグループに2人のとびラーで対応します。 _MG_4516 コピー さあ、色があふれる「新印象派」の世界に出発! _MG_4537 コピー 最初はグループごとに分かれて、一緒に観賞します。一人一人が「気になる作品」として選んだ作品とは別の作品をまずグループで観ることで、徐々に緊張もほぐれ、発見でいっぱいに。最初は様子を伺っていた子も、元気に手をあげて自分の気づいたことを発表してくれていました。 昨年東浅草小学校が参加したプログラムはジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの展覧会だったので、一人の作家が生涯で描いたさまざまな絵を観賞してもらいました。それとは変わって今回は複数人の画家が同じような手法や実験方法を試している展示です。先生は事前の打ち合わせで、児童のみなさんが一見同じような絵を前に、すべて同じ人が描いた絵だと思ってしまうのではないかと心配されていました。そこでとびラーとも相談し、似たような絵にもさまざまな違いがあること、描いている人やその目的、やり方なども細かく違うことなどを重点的に観察しました。 _MG_4547 コピー _MG_4562 コピー グループ観賞を終えたあとは、一人一人「つぶやきシート」を首からさげて、個別観賞の時間です。学校で作品の写真を観て「もっとよく見てみたい!」と思っていた絵と、じっくりご対面。他の来場者がいない月曜日の静かな館内で、まわりを気にすることなく自分と絵の二人だけの対話を楽しみます。 _MG_4582 コピー 新印象派の作家たちが試行錯誤を繰り返した色彩の実験について紹介しているコーナーに見入る子どもたちも。展覧会の楽しみ方は十人十色ですね。 _MG_4580 コピー 観賞の時間が終わったあとは、参加者全員に上野公園のミュージアムでのさらなる冒険をサポートする「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼント。各館でオリジナルバッジを集めながら、自分だけの冒険の記録をつくれるセットです。 _MG_4606 コピー 最後は「ありがとうございました!」と元気よく挨拶していただきました。是非また上野の森に冒険しに来てくださいね! _MG_4612 コピー

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投稿日: 2015年2月23日

スペシャル・マンデー・コース:足立区立足立入谷小学校(2014.11.10)

11月10日午前、足立区立足立入谷小学校の5年生が東京都美術館にやってきました。アクセスのハードルを解消するサポートのひとつ、直通バスの利用で学校からラクラク30分。東京都美術館の特別展「ウフィツィ美術館展」を鑑賞します。
(児童28名、引率教員3名、とびラー6名)

到着したこどもたちは、展示室入口脇の、普段は休憩スペースとして使われている場所に集合しました。一般来館者のいない、学校来館のためだけに開かれたスペシャルな日だからこそ、このように自在に場所をレイアウトできます。
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引率の後藤先生(図工教諭)と、東京都美術館の熊谷学芸員から、今日の活動の説明や、展示室のマナーなどのお話があり、次に、アート・コミュニケータ(とびラー)とも「こんにちは!」。

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4-6名のこどもたち+とびラー1名の小グループです。
自己紹介したり、これからグループで一緒に見る作品について話したり。実はこのグループは「好きな作品」ごとに編成されたグループです。貸出しアートカードを使った学校の事前授業で「気になる作品」を各自選出。同じ作品を選んだ子ごとにグループが作られました。普段の生活班とは違う、今日のためのグループ。少し新鮮でしょうか。

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グループでの鑑賞は2作品、40分の時間がとってあります。いつもとは違って混んでいない展示室。作品の前に座ってゆっくり見ます。そして思いついたこと、気がついたこと、発見したことを互いに話しあい、とびラーが進行します。

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威勢良く次々と手が挙がっています。よほど発見がたくさんだったのでしょう。
引率の図工の先生が嬉しい感想を残してくださっています。

とびらーさんは、まさにこどもと作品をつないでくださる、よきパートナーです。つまらなそうだなんて言っていた男の子も、目を輝かせてしっかり意見を言っていました。くったくのない、こどもならではの目線の意見がたくさん出ていたので、心が温まるような安心感を得ました。

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グループ鑑賞の後は、個別鑑賞。3フロアある広い展示室、全作品が掲載された会場MAPを手に、30分間、たくさんの作品に囲まれて、ひとりで過ごします。ゆったり巡り、立ち止まり、気がついたことを書きとめ、考え込んだり、想像したり、推理してみたり。
map←1階部分(MAPはプロジェクトアシスタントのお手製です!)

