活動ブログ

平成28年度 ミュージアム・トリップ

ミュージアム・トリップ:一般社団法人kuriya(2016.8.16)

夏休み真っ只中の8月16日火曜日、また新たな「ミュージアム・トリップ」のプログラムが行われました。

「ミュージアム・トリップ」とは、さまざまな環境にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会を!という想いで実施するインクルーシブ・プログラムです。児童養護施設や、経済的に困難な家庭のこどもを支援している団体、海外にルーツを持ちカルチャー・ギャップなどの困難を抱えるこどもを支援している団体など、各分野の機関と連携して実施されています。

今回は一般社団法人kuriyaという、新宿区を拠点に若者を対象にしたアートプロジェクトや教育事業も実施している団体と行ないました。

kuriyaのネットワークを通じて、定時制高校に通う高校生9名と小学生1名が加わり、「とびらプロジェクト」のアート・コミュニケータ(以下:とびラー)7名と一緒に、一日東京都美術館で活動をしました。

午前10時半と朝早くから上野駅に集合したみなさん。最初に東京都美術館のアートスタディルームにグループごとで集まるところから、プログラムが始まります。

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今日一緒に活動するグループのとびラーとご挨拶。どんな一日が始まるのかドキドキしつつ、そして初めて会うおとなたちに、まだ少し緊張気味の様子。

今日の内容は、午前中に美術館をぐるっとめぐる美術館ツアー、昼食後に展示室へ出かけて開催中の展覧会「木々との対話展」を鑑賞するというゆったりとしたプログラム。「木々との対話」展にちなみ、木に触れるような手を動かすワークも取り入れ、言語活動だけではないコミュニケーションが生まれる機会も作りました。一日かけて過ごしているうちに、少しでも安心感を感じられるようになってくれたらという思いで、このプログラムを用意しました。

みなさんに最初に伝えたのは、「今日は美術館のいろんなところへ出かけて、いろんな楽しみ方を知ってもらいたいと思います。そのなかで自分の落ち着く場所がもしかしたら見つかるかもしれません。例えばお家の中に居心地の良い場所があるように、美術館の中でも似たようなことを感じてくれたらいいなと思います」。

《美術館ツアー:美術館の色々な場所をご案内》

午前中は緊張感を少しほぐすためと、美術館の場所に慣れてもらうために、まずはとびラーが美術館を案内する美術館ツアーへ出かけました。美術館のあちこちに点在する屋外彫刻たち。入ってくるときはあまり意識せずに通り過ぎてきたかもしれませんが、改めてその作品たちをじっくり見に行きます。

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ちょっと不思議な彫刻を見つけると、いろいろな角度から見てみたりお互いに気づいたことを早速言葉にしてみたり、少しずつ緊張がほぐれていきます。お天気も雨も降らずになんとか持ってくれ心地よい風を感じながら活動できました。さらに、とびラーに屋外彫刻以外にもオススメの場所に連れて行ってもらいます。その場所とは、公募棟の2階です。

東京都美術館の特徴でもあるカラフルな色の壁やイスに座って外の景色を眺めながら、そしてとびラーと一緒に普段の部活動の話や、お家にあるものについて話し出し、温まってきたようです。

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帰りがけに、午後に見に行く「木々との対話展」の様子を窓の外から少しのぞいていきます。「こんな雰囲気の展覧会なんだ」「大きな作品があるなぁ」とこれから見るものへの予感を持たせながら、午前中の活動は終了。

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美術館のこちらの棟からあちらの棟まで、ぐるっと一周する一時間となりました。ちょうどお腹が空いたところでお昼ご飯の時間です。

《午後は展覧会鑑賞:「木々との対話」展》

午後は、午前中にちらっとのぞいた展示室へ出かけます。見に行くのは、東京都美術館で開催中の企画展「木々との対話 – 再生をめぐる5つの風景」。

東京都美術館の学芸員・熊谷香寿美さんより、どんな展覧会なのか紹介してもらいました。

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5人の現代作家による展覧会であるということ、そして同じ木を使いながら、それぞれ全く異なる表現をしているということなどについて、スライドを交えて話してくれました。みなさんはスライドを見ながら、これらの作品たちが本当に木でできているのか、まだ信じられない様子。そこで、どんな素材を使っているのか実際に触ってもらいながら、イメージしてもらいました。

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一口に「木」と言ってもいろいろな種類のものがあったり、いろいろな匂いがしたり。そして実は木以外の素材も使われていることも紹介し、他の素材にも触れてみました。

そしてさらに、自分たちでも木に色を塗ってみるワークを体験。木を使って作品を作るというのはどういうことかを感じてもらうのも狙いのひとつですが、もうひとつに「自分の好きな形の木片と好きな色を選んで塗る」ことを通して、自分のこと、そしてお互いのことを見合う時間にする、という狙いもありました。

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最終的には色の塗り方だけではなく、紙の上の置き方にまで個性が出てきました。

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手を動かした後は、いよいよ自分たちの目で作品を見て来る時間です。

展示室に行く前にまずは美術館特製のアートカードを使って、自分が見たいと思う作品を選んでもらいました。

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どんな作品があるんだろう?どれくらいの大きさなんだろう?想像をふくらませながら、展示室へ行きたいという気持ちを育みます。

展示室に入ったら、様々な作品がみんなを出迎えます。

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想像以上の大きさだったり、逆に思いがけないところに飾られていたり、参加者のみんなは驚いたり感心したり、好奇心いっぱいに作品を見つめています。その様子にそっと寄り添うのがとびラーのみなさん。

こどもたちが気づいたことに耳を傾け目線を合わせながら、こどもたちの発見を共有していきます。

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「だれかと一緒に作品を見る」という体験を通して、様々な見方ができることや自分の考えをだれかに聞いてもらっていることの安心感を得ていき、こどもたちはさらに集中力が増していくようでした。

みんなで見たあとは、今度は「ひとりの時間」。自分が気になる作品を見つけたら、その作品について「つぶやきシート」に記録します。

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「つぶやきシート」にメモするのは字でもスケッチでも大丈夫。自分が感じたことを、そのままかいてもらいます。

再びアートスタディールームに戻って来たら、プレゼントしたばかりの「ビビハドトカダブック」に一日のことを記録します。今日美術館で発見したこと、さっき展示室で見つけて来た作品について、ブックのページに書き込みます。

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最初はまだミュージアムに慣れない雰囲気だったみなさん。

一日かけて、色々な作品や色々な部屋をとびラーと一緒にじっくりめぐりながら、徐々にミュージアムの空気を楽しむようになりました。

全体を通して、お互いに言葉がすごく活発に飛び交うような時間ではなかったかもしれませんが、こどもたちととびラーの間では、静かに、かつ熱心に盛り上がっている場面を見てとることができました。

 

多様な文化を語り継ぐミュージアムという場所が、とびラーとの時間を通して作品と出会うことにより、参加者のみなさんにとって居心地の良い場所と感じてられたなら嬉しく思います。

そして、再び上野公園を訪れてくれることを楽しみにしています。

(東京藝術大学 美術学部特任助手・Museum Start あいうえの プログラムオフィサー
鈴木智香子)

プログラム: ミュージアム・トリップ | 投稿日: 2016年8月16日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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