活動ブログ

平成29年度 スペシャル・マンデー・コース

足立区立梅島第一小・興本小・明晴学園@ボストン美術館の至宝展(2017.9.25)

9月25日月曜日、本年度2回目の学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」が東京都美術館で行なわれました。

「スペシャル・マンデー・コース」とは、休室日(月曜日)に学校のために特別に開室し、ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に対話をしながら鑑賞する特別なプログラムです。

今回みんなで鑑賞したのは東京都美術館で開催中の特別展「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」。
普段は何千人もの人が来館しているこの展覧会も、今日は学校のためだけに開かれた特別な状態。学校の先生からも、こどもたちにそのことを伝えてくれていたので、みなさんとても楽しみにしながら来館しました。

午前中に足立区から小学1年生と5年生のみなさん、午後には聾のこどもたちが通う学校の年長から小学6年生までのみなさんが来館しました。

それぞれどのような時間を過ごしたのでしょうか。各学校の様子をご紹介していきます。

 

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★足立区立梅島第一小学校1年生

(児童39名、引率4名、とびラー9名)

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最初に上野公園へ到着したのは、足立区立梅島第一小学校1年生のみなさんです。

 

《さあ美術館へ!》

1年生のみなさんにとって、なんと今日が初めての校外学習です。ドキドキわくわくのミュージアム・デビュー、どんな一日になるのでしょうか。
お天気がよい上野公園をお散歩しながら、今日の目的地、東京都美術館へと向かいます。

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《気になる作品を3つ決めよう》

東京都美術館に到着し、今日の活動の拠点となる、アートスタディルームへと向かいました。そこでお出迎えしてくれたのは、今日一緒に活動をするとびラーのみなさん!
こどもたちは「とびラーさん!とびラーさん!」と会えたことに大はしゃぎの様子。

そして、東京藝術大学の松尾由子さんから、今日の活動について説明があります。

「自分が『気になるな』と思う作品を3つ決めて、展示室へ探しに行こう!」

こどもたちはとびラーとお話したり、大きな作品パネルを見たりしながら、「ボストン美術館の至宝展」に展示されている作品の中で、自分が気になると思う作品を3つ決めます。

準備ができた班から展示室へと向かいます。

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《展示室へ》

「ボストン美術館の至宝展」は、LB(ロビー)階、1階、2階と3つのフロアから構成されています。
こどもたちはフロアごとに、まずは展示室全体をお散歩し、その後自分が選んだ作品を探しじっくり鑑賞します。この、「お散歩」+「自分が選んだ作品を探し鑑賞をする」というワークを、3フロア分、3回行いました。

〈展示室散歩〉

まずはフロアごとにお散歩。美術館の展示室ってどんな雰囲気なのかな?この階にはどんな作品があるのかな?
初めての空間でも、とびラーが一緒にいてくれるから安心です。

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〈気になった作品を探す&じっくり見る時間〉

フロア全体をとびラーと一緒に回ったら、次は自分が選んだ3つの作品を探して、じっくり見る時間です。
自分が選んだ “本物”の作品はどのような感じを受けたのでしょうか?

実際に自分の目でみて、感じたことや発見したことをワークシートにメモしていきます。
1年生ならではの視点と感性でたくさんの発見をしてくれました。

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《自分だけのミュージアムをつくろう!》

展示室からアートスタディルームへもどると、席には「きみもコレクター!」キットが置いてありました。
東京都美術館の展示室をイメージして作られた台紙に、作品のシールを貼ることで、自分だけのミュージアムを作ることができるキットです。

「コレクション」がテーマとなっている「ボストン美術館の至宝展」。

自分が気になる作品をコレクションし(=選び)、展示する(=貼る)ワークを通して、美術館やミュージアムの成り立ちについて学ぶことができます。

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まずは、自分が選んだ「気になる3つの作品」シールを、好きな場所に貼ります。

もちろん他にも貼りたい作品があったら貼ってOK!自分だけのコレクションルームを作ります。

作品シールを貼り終わったら、つぎは色ペンでかざりつけ。お部屋の名前を書いたり、自分が展示室にいる様子を描いたりと、様々な工夫がみられました。

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最後は、完成したミュージアムをみんなで見る時間。
それぞれの個性がキラリと光る、作品コレクションや、展示の仕方、お部屋の使い方がありました。

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「きみもコレクター!」キットの作成が終わると、とびラーから「ミュージアム・スタート・パック」が手渡されます。「ミュージアム・スタート・パック」は、上野公園のミュージアムがもっと楽しくなる冒険の道具。
松尾さんから「ミュージアム・スタートあいうえの」のコンセプトムービーを紹介され、上野公園にはこんなに行く場所があることを知ったこどもたち。

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これからもミュージアムを訪れて、たくさんの不思議や発見を巡る冒険へとでかけてほしいなと思います。

 

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★足立区立興本小学校5年生

(児童73名、引率4名、とびラー16名)

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時を同じくして来館していたのは、同じ足立区より来館した興本小学校の5年生のみなさんです。

 