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展示室に入ってから約1時間半後。再び最初の場所に集合です。今日をきっかけに上野公園の9つのミュージアムを冒険するためのアイテム、ミュージアム・スタート・パックが全員に贈られました。

ーーー
後日、学校からこどもたちのビビハドトカダブックが届きました!
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事後授業で、各自の発見や体験をかき込んだビビハドトカダブックを発表しあう活動が行われたそうです。「投影機でノートを見あい、みんなの様々な視点を発表しました」と先生から報告をいただきました!

(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

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投稿日: 2014年11月10日

スペシャル・マンデー・コース:台東区立金竜小学校(2014.11.10)

11月10日午前、足立入谷小学校に続き、台東区立金竜小学校の3年生も元気に東京都美術館に到着しました。(児童3年生:58名、引率の先生:3名、とびラー:15名)

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1学期に社会科の地域学習で、自分たちの住む台東区について学んだ3年生は、上野公園内に文化施設がたくさんある、ということを知っています。今日はそれをより具体的に、どんな文化施設があるの?どんな宝物があるの?を、体験を通して知る日になります。図工や美術の授業枠での申込が多い中、金竜小学校は総合学習の時間枠での申込で、今回は、担任の先生、図工の先生、そしてあいうえのスタッフの3者が協力してオリジナル授業プランを考えました。

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東京都美術館のアートスタディルームで活動準備です。「ここは東京都美術館。上野公園にはたくさんの文化施設があるけれど、まずは東京都美術館の展示を見てみよう、外国からやってきた宝物(作品)を見てみよう」と、特別展「ウフィツィ展」への導入です。
6-7名のこども+アート・コミュニケータ(とびラー)1-2名の小グループで、これからグループで鑑賞する作品を紹介しています。

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そして展示室へ。グループ鑑賞は30分で2作品。とびラーが進行し、こどもたちは気がついたことをグループ内で共有していきます。会場でグループ鑑賞の様子を見ていると、こどもたちの雄弁さ、気づきのポイント、そしてグループ内での発見の連鎖に驚かされます。(この記事下のとびラー古保さんのコメントに詳しくあります!)

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続いて個別鑑賞。事前打合せで先生は「3年生なので集中力が持つかどうか…グループ鑑賞だけでもいいかな」と個別鑑賞を心配されていましたが、今日は一般来館者がいない、ほぼ貸切状態の落ち着いたスペシャルな展示室。とても集中して楽しんでいたようでホッとしました。
ひとりでの鑑賞時につぶやきを書きとめたワークシートです↓
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どうして赤ちゃんに頭をさげているのか不しぎでした。ぼくは赤ちゃんが神様なのかなーと思いました。

ーーー

展示室を出て、再びアートスタディルームへ。「上野公園の9つの文化施設を知ろう!」という活動です。
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東京都美術館の稲庭学芸員が進行します。上野のミュージアムを冒険するためのアイテム、ミュージアム・スタート・パックが全員に贈られました。

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ミュージアム・スタート・パックの中のビビハドトカダブックには、9つのミュージアムの基本情報が載ったガイドページがあります。
今日のこどもたちのグループ数は9グループ。各グループに1施設ずつ割当てられ、こどもたちはガイドページを頼りに各施設の穴埋めクイズを埋めていきます。写真は国立西洋美術館グループ、ブックを調べて書き込んでいます。

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こちらは国立科学博物館グループ。穴埋めプリントには「建物の外にある大きな目印の動物は___です」とあります。ブックを調べ・・・答えは・・・くじら!

この後、グループごとに発表しあい、上野公園のミュージアムをみんなで学びました。そして、今日は東京都美術館の宝物を鑑賞しましたが、ぜひ次は他のミュージアムへも冒険を続けてほしいと伝えました。
すると、後日届いた、こどもからとびラーへのお手紙に嬉しい声が!
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お手紙が「とびラーさんへ」となっていることからもわかるように、プログラムを通して、こどもたちは、とびラーをとても身近に感じてくれたようです。
とびラーもまた、こどもたちとの出会いや、一瞬一瞬にハッとすることが多いとのこと。とびラーに、鑑賞中の出来事や、伴走する中で感じたことを綴ってもらいました。

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古保説子さん(アート・コミュニケータ/1期生)

先ず、展示室散歩(空間になれるためにぐるっと展示室をひと巡り)から、「暗いね」「地下だからじゃない?」「涼しいね」と美術館の佇まいに関してみんなが口にする場面。事前にお約束した通り、小さめの声ながら美術館に居る興奮が伝わってきました。

