活動ブログ

平成26年度 スペシャル・マンデー・コース

スペシャル・マンデー・コース:足立区立栗島中学校(2014.9.8)

9月8日午前、足立区立栗島中学校の中学生が東京都美術館に到着しました。中学1年生〜3年生までの混合クラスです。美術館へのアクセスは、美術館と学校を繋ぐ無料の直通バス。スペシャル・マンデー・コース特有のサポートの一つで、アクセスの困難を解消しようとバスを無料で学校に配車し、先生方に非常に喜んでいただいています。
(生徒19名、引率教員8名、とびラー13名)

到着したこどもたちは、特別展「メトロポリタン美術館 古代エジプト展ー女王と女神」の展示室入口横のスペースに円形に座ります。普段はこのスペースは一般来館者のための休憩スペースですが、今日は閉室している展覧会を学校プログラムのために特別にオープンしているため、このように自在に空間をアレンジして使うことができます。
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まず、東京都美術館の稲庭学芸員より、美術館についてや、今日鑑賞する展覧会の作品がアメリカのメトロポリタン美術館から、飛行機やトラックで、大事に大事にこちらに運ばれてきたことなどが紹介され、美術館てどんなところ?ということを伝えました。ほとんどのこどもたちは今日が初めての美術館体験!美術館というものを知ることも、今日の目的のひとつです。

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続いて、アート・コミュニケータとこどもたちがグループごとに自己紹介をしたり、グループでこれから見に行く作品を確認したりしました。先生によると、親でも先生でもない初対面の大人たちと活動することは、生徒たちにとって大きな学びの機会だと、普段から校外学習の折には大切になさっているとのことでした。

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グループ鑑賞ではアート・コミュニケータの問いかけに、こどもたちは気がついたことや疑問に思うことなどを口にしていきます。作品から導かれた推理や発想が連なっていく楽しさがあります。(下のとびラー古海さんのコメントに詳しくあります!)

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そしてつづく個別鑑賞。ひとりで作品と向き合う機会は初めてだと先生から伺っていましたが、作品の前で佇み、注意深く鑑賞する姿が見られました。(こちらは、下のとびラー山木さんのコメントに詳しくあります!)

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鑑賞を終えたこどもたちは、再び集合。最初は緊張気味な面持ちでしたが、戻って来たこどもたちの表情は少しほぐれた感じの生徒が多く、ほっとしました。

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そして帰りも直通バスで学校に戻ります。今日の初めての美術館体験がこどもたちの心に静かに残り、水面(みなも)が広がるように、今後もじわじわとこどもたちの中でミュージアムへの想いを広げていってくれたらと願っています。

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参加したアート・コミュニケータは、当日遭遇する場面場面でそれぞれの状況をよく見て、状況に応じた生徒のみなさんとの関わり方やコミュニケーションを考えていきます。活発な言語でのやりとりがなくても、沈黙や間、こどもたちに送る眼差しなど、コミュニケーションの有り様は様々です。
山木さんは個人鑑賞のことを、古海さんは全体の流れの中でグループ鑑賞中のこどもたちの推理の連鎖に心を踊らせつつ、心に留まるH君を先生と連携しながら温かく見守る眼差しを記録に残してくださいました。

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山木薫さん(アート・コミュニケータ/1期生)

栗島中学校の生徒たちは個人鑑賞で「つぶやきシート」に言葉や絵を残してくれました。それはエジプトの秘宝のようなきらめく言葉、生き生きとした絵、鑑賞の証しです。生徒たちが本物の美術品を前にして体の中から自然と湧きあがった感情やその場で得た知識を、無心で言葉や絵に置き換えた鑑賞の足跡です。

担当したグループの生徒たちの個人鑑賞の光景が鮮明によみがえります。
グループの仲間の発言に深くうなずき、個人鑑賞でシートに自分の思いをグループ鑑賞に併せてつづる女子、1つ1つ言葉を横で見守るとびラーに確認しシートに呟きながら書く男子、緊張した面持ちで事前に選んだ秘宝に飛んで行き夢中になってシートに黙々と書くことに没頭する男子、移動中にすれ違う生徒たちをとびラーの耳元でそっと紹介する男子。美術に対する興味の持ち方や知識は、個人差がありますが、純粋な温かい心を持った生徒たちです。

個人鑑賞時間は、生徒たちの反応を生で感じられる至福の時間でもあります。

付き添いの先生方の温かい視線を背に受けてのスペシャル・マンデー、静寂な美術館の会場でゆっくりと確実に鑑賞が広がっていきました。まるでハトホル女神のような牛歩の速度で・・。ライブ感あふれる栗島中学校の鑑賞会の余韻に浸りつつ、生徒たちと美術館で再会できる日を心待ちにしています。

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古海博久さん(アート・コミュニケータ/2期生)

1ヶ月以上前からのプロジェクトスタッフの入念な準備にもとづき、我々とびラーも1週間前の事前レクチャーに続き、朝9時からショートブリーフィングで最終確認を済ませ生徒たちの到着を待ちます。私は5班の4人の男の子を、進行役とびラーのNさん、ママさんとびラーのKさんとの3人で担当です。

9時45分、幾分緊張気味に整然と列を作って現れました。白ワイシャツに黒ズボンという夏制服にお揃いの大きい手提げかばん。背が高くがっしりタイプのH君は固い表情で前を見つめたまま口を開かず我々は内心オロオロ。スタッフ・リーダーのガイダンスが終わると班毎に、さあ古代エジプトの世界へ出発です。
まずは3フロアにまたがる展示の様子を知るために10分程で全体を回ることにしました。4人ともキョロキョロ黙々と歩いて行きます。気になるH君にそっと話しかけても固い表情はほどけないのでここは無理せず担任の先生にお任せしました。

班内で事前に決めた皆で見てみたい作品の鑑賞に入ると、それまで静かだったN君から「色はぬっているのですか、それとも色の付いた石ですか?」と丁寧な質問とともに笑顔で「これハトシェプストですね」って舌をかみそうな王女の名前がスラっと口をついてビックリ(良く勉強してました!)。
「ヤマネコで飾られたカフ風のブレスレット」ではR君が鋭い観察で抜け落ちているパーツを指摘した上で、その色を残っているパーツから推理。いよいよ乗ってきたようです!さらに近くの「首飾り」を発見し、さっきの「ブレスレット」とペアで着けていたのでは?と推理・・・凄い!この後の個人鑑賞でも、R君は「ヘネトタウィの人型内棺」に描かれた女性神官の腕を見て「あっ」と声を上げた。腕に描かれているのはさっきの「ブレスレット」に違いないと・・・もう最高潮!

最後まで固い表情が消えなかったH君でしたが、最後に担任の先生が彼の耳元で何かささやいた時にふっと見せた微笑みが忘れられません。先生は何ておっしゃったのだろう?

(東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子)

プログラム: スペシャル・マンデー・コース | 投稿日: 2014年9月8日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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