活動ブログ

2017(平成29)年度 ティーチャーズ・カフェ

ティーチャーズ・カフェ〈先生のための特別研修会〉(2018.3.28)

2018年3月28日(水)の夜、先生向けのプログラム「ティーチャーズ・カフェ(先生のための特別研修会)」が開催されました。
このプログラムの
対象となるのは「美術館での授業が未経験の幼保小中高等学校の教員」のみなさん。先生の、ミュージアムでの授業づくりのデビューを応援するプログラムとして開催しました。

集まったのは15名の教員の方々。小学校から高校、担当教科も図工・美術だけでなく特別支援学級の先生や、国語・社会の先生もいます。学校種も公立、私立問わず、また地域も都内だけでなく埼玉県、千葉県、神奈川県の学校から、様々な先生が集う場となりました。

そんな先生方を迎えるのは、17名のアート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と、東京都美術館の学芸員ならびに東京藝術大学の教員です。

この「ティーチャーズ・カフェ」では、「こどもの学びに関わる大人の一員」として、学校教員と学芸員、大学教員、そしてアート・コミュニケータとが交わり、こどもたちの学びの場としてのミュージアムについて考えることを目的として開催しています。

具体的な活動として、「あいうえの学校」のなかの「スペシャル・マンデー・コース」を体験できるのがポイント。
普段は一般来館者で賑わう特別展の展示室を、この日の夜は参加する学校の先生のためだけに、特別に開室。学校は春休み期間となるこの時期、先生もゆったりとした環境で作品を鑑賞する贅沢なひとときを味わうことができるプログラムです。

 

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では、当日のプログラムがどんな風に行われたのかを紹介していきます。

1. 挨拶

最初に東京藝術大学 美術学部 特任助手の鈴木が進行役となり、プログラムは進められました。
まずはプログラムの導入として、東京都美術館 アート・コミュニケーション係長である学芸員の稲庭彩和子さんより、「Museum Start あいうえの」の概要について、「スペシャル・マンデー・コース」の映像を紹介しながら説明されました。

今回は5つのグループに分かれて、参加者の教員ととびラーとが活動していきます。
迎えるとびラーの中には、元教員の方や現役教員の方もいれば、グループの中に「あいうえの学校」を経験したことのある先生も数名参加しています。それぞれの立場や経験値、そしてこのプログラムに参加する動機を紹介しながら、グループ内の自己紹介を行いました。

 

2. 「スペシャル・マンデー・コース」の流れを体験

次に、プログラムのメインとなる《体験》です。

「あいうえの学校」では授業やプログラムを実施する当日だけではなく、事前〜当日〜事後の3ステップを大切にしています。その流れを体験できるワークを用意しました。

①アートカードで「自分が見たい作品」を選ぶ

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これから向かう展示室には、本物の作品が飾られています。
その本物の作品をA4 サイズのアートカードにしたものを用意しています。それらのアートカードを事前に見ながら、「自分が見たい」と思うものを選ぶワークです。

それぞれ選んだ理由も簡単に話し合い和やかな雰囲気で、展示室へと向かいました。

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②展示室での体験:グループの時間

 

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展示室に入ると、入り口から一作品ごとに足を止めてしまいたくなるところですが、、、
「スペシャル・マンデー・コース」の醍醐味を体感してもらうべく、最初に「展示室散歩」をします。

だれもいない展示室、ゆったりとした空間の中でまずは展示室全体をぐるっとひと巡りします。
とびラーの中には「スペシャル・マンデー・コース」に何回も参加している人もいたので、実際のこどもたちの様子や反応について、具体的に紹介しながら歩く姿も見受けられました。

 

グループ活動で次に行うのは、グループで一つの作品を鑑賞する、いわゆる対話型鑑賞です。
複数の視点をもって一つの作品を、対話を介して鑑賞し、多様なものの見方や意見が共有できるようになることを目的としています。

今回参加される先生方の中でも、特にこの対話型鑑賞に関心のある先生も多くいたようです。ファシリテーター一名が進行役となり、参加者同士の対話を紡ぎ出します。
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グループによっては、こどもたちがするように座ったりしながら、ゆったりと鑑賞していました。

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作品を一生懸命にのぞきこむ姿も。

 

 

③展示室での体験:ひとりで鑑賞する時間

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グループで2つの作品を鑑賞し、色々な見え方ができることを体験したあとは、「ひとりで鑑賞する時間」です。