さて、みんなで見る、今日一番目の作品です。
パルトロメオ ・ディ・ジョバンニ≪砂漠で悔悛する聖ヒエロニムス≫
180㎝の大きな正方形を遠くから見ました。真ん中に人物と周りに岩が見えてきました。近付いていくと、次々に発見があります。
「男の人」「いくつかな?」「おじいちゃん」「筋肉があるから・・・もっと若いよ」
「何かを見ている」「はりつけの人を見てる」
「手に何か持ってる」「何だろう?」「肉?」「ジャガイモ?」
「ライオンがいる!」「お尻に噛みつくのかな?」「大人しそうだよ」

それでは画面を縦横に分けますよ。右下から少しずつ見てみよう。
「骸骨」「怖い」「着物の裾に金の模様が入っている」「本」「4冊ある」
「赤い帽子」「お皿」「お皿に模様が入っている」
「男の人の頭に金のお皿がある」「カッパか?」「ロウソク立?」「後ろの両側にも小さなライオンがいる」「はりつけの人は血が出ている」「空が青い」「砂漠じゃないみたい」「木がある」「ラクダがいる」

はりつけの人の棒はどこに立ってますか?
「岩の中」「後ろだよ」「はりつけの人が小さい」「遠くにある」「何か変?」

たくさん意見が出ましたが、ここで15分。次の作品へ移ります。一階へ行こうと角を曲がった時、19番の作品にみんなの眼が止まりました。
「ライオンがいる!」「はりつけの人が いる!」「赤い帽子がある!」「手に何か持ってる!」「さっきのはりつけの人より太ってる!」「同じ人?」「頭に金の輪があるよ!」「ない!」「こうやって下から見ると見えるんだよ」「本当だ!」「見えた!」

私も床に片膝をついて、ヒエロニムスの金の輪っかを発見しました。金竜小学校3年D班はこうして、両作品の画面の中から共通項を見出したのでした。宗教画の聖人の持ち物のお約束を知るのではなく、一つの作品をじっと見てみんなで考えていたら、その先に同じ聖人が、みんなの方を見てライオンを従え石を握っていたのです。

二番目の作品は少し散漫な鑑賞になりましたが、今日は十分にみんなで絵を見る楽しさと、発見する楽しさを味合せて頂きました。本当にみなさんとご一緒させて頂きまして、ありがとうございました。
帰り際の一言「今日はお酉さんだよ!」さすが浅草の小学生ですね。

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(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

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投稿日: 2014年11月10日

スペシャル・マンデー・コース:明晴学園(2014.11.10)

11月10日の午後、明晴学園の1年生-6年生のこどもたちがやってきました。明晴学園は私立の聾学校で、みんな手話でコミュニケーションをしています。にぎやかでないのに、ものすごいエネルギーを感じる、こどもたちの身体中から溢れ出す表情やパワーに圧倒されました。
(児童:小学1-6年生:33名、引率の先生・手話通訳:9名、とびラー:23名)

【事前学習】
これまでのスペシャル・マンデーでは、1つの学校から1学年(もしくは隣接する2学年)の来館でしたが、今回は1-6年生と幅のある児童の来館だったため、先生が事前授業をこどもたちの年齢に応じて工夫してくださいました。
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写真は1-2年生の事前学習に用いたシートです。大きな作品から、小さな要素を抜き出し、「これはどこにある?」とクイズのように探し出しながら作品をよく見る活動をしてきてくださいました。(※事前打合せの際、絵本『名画で遊ぶ あそびじゅつ!』(エリザベート・ド・ランビリー作/長崎出版)を参考にしながら、先生とこの活動を考えました。)

 

【当日】
バスを降り、秋晴れの上野公園を抜けて東京都美術館に到着。特別展「ウフィツィ美術館展」を鑑賞します。
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展示室入口脇のホワイエで、手話通訳の先生と共に、今日の活動の説明などを行いました。
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スタッフは手話ができないので、手製のフリップボードを用意しておきました。

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進行は手話通訳の方との連携です。グループ鑑賞のときには、進行とびラー、手話通訳の方、そしてこどもとが対話を重ねました。とびラーの立ち位置、作品との距離、作品と手話の両方を行き来する目線の動き、やってみてこそわかる、工夫するポイントがいろいろありました。

