活動ブログ

平成28年度 うえの!ふしぎ発見

うえの!ふしぎ発見:絵本部 (2016.7.24)

7月24日(日)、夏休みに入って最初の日曜日、あいうえののファミリー向けプログラム「うえの!ふしぎ発見:絵本部」が行われました。

「うえの!ふしぎ発見」は、上野公園の文化施設が、互いのコンテンツを活かした連動により実施されるプログラムで、テーマ別で年間7プログラム行われます(例えば「アニマル」をテーマに上野動物園と東京都美術館が連携するプログラムや、「建築」をテーマに、国立西洋美術館と東京文化会館が連携するプログラムなど)。今回のテーマは「絵本」。国立国会図書館国際子ども図書館、東京都美術館、東京藝術大学の3施設が連動し、図書館担当者と、美術館学芸員、大学教員が、何度もミーティングを重ねてプログラム内容を組み立てました。

_MG_8096_s

プログラムは、図書館が招聘するブラジルの絵本作家ホジェル・メロ氏と共に実施され、彼の著作で唯一日本語版が出ている『はね』を題材に、一般から募集した小学4年生~高校2年生までのこどもとその保護者 計33名と、参加者の伴走役をつとめる「とびらプロジェクト」のアートコミュニケータ13名が参加しました。

会場は、今年3月にオープンしたばかりの国際子ども図書館新館(アーチ棟)にある研修室。安藤忠雄設計のガラス張りの建物、入口をあけておくと外光が入り、気持ちのよい会場でした。

_MG_8081_s

《1. はじめに。導入》

10時に受付、活動を共にする少人数チームにわかれます。こどもはこども、保護者は保護者で、全6チーム、1チーム5~6名のチーム編成です。各チームのテーブルで、共に活動するメンバーやアート・コミュニケータ(以下、とびラー)と自己紹介を行いました。
_MG_8114_s
進行はMuseum Startあいうえののプログラムオフィサーである、東京藝術大学の特任助手長尾が担い、メロさんとポルトガル語通訳の山﨑理仁さんと共に、参加者の様子を見ながらワークショップは進められました。メロさんが最初に話をしたとき、「ひぇー、何て言っているのかわからないー」となんとも率直な声がこどもからあがったのですが、「たしかに!メロさんはブラジルから来られたので、ブラジルで使われている言語で話しているのだけど、何語だと思う?」と、彼がポルトガル語を話しているということや、ポルトガル語で言ったことを皆がわかる日本語にしてくれる“通訳”という仕事のことをこどもたちに伝えることができました。

 

《2. 絵本『はね』との出会い》

続いて図書館の企画協力課の中島尚子さんと、メロさんから、この日のワークショップで題材にする絵本『はね』についての話がありました。絵はメロさん作、お話は文曹軒さんという中国の作家が書いたものだということや、初版は中国語版で、中国語版の装丁は2種類あって、表紙が布製のものと紙製のものがあるということなど、目の前にある日本語版の絵本が生まれる前のエピソードが語られ、更に「こどもの絵本は哲学的なものであるべき」という、メロさんの作家としての想いも伝えられました。
_MG_8141_s

メロさんによる『はね』の紹介の後、図書館の児童サービス課の田中千穂子さんによる読み聞かせにて、『はね」を絵と音で味わいました。大きくなると読み聞かせから離れがちなので、小学4年生以上の参加者と保護者にとっては、久々の読み聞かせだったかもしれません。みんなよい表情で作品を味わっていたように思います。
_MG_8144_s

読み聞かせの後、各チームごとに実際に絵本『はね』を手にしてページをめくりながら、装丁の工夫や、メロさんの描いた絵について、15分ほど鑑賞の時間を持ちました。チームのみんながメロさんの絵を“よく見る”ことができるよう、とびラーが促し、伴走します。中国語版の『羽毛』も一緒に見ながら、気がついたこと、発見したことを書き留めておき、メロさんに「我がチームの発見」として伝えました。
_MG_8165_s

_MG_8157_s

「貼ったものの上からペンで描かれている」「孔雀が物陰に隠れて描かれているのが、孔雀の華やかさをより表しているように見える」など、技法や、絵から受ける印象などが発見としてメロさんに報告されました。
このような“ものをよく見る活動” と “自分なりに感じ、発見すること” は、あいうえのの全てのプログラムで大切にしていることです。

_MG_8179_s

 

《3. 造形活動。テーマは”different birds, different people”》

読み聞かせや鑑賞を通して『はね』を丁寧に味わった後、いよいよ1人1作品ずつの造形活動に入りました。このワークショップを考える際、メロさんが打合せの中で提案された”The Poetry of Images”というアイデアを元に、造形活動では『はね』からインスピレーションを得て、参加者それぞれが「イメージによる詩」「ポエティックな・詩的なイメージ」を作ることにしました
『はね』と同じ細長い画角の台紙に、包装紙や色紙を切ったり貼ったり、ペンや色鉛筆で描いたり。また、創作中に思い浮かんだ「ことば」を作品に入れ込むことにし、イメージとことばが混じり合った作品を作ります。ほとんどの参加者がすぐに手が動かし始めました。

