活動ブログ

2016(平成28)年度 ミュージアム・トリップ

ミュージアム・トリップ:児童養護施設編[2回目](2016.8.24)

8月24日水曜日、都内のある児童養護施設のこどもたちがJR上野駅に到着し、アート・コミュニケータ(とびラー)に迎えられました。「ミュージアム・トリップ」2回目*の始まりです!

*このプログラムは全2回の構成で、1回目は先月7月22日(金)に児童養護施設内で実施され、今回の上野で実施されたのは、その2回目になります。この記事では、2回目の様子を報告してまいります![→ 1回目:7月22日のプログラムの様子はこちら]

参加のこどもたちは、1回目と同じ、都内のある児童養護施設で暮らす1年生〜6年生の3名です。

 

《上野駅から東京都美術館へ》

午前10時、上野駅に元気に到着したこどもたちは、とびラーと1か月ぶりの再会を果たしました。改札口で顔を合わせると、やぁ!ひさしぶり!という感じで、とびラーと一緒に美術館に向かって歩きだしました。

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途中、東京文化会館の銅像に「あの像はだれ?」、上野動物園の工事用壁面に漢字で書かれた動物の名前に「あの漢字よめる!あ、あれはなんて読むの?」などと、道中の景色に興味津々で会話がはずみます。(この道中での会話が、活動のよい導入になったと、後のふりかえりでとびラーが報告してくれました。)

また、1回目のプログラムの後、とびラーは共に活動するこどもたちに、“次は美術館で待っているよ”というメッセージカードを送っています。そのカードをそっと、「手紙読んだよ」と見せてくれた子もいたようです。

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《東京都美術館に到着:特別展「ポンピドゥー・センター傑作展」へ》

東京都美術館に到着して、みんなで机を囲みました。前回の7月22日の活動を思い出す話をすると、うんうん、そうそう、と、みんなとてもよく覚えていました!「今日は、1回目の最後にみんながアートカードを選んだ“気になる作品”のホンモノが展示室で待っているよ」と、特別展「ポンピドゥー・センター傑作展」の話をしたのち、チームごとに展示室へと出発しました。
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展示室では、まずチームごとに鑑賞。1チームは子ども1名+とびラー2名の、計3名です。

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今回のこどもたちは皆、美術館に訪れるのがだったので、作品の並ぶ展示室に入ったときの子どもの反応や驚きにとびラーが丁寧に伴走することを大切にしようと、事前にとびラーと共有していました。実際、こどもによって”初めての美術館”への反応は異なり、最初から「見るモード」で1作品1作品立ち止まって気がついたことを話し出す子も入れば、薄暗く人の多い展示室に、「変な匂いがする、人が多いのはイヤ…」と拒否反応を示し、スタスタと早足に展示室を2周まわった子もいました。

ただ、「ミュージアム・トリップ」は、様々な事情や背景を持つこどもたちが、その子のペースで・その子らしく活動できるよう、とびラーがマンツーマンで伴走をするデザインをしているので、じっくり見る子も、足早に展示室を歩く子も、その子なりの「美術館での過ごし方」にとびラーが寄り添うことができるので何の問題もありません。

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チームごとにお話しをしながら鑑賞した後は、つぶやきシートを渡して個別鑑賞の時間となりました。とびラーは近くで見守ったり、こどもたちの声に耳を傾けたり。予めアートカードで選んだ作品以外にも、展示室をめぐる中で気になった作品の前に行き、思い思いに鑑賞しました。気がついたことや、気になったこと・形などを、つぶやきシートにメモします。

個別鑑賞を約20分。展示室内の休憩スペースに一旦全員集合です。
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こどもたちに、今見てきた作品の中から1作品、”自分の発見をみんなに紹介する作品”を選んでもらいました。

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そして、とびラー、スタッフ含め、全員で、こどもたち1人1人の発見を聞く作品ツアーへ!
1作品目は“ツルの作品”とその子が呼んだ、モビールの作品(アレクサンダー・カルダー《4枚の葉と3枚の花びら》)でした。「作品のさきっぽがよく見ると動いている!」という彼の発見を聞き、みんなでじっと観察。ほんとだ!動いていました。そして、なぜ“ツル”に見えるのか尋ねると、「黄色いところがクチバシで、青いところが眼、赤い所が頭みたいだから」だそうです。目をキラキラさせながら教えてくれました。

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続いて2作品目。チーム鑑賞のときにはちょっと展示室空間が苦手で、ぐるぐると足早に展示室を歩き回った子が選んだ作品(ジャック・ヴィルグレ《針金—サン=マロ、ショセ・デ・コルセール)の前へ。
「どうしてこの作品を選んだの?」と尋ねると、「面白いから」。「どのへんが面白いと思った?」「えっと、いろいろ」。「そうか、いろいろ面白いところがあったんだね、どんなところだろうね」「んー、なんか、棒人間みたいな人がいる。三匹。」
彼なりの方法で気がついたことをちゃんとみんなに伝えてくれています。すると他の子が、「ほんとだ、ここと、ここと、ここの3人だ!」と、仲間の発見から、作品をさらによく見る反応を示していました!