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5-6年生チームのグループ鑑賞の様子です。初めての聾学校との鑑賞授業にスタッフ・とびラー共々、少しどきどきしていましたが、1週間前のとびラーとの準備日に様々な場面を想定しながら準備をした甲斐あって、こどもたちからは活発に発見や気づきが飛び出しました。

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こちらは1-2年生チームのグループ鑑賞。たくさんの手が挙がります。とびラーが先生から伺った話として、後のふりかえりで興味深い報告をしてくれました。
「普段の学校生活で、手をあげ、指名されて発言する場面というのは、大抵“正しい答え”があり、『そうですね、正解です』という返答が多いけれど、今日の対話による鑑賞では、“正しい答え”を導き出すのではなく、個々の気づきを発するため、『ああ、そんなところに気がついてくれたんですね』という戻しが多い。それでこどもたちは面白くなって、次々と手を挙げて活発に発言するようになったみたいだ」と。

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つづいて個別鑑賞の時間です。
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高学年はひとりで鑑賞しますが、1-4年生には、とびラーがマンツーマン、あるいはこども2名に1名が寄り添い、伴走しました。

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とびラーは磁気ボード(愛称「とびらボード」)を使い、必要な場合にはこどもと筆談します。
つぶやきシートにも、スケッチで気になる作品を描きとめたり、ことばで発見をメモしたり。
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展示室から出て、再集合。ミュージアム・スタート・パックをプレゼントしました。ビビハドトカダブックの説明をして、ミュージアム冒険の合い言葉を手話で伝授!みんなで手話で復唱しながら覚えます。「ビ、ビ、ハ、ド、ト・・・」

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最後に集合写真。

 

【事後授業】
学校の文化祭で、今回の鑑賞授業を紹介して下さったようです。保護者の方にも、今回の鑑賞授業がとても好評だったと、先生から伺いました。
DSCF3689展示されているのはこどもたちの鑑賞レポート。事後学習でひとりずつ美術館での体験のまとめを作成したとのこと。鑑賞レポートも後日、送っていただきました!
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高学年の鑑賞レポート。「美術館に行く前」と「行った後」の比較があったり、グループ鑑賞での対話を思い出させるような吹き出しがあったり、こうして、学校でも美術館での体験を思い返す機会を持っていただけてとても嬉しいです。

今後も上野のミュージアムを楽しみ続けてもらえたらと願っています。

(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

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投稿日: 2014年11月10日

スペシャル・マンデー・コース:墨田区立小梅小学校(2014.9.8)

9月8日午前、墨田区立小梅小学校の6年生が東京都美術館に到着しました。通常なら月曜は閉室している特別展「メトロポリタン美術館 古代エジプト展ー女王と女神」ですが、今日は学校の授業で来館するこどもたちのために特別に開かれています。普段は一般の来館者で大変混み合う展覧会場が、今日はとても静かで落ち着いています。スペシャル・マンデー・コースは名の通り、鑑賞に適した“スペシャルな環境”をこどもたちに準備しています。

学校の先生も、こどもたちがその“スペシャル”を十分に楽しめるよう、学校で事前授業を行い当日に向けた準備をしてきてくださいました。下記は事前授業のワークシート。「美術館ってどんなところだと思う?」という問いかけから、グループ鑑賞で見る作品や、個人鑑賞で見る作品を選出し、気になるポイントもまとまっています。このように、こどもたちの気持ちが「これ見るぞ!」という状態になっていることは、当日の活動に大きく役立ちます。
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美術館に到着した小梅小学校のこどもたちは、アートスタディルームという部屋に集合しました。同時に来館している足立区立栗島中学校とは別々の進行です。
(児童46名、引率教員4名、とびラー16名)
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東京都美術館の熊谷学芸員より、今日の活動の流れや、これから見る展覧会についてお話がありました。
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上のスライドは、小梅小学校のすぐ隣にある牛嶋神社の「撫で牛」。この牛の脚や背中など、自分の身体の痛い部分と同じ部分を撫でると良くなると言われているそうです。また牛嶋神社は数年に1度大きなお祭りがあり、本物の牛が町内を清めて回り、こどもたちも参加して神輿や山車で賑わうとのこと(学校の近隣に住むアート・コミュニケータが教えてくれました!)。

本日鑑賞する展覧会には、牛など動物の姿をした女神が多く出品されています。古代エジプトの牛と神様について、こどもたちに身近な地域文化の話からアプローチしました。

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全体への話の後、グループごとに活動です。アート・コミュニケータとこどもたちが自己紹介をし合ったり、これからグループで見に行く作品を確認したり。