_MG_8301_s
_MG_8247_s

また、造形のテーマとして、ご自分の作家活動でも、『はね』の創作においてもメロさんが大切にしている、互いの“difference(ちがいや多様性)”を尊重しあうことの価値を参加者にも伝えるべく、“different birds, different people”を提案されました。このテーマを通して、参加者それぞれが自身の個性を大切にし、違いがたくさんある多様な世界で、互いに差異を認めながら共生していくことは、それだけで価値があることだというメッセージが伝えられました。

当日のワークショップ会場では、小学生から高校生、保護者・アート・コミュニケータといった様々な年代間の交わりや、ポルトガル語と日本語の言語的な交わりに加え、ブラジルにルーツのある参加者や、障害のある参加者も共に活動し、まさに多様な要素がそれぞれを尊重し、学びあう空間だったように思われ、今回のワークショップにこのテーマはぴったりだったなと感じます。

_MG_8296_s

造形の時間はランチ休憩を挟んで、午前に1時間弱、午後に1時間程度でしたが、お昼ごはんの後、午後のスタートを待たずして創作を再開させる参加者の姿に、活動に集中していることが伺えました。

 

《4. 全員の作品を壁に貼って共有。メロさんが作者に質問タイム!》

造形の後、作品を壁に貼り出しました。全体を眺めたメロさんが、気になる点を作者に質問します。
_MG_8353_s

「この形はまず頭に思い浮かんでから作ったものですか?それとも、作りながら思いついてこの形になったの?」などと興味深そうに質問されるメロさんと、その質問に「ボクが作者です、えーっと、」とこたえる参加者。
_MG_8366_s_MG_8404_s
_MG_8382_s
参加者と保護者は別々のチームで造形活動を行いましたが、壁に貼るときには、あえて隣り合わせになるように貼りました。メロさんが「このふたつのイメージは、ふたりで相談したのですか?」と作者に質問するほど、互いのイメージに共通性を感じさせる作品もあり、「相談していません、たまたまです!」との返答に、さすが親子!と思われる場面もありました。
《5. ミュージアム・スタート・パックのプレゼント。上野公園のミュージアム冒険が始まります!》

最後に、あいうえの特製の「ミュージアム・スタート・パック」がこどもたちにプレゼントされました。ブックの活用方法の説明と共に、今日は国際子ども図書館での活動でしたが、上野公園には9つの文化施設があり、これから、どんどん9つのミュージアムを冒険して、ミュージアムの世界を楽しんでほしいこと、保護者の方もぜひ一緒に冒険してほしいことなどが伝えられました。
_MG_8423_s_MG_8421_s
集合写真をとってアンケートを記入し、終了!
_MG_8431_集合写真

 

終了後、メロさんにサインを求める姿も見られました。
_MG_8445_s

アンケートを少しご紹介します!

「絵本をよんでもらって、ひとつずつ、自分で読み解いていくと、本当に絵本はおくが深いなとおもいました。いろんな視点から読み取ったり、さまざまな表現ができる絵本に、興味を少し持ちました。他の絵本をまた読みなおそうと思いました」(小学6年)

「『はね』はとても興味ぶかい作品だと思いました。なぜなら哲学を意識した子ども向けの絵本で、かつ面白いという本には、今まで出会ったことがなかったからです。そのため、中国人の文を書いた方にも興味を持ちました」(中学1年)

「息子の世界を見たくて参加しました。マイペースな息子を受け容れてくださりありがとうございます。彼も楽しかった!また参加したいと言っていました」(保護者)

「楽しく参加することができ、こどもも自身がついたように思います。」(保護者)

「大人も制作することに驚きましたが、実際に作ってみて楽しかった。『はね』の絵本の内容が今の娘の姿と重なってよかった。メロさんが制作のことを私達“しろうと”に尋ねていたことが印象に残りました」(保護者)

 

絵本の奥深さや、創作の楽しさを感じた「うえの!ふしぎ発見:絵本部」でのミュージアム・スタート。図書館から始まったミュージアム冒険が、どのように上野公園に拡がっていくか担当者として楽しみです。

(Museum Start あいうえのプログラムオフィサー、東京藝術大学美術学部特任助手:長尾朋子)

 

プログラム: うえの!ふしぎ発見 | 投稿日: 2016年7月25日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

※お送りいただいた個人情報は公益財団法人東京都歴史文化財団プライバシーポリシー
に基づき取扱い、本事業に関する業務を行う目的以外で使用することはありません。

利用についてプライバシーポリシー

Copyright © 2013-2017 Museum Start i-Ueno, All Rights Reserved.