《お迎え》

バスから降りてきたこどもたちは、上野公園に降り立つとどこかソワソワしながらもすぐに班ごとに並びます。上野公園を抜け東京都美術館に向かう道中で班長さんは「列から出ないで」と注意しながら歩いていました。
今回学校で力を入れていたのは「班活動」。集団行動をするときには、班でまとまって動けることを意識してプログラムを進めました。

 

《はじめに:とびラーとご挨拶》

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ホワイエに到着すると今日一緒に鑑賞をするとびラーと対面。
名札をとびラーから手渡され、自己紹介をしながら気持ちを落ち着かせると、東京藝術大学の鈴木智香子さんから今日の活動についての説明が始まります。

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「今日は『ボストン美術館の至宝展』を鑑賞しに行きます。学校でどんな作品があるか、見て来たかな?」

学校であらかじめ事前学習をしてきたこどもたちは、作品のアートカードやチラシに載っている画像から、自分が見たいと思う作品を選んできました。
学校で見たのはカードだったけど、今回見に行くのは全て本物の作品たち。そうして事前に学んでおくことで、だんだん「本物を見たい」という気持ちが湧いてきます。
さらに、「美術館での約束は?」と尋ねると、「走らない、騒がない、作品に触らない」としっかり答えることができました。展示室に向かう準備は万端です。

 

《展示室散歩》

展示室に入ると、こどもたちは一斉に辺りをキョロキョロと見渡しはじめました。
グループごとに、とびラーと共にまずは会場をグルッと“散歩”をし、実際にどんな作品があるのか、展覧会がどんな空間になっているかを把握していきます。

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事前に見ていた作品よりたくさんの作品があったことに、こどもたちは驚いている様子でした。
「あ!あの作品、アートカードで見た!あんなに大きいんだ・・・」と本物の作品に目を向けるこどもたち。
つい足を止めたくなるところを、「また後で来るから、気になった作品のことはチェックしておこう」と話しながら、ひとまず最終フロアまで見て回ります。

 

《グループ鑑賞の時間》

展示室散歩が終わると、次はとびラーのファシリテーションによるグループ鑑賞に入ります。グループごとに作品の前まで行き、まずは何も話さず、じっくりと作品を鑑賞します。

「この作品を見て、何が起こっていると思いましたか?」

とびラーからの問いかけに、こどもたちは手を挙げて思ったことを話していきます。

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「ここが面白いと思った」など、作品の一部を注目している子もいれば「全体的にカラフルで、楽しかった気持ちが描かれている」と作品全体の雰囲気について話す子もいます。

とびラーはこどもたちの言葉に「作品のどこを見て、そう思ったの?」など、言葉を言い換えつつ、こどもたちの見方をより深めていくような声かけをしていきます。
そうすると、「この形が目玉に見えて、しかもここだけじゃなくて絵の中のいたるところにあるから面白い」「カラフルなのは、作者の楽しかった気持ちが出ていると思った」とこどもたちは作品をさらに見つめていき、鑑賞を深めていきます。周りの生徒も友達の言葉に反応し、時には体をねじって見る方向を変えながら時間いっぱい使って鑑賞することができました。こどもたちそれぞれの見方が深まったグループ鑑賞となりました。

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《ひとりの時間:気になる作品をじっくり見よう》

グループ鑑賞が終わると、次はいよいよひとりで作品を見に行く時間です。

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会場マップと、鑑賞を通じて考えたことを記録する「つぶやきシート」が付いたボードを持って、こどもたちはそれぞれ気になった作品へひとりで向かいます。

気になる作品を友達同士で話しながら見る子もいれば、ひとりで熱心に言葉にしたりスケッチをしたり、それぞれのペースで「美術館デビュー」を果たす時間です。時間が足りなくなるほど集中して取り組んでいました。

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《最後に:「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼント!》

ホワイエに戻り、とびラーにひとりの時間で鑑賞した作品について少し話している姿もありました。

そして最後に、こどもたちに「ミュージアム・スタート・パック」が渡されます。

このパックには、上野公園のミュージアムを楽しむためのヒントやツールがたくさんつまっています。その中に入っている「冒険ノート」は、今日だけでなくこれから訪れる美術館・博物館で感じたことを書きとめる記録として使える重要なアイテムです。チラシを切り貼りしたものやスケッチ、あるいは言葉にすることで、真っ白なページがこどもたちの世界でいっぱいになることを願っています。

最後にみんなで挨拶をして、活動は終了しました。

 

その後、学校の先生から、お便りが届きました。
学校に戻って、その日の午後にさっそく「冒険ノート」を書く事後学習を行ったそうです!
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本日は大変お世話になり、ありがとうございました。
子どもたちの普段見られない姿が見れて、本当によかったです。
・・・彼らは普段は気が乗らないと、時間内に作品を全然仕上げられないのに、まさか1時間たらずでここまで、できるとは思いませんでした。きっとよい鑑賞の時間が持てたからだと思います。

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いくつか届いた冒険ノートがこちら。

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事前学習から当日に向けて学校でも丁寧に授業を行なったこと、そして当日が作品に向き合う特別な環境だったからこそ、こどもたちは集中した姿を見せたことにつながったのだと思います。
また、普段出会わないような大人たち:とびラーのみなさんとの対話を通して普段の関係性から離れた時間を過ごすことも、ひとつの鍵となります。

また上野公園に戻ってくる日を楽しみにしています!

