活動ブログ

平成28年度 ミュージアム・トリップ

ミュージアム・トリップ:NPO法人キッズドア[小学生コース](2016.8.26)

2016年8月26日金曜日、Museum Start あいうえの「ミュージアム・トリップ」が行われました。さまざまな状況にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会をと、今年度からスタートさせたインクルーシブ・プログラムです。 児童養護施設や、経済的に困難な家庭のこどもを支援している団体、海外にルーツを持ちカルチャー・ギャップなどの困難を抱えるこどもを支援している団体など、各分野の専門機関と連携して実施しており、今回は、8月9日に引き続き、「NPO法人キッズドア」という、家庭の経済状況などの理由から塾に通えないこどもたちや、ひとり親家庭のこどもたちに無料で学習支援を行なう団体と連動して実施しました。   JR上野駅までとびラーが出迎え、一緒に東京都美術館に移動。参加者はキッズドア主催の学習支援塾に通う、小学生12名と、保護者3名、引率のキッズドアスタッフ4名の計19名と、こどもたちの伴走役を担う「とびらプロジェクト」のアート・コミュニケータ(以下とびラー)11名です。 IMG_1801_s IMG_1810_s このような駅までのお迎えは、単なる道案内ではなく、プログラムが始まる前の“事前のとりくみ”として大切な活動のひとつです。初めて会うとびラーと、安心してコミュニケーションをとりながら活動するには、突然、「はじめまして、はい、これから一緒に作品を見ますよ〜」と言っても上手くいきません。駅から美術館までの道を、「ここが上野公園だよ、あそこが動物園の入口」「(野外彫刻の前を通り過ぎながら)銀の玉、これ、作品なんだよ」などと話ながら一緒に歩いて来る、そのプロセスが、こどもたちととびラーの距離を縮めていきます。 _MG_1389_s また、“事前のとりくみ”としてもうひとつ、とびラーからこどもたちへの「美術館で待ってるよメッセージ」があります。プログラム実施数日前にこどもたちの手元に(NPOを通して)届くよう、とびラーがそれぞれのこどもたちに書いたメッセージです。 とびラーとこどもは、ほぼマンツーマンで活動するので、とびラーは会う前から自分が担当するこどもを想像し、「きみのことを美術館で待っているよ」と伝えるためのメッセージを送りました。 IMG_1812_s 東京都美術館のアートスタディルームに到着したら、チームごとに座ります。1チームは、こども4名+保護者1-2名+引率スタッフ1名+とびラー3-4名で、10名程度のチーム編成です。保護者の方には、普段とは違う新鮮な気持ちで参加していただけたらと、我が子のいないチームをご案内しました。 Museum Start あいうえのプログラム・オフィサーより、全体に挨拶と今日の活動紹介、そして、あいうえのが上野公園の9つのミュージアムが一緒になって、みんなのミュージアム体験・ミュージアム冒険を応援するプロジェクトだということを伝え、今日の冒険の舞台を紹介しました。 今日の冒険の舞台は「東京都美術館」と「東京藝術大学」。 午前中に東京都美術館の企画展「木々との対話―再生をめぐる5つの風景」をとびラーと一緒に鑑賞(冒険)し、東京藝術大学の学食でランチ。そして、午後は再び東京都美術館で、午前中の展覧会での発見をまとめる「冒険の記録づくり」と、自分の冒険の記録をさらに素敵に見せるための「冒険の記録ボードづくり」を行います。   《展覧会の鑑賞:「木々との対話―再生をめぐる5つの風景」展へ》 まずは展覧会に行く準備です。図録から切り出してパウチをした出品作品のアートカードをつかって「気になる作品」を選びます。そして、チーム内で自己紹介がてら「選んだ理由・気になる理由」を発表します。 IMG_1817_s IMG_1851_s そして展覧会場に移動し、チームで展示室をひとめぐり。初めての展示室に慣れるための時間です。「木のにおいがするね」「わ、すげー」という最初の驚きから、次第に関心が作品へと向かい、とびラーが進行役を担う対話型鑑賞が始まりました。作品をよく見て、気がついたことを口にしていきます。とびラーは、「なるほどー、よく気がついたねえ!どこからそう思ったの?」と応じます。このチーム鑑賞の時間は、参加者が、何か正しい作品の見方・答えなどではなく、自分なりの見方・感じ方で作品を楽しんでいいんだ!ということを経験するための時間です。 IMG_1872_s IMG_1888_s つづいて個別鑑賞。ほぼとびラーとこどもがマンツーマンで作品を鑑賞します。気になった作品で足をとめ、そっと傍らで見守るとびラーに伝えたり、「つぶやきシート」に気がついたことを書きつけたり。 IMG_1879_sIMG_7263_s つぶやきシートには、スケッチをする人もいれば、文字で気付きを書きとめる人もいます。気がついたこと、思ったこと、感じたことをこのようにメモしてアウトプットすることで、体験がより定着していくように思われます。保護者の方もつぶやきシートを手に鑑賞しました。 