そして準備ができたグループから展示室へ。

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まずはグループ鑑賞です。1グループは、5〜6名のこどもたち+2名のとびラー。
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グループ鑑賞では、とびラーが問いかけや進行を担い、こどもたちは、気がついたことや発見したことを互いに口にしていきます。誰かと交わりながら鑑賞すると、自分では気付かなかったことに気付くことや、自分とは違う見方や価値観に出会うことができます。

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こどもたち同士でも活発に意見交換する姿も見られました。

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つづく個別鑑賞では、ゆったりした環境を最大限に使って40分間の鑑賞です。気がついたことを手元の「つぶやきシート」に書き込んでいました。

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鑑賞後は再びアートスタディルームに集合。上野の9つのミュージアムをめぐるための「ミュージアム・スタート・パック」が全員に贈られました。上野のミュージアムマップを眺める姿。
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このブックは美術館だけでなく、動物園や科学博物館、子ども図書館など各文化施設の専用ページがあり、各施設をこどもたちが利用する際の応援アイテムです。リング製本で表紙が行き先に合わせて変えられるようになっていて、写真は東京都美術館のページ。

今日は学校で東京都美術館に来ましたが、次回は家族や友達と自分の関心に応じて行き先を決定し、ミュージアム冒険を続けてもらえたらと思います。

 

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小梅小学校のプログラムには、16名のアート・コミュニケータが伴走しました。中には年休を取って参加する人もいます。皆、こどもたちとの鑑賞の場に居合わせることを楽しみにしていて、当日はこどもたちの視線から学ぶこともあり、こどもと大人が学び合う場です。今回初めて参加したふたりのアート・コミュニケータからの声を紹介します。

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藤田琳さん(アート・コミュニケータ/3期生)

大学では小学生と関わることがないのでしっかりやれるか不安でしたが、はじまってみると子どもたちと一緒になってエジプト展を楽しむことができました。

グループ鑑賞の時間では、古代エジプトの楽器シストラムを前に、
「写真で想像してたよりも大きくて重そう!」「説明の文には楽器って書いてあるけれど、本当かな?」「穴があいているからリコーダーみたいに吹くんだよ!」「お線香を穴に差すんじゃない?」と、解説文にとらわれず、目の前の「本物」に向き合って想像を爆発させていました。

私も事前に何度か作品を見ていたはずなのに、一人で見たときには気付かなかったこと・想像もしなかったことがたくさん出てきて、本物をじっくり見るってすてきだな、面白いな、と感じました。子どもたちのミュージアム・スタートの日は、私にとってミュージアム・リスタートの日だったなと思います。
はじめての美術館でじっくり作品に向き合った後の子どもたちは少し疲れている様子でしたが、まだまだ見たい作品があるようで、また見に来るね!と言ってくれました。とても嬉しい瞬間の数々に立ち会えて、また私自身めいっぱい楽しむことができて、とてもすてきな月曜日でした。

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新西美樹さん(アート・コミュニケータ/3期生)

グループで鑑賞した「二人の王女のレリーフ」。最初は、素材や製法などぱっと見てわかるところが話題にのぼりました。レリーフに描かれているのは、高低差のある配置の2人の人物の頭~胸の部分。

「肩に手をまわしているのは、親しいからではなく上から押さえてるんじゃない?」「ほら、こんな風に。」「じゃ、こっちの人は跪いてこういう感じかな?」—男子2人が身体を動かして、レリーフにない胸から下の部分にも思いを馳せていきます。
「(2人の顔から)吹き出しが出てそう。」「きみ、クビだよ、とか」えぇっ、会社の関係!?—とこちらの思いもしないシチュエーションを絵の中に見出します。
「でも、王女だから姉妹で、こっちが姉かな?いじめてるんだよ、妹を…」3000年以上前のレリーフが、今も昔も変わらぬ兄弟ケンカの1シーンとして、最後は共感していたようです。

30cm四方のひんやりとした石片から、あたたかな人間味を息吹として感じとる→それを伝える→受け取った仲間の心もほっこりする…そんな素敵な連鎖反応を傍らで感じられたことに感謝です。

(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

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投稿日: 2014年9月8日

スペシャル・マンデー・コース:足立区立栗島中学校(2014.9.8)