この時間は先ほど選んだアートカードの本物の作品を見に行ったり、その他に気になる作品を見たり、自由に過ごしてもらいました。
手にしているツールは「つぶやきシート」と会場マップがついたボードです。
先生方には次のように伝えました:
「先ほどまでお話しをしながら作品を見ていたように、今度は一人で、作品の前でお話をするように見てきて下さい。」

そのときに、ただ漫然と見るようにせず、作品を前にして気づいたことや感じたことをメモやスケッチなどで書き留めることができるように渡しているのがこの「つぶやきシート」です。

 

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じっくり作品の前で立ち止まり、メモやスケッチをする姿が見受けられました。

 

④冒険の記録を書く

展示室から戻ったら、事後のワークです。
ここで使うツールは「ミュージアム・スタート・パック」。「ミュージアム・スタートあいうえの」に参加した全てのこどもたちに配布しています。今日は参加者した先生に特別にプレゼントです!

「ミュージアム・スタート・パック」に含まれている「冒険ノート」に、今日の活動について記録としてまとめる時間です。
展覧会のチラシや先ほど書いた「つぶやきシート」、色鉛筆やペンを使いながら、先ほど見てきた作品についてや展示室での体験についてふりかえり、学びを定着させることが目的です。

 

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先生はさすが手が早い!驚くべきスピードで、次々と冒険の記録ができあがっていきました。

完成した記録の一部をご紹介:
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全員のノートを広げ、どんな体験をしてきたかを共有しながら休憩時間を設けました。
お茶菓子を配布してほっと一息ついたところで、ゆるやかにカフェタイムへと移ります。

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3. 交流カフェタイム:本物の作品を見て言葉にするって、どういう体験?

最後に、今日の活動全体についてふりかえる時間です。
「本物の作品を見て言葉にするって、どういう体験だろうか?」ということをテーマに、参加者とアート・コミュニケータと交わって話し合いました。

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まずは配られたふせんに、個別に感じたことを書き込みます。

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その後グループ内で、自分が感じたことを一言ずつ共有(シェア)しました。

その中で出てきた気づきや言葉はこちらです:

・なんでもなかった一枚が、みんなで見た後は特別な一枚になる。
・一緒に発見するおもしろさ!
・静かに一人で見たいタイプだと思っていたがどうやらちがう・・・みんなで見ると楽しい!

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最後に、稲庭さんと一緒に、全員でみなさんの気づきを共有しました。
質疑応答の時間の中では、美術館として事業を続けていくための姿勢についてや、「ミュージアム・スタートあいうえの」として描く未来像について触れた話が印象的でした。

 

 

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もっともっと先生方との議論を深めたいというところでしたが、この時間をもってプログラムは終了です。始まるときはまだ日が差していたのに、気がついたら外が真っ暗に。あっという間の3時間でした。

参加した先生方のアンケートから、以下のような声を聞くことができました。

————-
・とびラーさんがいることで、対話がスムーズにいきました

・とびラーさんの質の高さを感じた
・皆さんとても笑顔が素敵で、優しく、安心して鑑賞に集中することができました!ありがとうございました!
・また来たいと思う交流ができてよかったです!
————-

 

実は「ティーチャーズ・カフェ」は今年度の実施で3回目。

これまでは、「あいうえの学校」に参加したことのある先生方を中心に交流するプログラムとして実施してきましたが、今回は初めて「未経験」の先生方を対象に据えました。
鑑賞の授業に不安を覚えたり、対話型鑑賞を実際に体験したことがない先生方と、「あいうえの学校」の経験を通して実際にこどもたちの変化を目の当たりにしたことのある先生方、そして親でもない先生でもない大人としてこどもたちに関わるアート・コミュニケータとが、ミュージアムという場だからこそ対等な立場で議論し思いを共有する姿は、運営側としても実施して良かった、と思える意義深い時間となりました。

「ミュージアム・スタート あいうえの」は、小学1年生から高校3年生のこどもたちを対象としているプロジェクトですが、そのこどもたちの環境に関わる大人たちも、大切な対象者であると私たちは考えています。
これからも、こどもたちの学びの場に関わる社会の一員として、教員やアート・コミュニケータ、学芸員など、多様な大人が交流し学び合える機会を作っていかれたらと思っております。

 

 

Museum Start あいうえの プログラムオフィサー/東京藝術大学 美術学部 特任助手
鈴木智香子

プログラム: ティーチャーズ・カフェ | 投稿日: 2018年3月28日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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