IMG_7272_s IMG_7269_s   《ランチ:東京藝術大学の学食へ》 展覧会をゆっくり鑑賞して、お腹がすいてきたこどもたち。東京藝術大学の学食に移動します。食券をカウンターで渡し、待つこと数分。海老フライやポークカツ、生姜焼き、どのメニューもボリュームたっぷりです! IMG_1960トリミング_s 美術館から学食への行き帰り、少しの移動はありますが、「美術館の外に出る機会があることで、『大学ってね』という話や、『将来なりたいものとかある?』という話など、こどもたちとの話題の幅が広がってよかった」と、後でとびラーが報告してくれました。   《冒険の記録づくり:自分の手で“木々との対話” 午後は東京都美術館のアートスタディルームで、午前中に鑑賞(冒険)した展覧会の「冒険の記録」をつくります。参加者全員に贈られた上野公園9つのミュージアムをめぐるためのアイテム「ミュージアム・スタート・パック」の中のオリジナルブックを取り出し、東京都美術館のページに展覧会で発見したこと、気がついたことをまとめます。 IMG_1972_s つぶやきシートを切って貼ったり、チラシから作品画像を切り出して貼ったり、感想を書き込んだり。とびラーも自分のブックに、同じように冒険の記録をつくります。横でとびラー(大人)が同じ作業をすることでこどもたちのスイッチが入ったのか、記録づくりにとても集中するこどもたち。なかなかに味のある冒険の記録ができました。 IMG_2004_s IMG_1983_sIMG_2015_s   保護者・引率者のかたは「あいうえのカフェ」》 こどもたちが「冒険の記録」づくりを始めてから、保護者と引率者は別室に移動し、プロジェクトマネージャによる「あいうえのカフェ」に参加しました。とびラーが多様なバックグラウンドを持ち、美術館を舞台に作品を介したコミュニケーションを通して様々な活動をしている人々だということや、Museum Start あいうえのが“こどもと大人の学びのコラボ”を実現すべく、とびラーが共に活動したり、保護者の方にもミュージアムの楽しさを体験していただくコンテンツをデザインをしていること、そして、こどもの鑑賞活動でのおとなの伴走の大切さなどをお伝えしました。 また、午前中の展覧会鑑賞の感想を伺うと、感動した!という率直な感想も聞かれました。 IMG_1980_s   《冒険の記録ボードづくり:“木々との対話”》 隣の部屋ではこどもたちの造形が続いています。ブックへの「冒険の記録」が完成したら、その記録がさらに素敵に見えるような「冒険の記録ボード」を作ります。午前中に鑑賞した展覧会は「木々との対話」展。なので、冒険の記録ボードづくりでも、“木々との対話”を意識できればと、枝や葉っぱ、木っ端など、自然素材を中心に材料を揃えました。木や枝、木の実など、身近な素材でありながらも普段あまり手にしない素材に触れ、“手での木々との対話”を楽しみながら造形することを目指しました。 IMG_1995_sIMG_1997_s 思い思いに素材を選んで持っていきます。 IMG_1991_s そして、ダンボールの台紙にボンドで貼り付けていきます。 IMG_2008_sIMG_2016_s ブックにつくった「冒険の記録」をのせて完成です! IMG_2052_sIMG_2049_s   《さらなるミュージアム冒険への誘い》 予定時刻いっぱいまで造形活動に取り組んだこどもたち。最後に完成ボードを並べてみんなで見合い、今日の感想を尋ねました。 「美術館が初めての人でも、自分なりの見方とか、発見ができてよかったし、楽しかった」という小学6年生。「どうせびじゅつかんなんかつまんないだろ、とおもってきたけど、たのしかった」という素直で万歳!な小学2年生。それぞれの言葉で、“はじめてのミュージアム体験”の感想を語ってくれたように思います。 最後に、上野公園9つのミュージアムでの冒険を紹介する映像を見たり、また、さらなる冒険の機会として、これまでの参加者が戻ってくるためのプログラム「あいうえのスペシャル」(次回は10月8日!)を案内したり。その後、こどもたちは、東京都美術館の冒険の証バッジをもらいに「ビビットポイント」に立ち寄った後、帰途についたようです。 また、プログラム実施後には、とびラーとスタッフとの約40分のふりかえり時間を持ちました。 「マンツーマンのよさを感じた。例え進度が遅い子がいても、早い子と比べることなくその子のペースで、とびラーとその子との世界をつくることができた」という意見に、とびラーが、こどもたちの特徴や“ありのまま”を尊重しながら丁寧に関係性を構築していたことが感じられ、ミュージアムで作品と出会うだけでなく、「人と出会う」ことが出来たことを担当者として嬉しく思いました。 (Museum Start あいうえのプログラムオフィサー、東京藝術大学美術学部特任助手:長尾朋子)

プログラム: ミュージアム・トリップ | 投稿日: 2016年8月28日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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