9月8日午前、足立区立栗島中学校の中学生が東京都美術館に到着しました。中学1年生〜3年生までの混合クラスです。美術館へのアクセスは、美術館と学校を繋ぐ無料の直通バス。スペシャル・マンデー・コース特有のサポートの一つで、アクセスの困難を解消しようとバスを無料で学校に配車し、先生方に非常に喜んでいただいています。
(生徒19名、引率教員8名、とびラー13名)

到着したこどもたちは、特別展「メトロポリタン美術館 古代エジプト展ー女王と女神」の展示室入口横のスペースに円形に座ります。普段はこのスペースは一般来館者のための休憩スペースですが、今日は閉室している展覧会を学校プログラムのために特別にオープンしているため、このように自在に空間をアレンジして使うことができます。
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まず、東京都美術館の稲庭学芸員より、美術館についてや、今日鑑賞する展覧会の作品がアメリカのメトロポリタン美術館から、飛行機やトラックで、大事に大事にこちらに運ばれてきたことなどが紹介され、美術館てどんなところ?ということを伝えました。ほとんどのこどもたちは今日が初めての美術館体験!美術館というものを知ることも、今日の目的のひとつです。

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続いて、アート・コミュニケータとこどもたちがグループごとに自己紹介をしたり、グループでこれから見に行く作品を確認したりしました。先生によると、親でも先生でもない初対面の大人たちと活動することは、生徒たちにとって大きな学びの機会だと、普段から校外学習の折には大切になさっているとのことでした。

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グループ鑑賞ではアート・コミュニケータの問いかけに、こどもたちは気がついたことや疑問に思うことなどを口にしていきます。作品から導かれた推理や発想が連なっていく楽しさがあります。(下のとびラー古海さんのコメントに詳しくあります!)

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そしてつづく個別鑑賞。ひとりで作品と向き合う機会は初めてだと先生から伺っていましたが、作品の前で佇み、注意深く鑑賞する姿が見られました。(こちらは、下のとびラー山木さんのコメントに詳しくあります!)

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鑑賞を終えたこどもたちは、再び集合。最初は緊張気味な面持ちでしたが、戻って来たこどもたちの表情は少しほぐれた感じの生徒が多く、ほっとしました。

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そして帰りも直通バスで学校に戻ります。今日の初めての美術館体験がこどもたちの心に静かに残り、水面(みなも)が広がるように、今後もじわじわとこどもたちの中でミュージアムへの想いを広げていってくれたらと願っています。

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参加したアート・コミュニケータは、当日遭遇する場面場面でそれぞれの状況をよく見て、状況に応じた生徒のみなさんとの関わり方やコミュニケーションを考えていきます。活発な言語でのやりとりがなくても、沈黙や間、こどもたちに送る眼差しなど、コミュニケーションの有り様は様々です。
山木さんは個人鑑賞のことを、古海さんは全体の流れの中でグループ鑑賞中のこどもたちの推理の連鎖に心を踊らせつつ、心に留まるH君を先生と連携しながら温かく見守る眼差しを記録に残してくださいました。

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山木薫さん(アート・コミュニケータ/1期生)

栗島中学校の生徒たちは個人鑑賞で「つぶやきシート」に言葉や絵を残してくれました。それはエジプトの秘宝のようなきらめく言葉、生き生きとした絵、鑑賞の証しです。生徒たちが本物の美術品を前にして体の中から自然と湧きあがった感情やその場で得た知識を、無心で言葉や絵に置き換えた鑑賞の足跡です。

担当したグループの生徒たちの個人鑑賞の光景が鮮明によみがえります。
グループの仲間の発言に深くうなずき、個人鑑賞でシートに自分の思いをグループ鑑賞に併せてつづる女子、1つ1つ言葉を横で見守るとびラーに確認しシートに呟きながら書く男子、緊張した面持ちで事前に選んだ秘宝に飛んで行き夢中になってシートに黙々と書くことに没頭する男子、移動中にすれ違う生徒たちをとびラーの耳元でそっと紹介する男子。美術に対する興味の持ち方や知識は、個人差がありますが、純粋な温かい心を持った生徒たちです。

個人鑑賞時間は、生徒たちの反応を生で感じられる至福の時間でもあります。

付き添いの先生方の温かい視線を背に受けてのスペシャル・マンデー、静寂な美術館の会場でゆっくりと確実に鑑賞が広がっていきました。まるでハトホル女神のような牛歩の速度で・・。ライブ感あふれる栗島中学校の鑑賞会の余韻に浸りつつ、生徒たちと美術館で再会できる日を心待ちにしています。