 

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★私立明晴学園 年長〜小学6年生

(児童34名、引率11名、とびラー21名)

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午後に来館したのは、聾のこどもたちが通う学校です。実はこちらの学校は4年前にも来館していて、そのときに参加したこどもたちが家族で美術館に行く機会ができたために、もう一度このような機会をつくりたい、ということで申し込みがありました。

 

《東京都美術館に到着!》

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元気よく貸切バスから降りて来たこどもたち。上野公園を抜けて、東京都美術館に到着しました。
これから見に行く展覧会のこと、活動などについて、まずは全体でご挨拶。

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展覧会タイトルの「ボストン美術館の至宝」展の「至宝」という言葉を知っているかな?
「宝物」という意味なんだよ。
これから見に行く作品たちは、ずっとだれかが大事にしてきた「宝物」たち。
みんな「本物」です。だから、みんなもこれから何年先にも大事に残してできるように、お約束を守ってほしいと思います。

今日はとびラーと一緒に、じ〜っくり見て、見つけたことをたくさん言葉にして、そしてお友達やとびラーの話もよく聞きながら、美術館での時間を楽しんできてください!
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こちらの学校では手話を第一言語としているため、通訳の先生方を介して全体の活動が行われました。

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次に学年ごとのグループごとに分かれて、活動の仲間であるとびラーと自己紹介をします。
展示室に行く心の準備ができたグループから、いよいよ展示室へ。

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《展示室での時間:それぞれのペースで作品と出会う》

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それぞれのグループのペースで、展示室の時間を過ごしました。
低学年チームは、美術館がおすすめする作品や自分たちが見たい作品の前までゆっくり歩きながら会場を見てまわります。中学年以上のこどもたちは、まずは展示室全体の様子を見て回る”散歩”からはじまります。その後、じっくりみんなでひとつの作品の前でお話しする時間を持ちました。

作品の前で立ち止まり、まずは作品を1分間ほど、じっくり見ます。
そのあと、気づいたことや発見したことがあったら、一人ずつ手を挙げて発言をしてもらいました。

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担当の先生との事前打ち合わせで聞いていた「とてもおしゃべりなこどもたちです」というお話しのとおり、次から次へと積極的に、こどもたちから手が挙がります。

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だけど、こどもたちはただ単におしゃべりをしているのではなく、とびラーが全体の進行役・交通整理役となることで、ひとりの発見を全体に伝えたり、これまで出た発言を丁寧に整理したりしながら作品の見方を深めていくのが、この鑑賞プログラムのねらいです。

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みんなでさまざまな視点で見る体験をした後、さらに、中学年以上のこどもたちは、みんなで作品を見た後に「ひとりの時間」があります。
展示室のなかで、自分が見に行きたいと思う作品のところへ行き、その作品をじっくり見てくる、という時間です。

その間、とびラーはこどもたちのことを見守りつつ、だけど安心できるようそっと寄り添いながらこどもたちの鑑賞をサポートします。

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こどもたちはひとりずつ「つぶやきシート」を手にして気づいたこと、発見したことをスケッチや言葉で書き留めていきます。

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《最後の挨拶:ミュージアム・スタート・パックについて》

展示室から出てくると、「ミュージアム・スタート・パック」が椅子の上に置いてありました!

パックの中身には緑色のファイルと、ピンク色の冊子、そして青い冒険ノートが入っています。
実は青い冒険ノートは、5・6年生のみなさんは事前授業と当日の活動でも使っていました。先生から、なるべく日常生活の中でも使い続けてほしい、という思いがあったからです。

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ピンク色の冊子には、上野公園の9つのミュージアムに関するヒントがいっぱい書かれています。
さらにこのパックをプレゼントされた人しか知らない秘密が・・・
緑色のファイルの表紙に書かれた「秘密の呪文」を唱えると、9つのオリジナル缶バッジを集めることができるのです。

今日の体験をもとに、また何度でも上野公園に戻って来ていろいろなミュージアムに出かけてくれることを願っています!

 

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学校のねらいや、こどもたちの特性に合わせてプログラムを実施するスペシャル・マンデー・コース。
作品との出会いや、とびラーとの一期一会の時間も丁寧に彩られていきます。
そうした体験を入り口に、「また美術館に行きたい!」「とびラーに会いに上野公園に行きたい!」と思ってくれたなら嬉しいです。

 

東京都美術館 アート・コミュニケーション係 山家いつか
東京都美術館 アート・コミュニケーション係 インターン 藤原日菜子
東京藝術大学 美術学部 特任助手 鈴木智香子

プログラム: スペシャル・マンデー・コース | 投稿日: 2017年9月25日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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