最後に3作品目(シモン・アンタイ《未来の思い出》)。好奇心が旺盛で、チーム鑑賞の時間が足りないくらいに作品鑑賞に熱中した子が選んだ作品です。「気がついたことは、なんか、藁人形みたいだということ。あと、真ん中のあたりに釘みたいなものが刺さっているみたい。」と、アートカードや図録の写真では気がつけない、ホンモノの作品を見たからこそ発見できたことを発表してくれました。

こうして3人3様に、作品のことを自分の言葉で話したところで展示室を後にしました。

 

《ビビハドトカダブックへの冒険の記録づくり》

展示室で見てきた作品や、気が付いたこと、発見したことなどを、忘れないようにブックに書き留める冒険の記録づくりを行いました。とびラーも子供たちと同様に、自分のブックに自分の発見を書き留めていきます。
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このブックを見れば今日の美術館体験がまざまざと思い出されるような、それぞれの「冒険の記録」が出来上がりました。

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引率の職員の方が子供たちのブックを保護者のようなまなざしで覗き込み、子供たちと体験を共にしている姿が印象的でした。 _MG_1729_s

 

冒険の記録が出来上がり、今日のプログラムはそろそろ終了です。東京都美術館の「ビビットポイント」で冒険の証(缶バッジ)をゲットして、東京藝術大学の学食に向かいました。さようならをする前に、とびラーとランチタイムです。

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学食メニューは、大学生も食べる分量なので、カツカレーや揚げ物の盛り合わせなど、ボリューム感たっぷりですが、小学6年の男の子はぺろりと平らげました!みんなで食卓を囲むと、親戚の集まりのような、とびラーが親戚のおばさんおじさんのような、そんなアットホームな雰囲気でした。

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食後には東京藝術大学の「ビビットポイント」にも寄り、冒険の呪文「ビビハドトカダブ!」を唱えると…… 2つ目の冒険の証のバッジが手に入りました!

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この後、とびラーとさようなら。握手をしながら「また”あいうえのスペシャル”(過去のプログラム参加者が戻ってくる日)に会おうね!」と次の再会を約束する姿が見られました。子供たちは引率の施設職員の方とともに、国立国会図書館国際子ども図書館へ向かいました。

後日、職員の方からいただいたメッセージを紹介します。

美術館での鑑賞では子どもたち思い思いの作品選びや思い出づくりなど、ただ絵や作品を見るだけではない楽しみや発見ができることを体験できました。
「個性」や「感性」を大切にする働きかけについて多くのことを学ばせていただきました。

大学のランチでは驚くほどの量をたいらげた子どもたちの普段以上の食欲に驚きました。

国際子ども図書館ではとても荘厳な造りの建物にちょっと緊張していましたが、本を目の前にすると好きな本を探し、楽しそうに読んでいる姿が印象的でした。××くんがスリランカを紹介している本を見つけ、引率のスリランカからの研修生と見ながら楽しそうにコミュニケーションをとっていました。

帰ってから子どもたちは「ほかのところももっとみてみたい。バッチも集めたい。」と話しています。またあいうえのの皆さんに会える機会も踏まえて上野に遊びに行きたいと考えています。

スタッフの皆様をはじめ、とびらーさんの皆様にもどうぞよろしくお伝えください。また会えることを楽しみにしております。
 

今年度初めて取り組んだ、児童養護施設の子どもをミュージアムに迎えるプログラム。社会的保護の必要な状況にあるこどもたちの現状を学び、思いを馳せ、ミュージアムとして&アート・コミュニケータとして出来ることを考えながら進めたプログラムでした。

食い入るように作品鑑賞するこどもの後ろ姿に、ホンモノと出会うことのパワフルさを実感するとともに、その隣でこどもに寄り添い耳を傾けるとびラーの存在が、フラットで安心できる「人との関わりの場」を形成しているように感じられ、“ホンモノとの出会い”と、“共に活動するとびラーの存在”という、「あいうえの」の2つの特徴的なファクターの価値を、改めて感じるプログラムでした。

Museum Start あいうえのプログラムオフィサー
東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子

 

プログラム: ミュージアム・トリップ | 投稿日: 2016年8月24日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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