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古海博久さん(アート・コミュニケータ/2期生)

1ヶ月以上前からのプロジェクトスタッフの入念な準備にもとづき、我々とびラーも1週間前の事前レクチャーに続き、朝9時からショートブリーフィングで最終確認を済ませ生徒たちの到着を待ちます。私は5班の4人の男の子を、進行役とびラーのNさん、ママさんとびラーのKさんとの3人で担当です。

9時45分、幾分緊張気味に整然と列を作って現れました。白ワイシャツに黒ズボンという夏制服にお揃いの大きい手提げかばん。背が高くがっしりタイプのH君は固い表情で前を見つめたまま口を開かず我々は内心オロオロ。スタッフ・リーダーのガイダンスが終わると班毎に、さあ古代エジプトの世界へ出発です。
まずは3フロアにまたがる展示の様子を知るために10分程で全体を回ることにしました。4人ともキョロキョロ黙々と歩いて行きます。気になるH君にそっと話しかけても固い表情はほどけないのでここは無理せず担任の先生にお任せしました。

班内で事前に決めた皆で見てみたい作品の鑑賞に入ると、それまで静かだったN君から「色はぬっているのですか、それとも色の付いた石ですか?」と丁寧な質問とともに笑顔で「これハトシェプストですね」って舌をかみそうな王女の名前がスラっと口をついてビックリ(良く勉強してました!)。
「ヤマネコで飾られたカフ風のブレスレット」ではR君が鋭い観察で抜け落ちているパーツを指摘した上で、その色を残っているパーツから推理。いよいよ乗ってきたようです!さらに近くの「首飾り」を発見し、さっきの「ブレスレット」とペアで着けていたのでは?と推理・・・凄い!この後の個人鑑賞でも、R君は「ヘネトタウィの人型内棺」に描かれた女性神官の腕を見て「あっ」と声を上げた。腕に描かれているのはさっきの「ブレスレット」に違いないと・・・もう最高潮!

最後まで固い表情が消えなかったH君でしたが、最後に担任の先生が彼の耳元で何かささやいた時にふっと見せた微笑みが忘れられません。先生は何ておっしゃったのだろう?

(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

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投稿日: 2014年9月8日

スペシャル・マンデー・コース:台東区立金曽木小学校(2014.9.8)

9月8日の午後、台東区立金曽木小学校の4年生が直通貸切バスに乗って元気に到着しました。東京都美術館の特別展「メトロポリタン美術館 古代エジプト展ー女王と女神」を鑑賞します。
午後の展示室は完全に金曽木小学校だけ!本当に貸切状態です。
(児童59名、引率教員4名、とびラー27名)

こどもたちは夏休み明け、図工の授業で先生と今日のための事前授業をしてきています。以下は先生作成の事前授業のワークシート。これまでの美術館経験を尋ねるアンケートに加え、あいうえのからの貸出し鑑賞ツールを使って各自「気になる作品」を選び、その選出理由をそれぞれの言葉で書きとめた活動の様子がわかります。 ↓

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このような事前授業は、こどもたちが当日イヤイヤ連れて来られるのではなく「本物を見たい」「このことを確かめたい」という気持ちで来館するためにとても重要な活動です。あいうえのは、先生との事前打合せで、授業内容を共に考えると同時に、鑑賞ツールの貸出しなどで事前授業の実施をサポートしています。

そして当日。
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展示室入口脇のスペースにこどもたちが班毎に到着しました。周りに見えるコンテナに手荷物を入れて身軽になります。

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あいうえの運営チームは、東京都美術館と東京藝術大学が連携しています。会場は東京都美術館ですが、東京藝術大学の長尾より、金曽木小学校のみなさんに挨拶や活動の説明がありました。写真は展示室のマナーを確認しているところ。学校の事前授業で確認してきているので、マナーを尋ねるとこどもたちの手が勢いよく挙がります。

そして展示室へ。
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まずはじめは、アート・コミュニケータ(とびラー)と一緒にグループ鑑賞です。1グループは、こども4〜5名にとびラーが2名。
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発見したこと、気がついたこと、疑問に思うこと。複数の目で丁寧に作品を観ながら、見つけたことを共有し、新たな視点を得ながら、「モノをみる」という行為を経験していきます。グループ鑑賞の時間は30分。各グループ2作品見れたようです。
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続いて個人鑑賞。
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事前授業で「気になる作品」として選出した作品を見に行きます。事前授業ではアートカードでしか見られなかった作品ですが、展示室で本物を目の前にすると、その大きさに驚いたり、作品からのエネルギーを浴びるように感じたり、作品の後ろ側で新たな発見をしたり。作品の前にじっと佇むこどもの姿をよく見かけます。
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また、個別鑑賞の際には、気がついたことを書きとめるメモとして「つぶやきシート」を用意しています。スケッチでメモするこどもも、文字でメモするこどももいて使い方は様々ですが、書きとめることで作品を交えた自分自身との対話がすすむ様子を感じることもしばしばです。個別鑑賞の時間も約30分。

 

グループ鑑賞・個別鑑賞を終え、展示室から最初の集合場所に戻ると、椅子の上にプレゼントが!ミュージアム・スタート・パックが全員に贈られました。

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地図ページをひらいて、上野公園の9つのミュージアム(冒険の行き先)を確認します。事前授業で「上野公園にはいくつミュージアムがあると思いますか?」の質問に5つと答えたこどもも、50個!と答えたこどもも、ぜひ、このブックを携えて9つのミュージアムをめぐる冒険に出発してくれたらと思います。

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当日は27名のアート・コミュニケータ(とびラー)が、こどもたちの傍らで伴走しました。鑑賞の現場での出来事や、伴走する中で感じたことを綴ってもらいました。

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近藤乃梨子さん(アート・コミュニケータ/2期生)

展示室に入るやいなや「あれは何!?」「これは?」と気になる作品にまっしぐらに進むこどもたち。学校とは違う美術館の空間にはじめはそわそわした様子でしたが、班で作品を見始めるとぐっと集中し、たくさんの発見がありました。
「上と下の場面は実は繋がっているみたい」「上の人達は王族で下は平民」「採ってきたものを運んでいる」…。古代エジプトの人が表現したことを、ちゃんと自分の眼で受け取っていました。

こどもたちの声に、私も1人では見落としていたことに気付くこともあります。「エジプトの人も鞄をもっていたのかな?」という疑問に、イメージだと手ぶらだけど実際はどうだったんだろう…?と一緒に考えることもありました。この日一番印象に残っているのは、発掘の記録映像をじっと見ていた男の子の後ろ姿です。もしかしたら、彼の将来の夢は「考古学者」になるかもしれません。

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小松一世さん(アート・コミュニケータ/3期生)

閉室日の展示室を独占できるまさにスペシャルな鑑賞授業は、「走らない、騒がない、触らない」という美術館のお約束事を守りながらも、和やかな雰囲気ですすみます。思わずスキップしそうになるところをお友だち同士で制しながら展示室に入る様子はとても微笑ましく、好奇心旺盛なこどもたちの高揚感と緊張感がうかがえました。

私が担当したグループは男子3人女子2人。選んだ作品はカノポス容器でした。上部(頭部)の可愛らしさが選んだ理由らしく「ふくろうかな?」「だるまにも似てるね」と、しばしそのキャラクター性が語られましたが、「ミイラを作るときに内蔵を取り出して入れたもの」と知るや、途端に“さっき観た発掘の記録映像”が思い出され、「痛くなかったのかな?」と、リアルなイメージが膨らみます。「内蔵のどの部分が入ってるんだろう?」「どうしてこの形(顔)にしたんだろう?」「ちゃんと天国に行けたかな?」・・・さらにはディテールの美しさにも言及して、子どもたちの興味は限りなく広がってゆきました。3500年もの時を超えて生命の繋がりへと想いを馳せることができるのも“本物”を前にしているがゆえでしょう。

グループ鑑賞で元気に意見を交わしたこどもたちは、個人鑑賞では一転して寡黙に作品と対峙します。ガラスケースの中の小さな作品に真剣な眼差しを向けながらスケッチする姿を目にして、彼らのミュージアム・スタートに立ち会えた喜びを感じました。(とびラーになって本当に良かった!)

「ありがとうございました〜」と元気な声を残して帰るこどもたちの後ろ姿を見送りながら、再会を願わずにいられません。一緒に鑑賞した作品のこと、ひとときを共有したあの空間のこと、いつか思い出してくれるでしょうか?今日の思い出が再び美術館を訪れるきっかけになれば尚嬉しく思います。

(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

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投稿日: 2014年9月8日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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