活動ブログ

2017(平成29)年度 ミュージアム・トリップ

ミュージアム・トリップ:NPO法人東京養育家庭の会(2018.3.25)

春休みに入った最初の日曜日の2018年3月25日、4組8名のファミリーのみなさんが東京都美術館に来館しました。

迎えたのは7名のアート・コミュニケータ(愛称:とびラー)のみなさん。

とびラーと参加者はこの日が初対面でしたが、事前にとびラーからお手紙が送られていたので、初対面の大人でも「のりこさんはどこ?早く会いたい!」と会うのを楽しみにしてくれている様子でした。

この日に行われたプログラムは「ミュージアム・トリップ」。さまざまな状況にあるこどもたちをミュージアムへ招待するインクルーシヴ・プログラムです。経済的に困難な家庭のこどもたちを支援する団体や、海外にルーツのあるこどもたちを支援する団体などの各専門機関と連携して実施しています。
今回は養育家庭(養育里親)を支援するNPO法人 東京養育家庭の会の中の一つの支部より申込みがあり、プログラムが実現しました。

 

参加したこどもたちは、5歳の幼稚園年中さんから中学1年生までの4人です。
初めて会うこどもたち同士でも、すぐに手をつなぎお互いのことを兄弟姉妹のように気にかけながら美術館に入る姿が印象的でした。

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今日は親子で一緒に参加するプログラムです。
まずは2つのグループに分かれて着席し、「ミュージアム・スタート あいうえの」のプログラムオフィサーの挨拶から始まります。

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①展示室に本物の作品を見に行こう

こどもたちの中には美術館が大好きな子もいれば、今日初めて美術館に来たというお子さんもいました。
これから見に行く展覧会は東京都美術館で開催中の特別展「ブリューゲル展」。どんな作品があるのでしょうか?
展覧会を漫然と見に行くのではなく、なるべく「自分が見たい」と思う気持ちをつくるために、事前にある工夫をしています。
事前にお手紙と一緒に展覧会のチラシを送り、親子で話し合う時間を持ってもらうようにしました。

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展示室へ出かける前に、こどもたちは今日の冒険の道具「ミュージアム・スタート・パック」を受け取ります。

プログラムオフィサーから説明があります。
「これは上野公園のミュージアムをもっと楽しむことができる大事なアイテムです!
中に入っている冒険ノートに、これから見に行く作品のことを記録していこう。
お気に入りの一枚をアートカードから選んだら、チラシの中の作品を切って貼ってね。書けたら理由も一言書いておこう。」

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大人のみなさんも一緒に、一人一枚気になる作品を選びます。

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いよいよ、それぞれ自分が見たいと思う作品を見に、展示室へ向かいます。
ここからはこどもと保護者は分かれて活動します。こどもたちはとびラーと一対一のペアになり、保護者はとびラーと一緒にグループになって展示室へ出かけます。

 

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展示室の中でゆったりとおしゃべりしながら歩く二人。

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年中のこどもは、迷路のような展示室をぐるぐると巡りながら美術館探検を楽しんでいました。

絵を描く事が大好きなお子さんが、作品の前で描き始めてすぐに中断してしまったそう。そこへとびラーが、「描きたいところまで描いていいんだよ。時間はまだあるから。もしも見たい人が来たら、少しずれてあげようね。」と言ったら、とっても嬉しそうな笑顔をして静かに集中していた、というエピソードがありました。

このようにして、とびラーはこどもたちとペアになりその子の状態に寄り添いながら活動をします。
それによって、こどもたちは自分のペースで安心してミュージアムを楽しむことができるようになるのです。

 

 

保護者もそれぞれ展覧会鑑賞を楽しんだ後に、短い「大人タイム」の時間を設けました。
東京藝術大学の伊藤准教授から、「ミュージアム・スタートあいうえの」の概要と親子で過ごすミュージアムの楽しみ方についてのお話がありました。

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「展示室に入ったら、最初から最後までずーっと同じように見る必要はなく、こどもも大人も自分のペースに合わせて展示室を巡っていいんです。
今日のプログラムで一緒に活動しているアート・コミュニケータは、こどもたちに知識を伝える役割としてではなく、お子さん方に寄り添いながら、こどもたちの声を聞き、まなざしを共有する仲間として存在しています。
これからも親子でミュージアムへ出かけるときには、ぜひ大人もこどもも一緒になって、それぞれが対等に楽しむことができれば、よりミュージアムを楽しむことができると思います。」

 

こどもたちも全員アートスタディールームに戻って来たところで、展示室に行って発見したこと、感じたことを冒険ノートに記録としてさらに書き込みました。

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絵を描いたり、文字を書いたり、チラシを切って貼ってもOK!
それぞれがのびのびと記録をまとめていました。

完成したノートはこちら!

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保護者の方は、冒険ノートのページを使って、同じようにまとめました。

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全員でお互いの記録を見合い、発見したことを伝え合う時間も持ちました。

 

②ブリューゲルの作品から、オリジナル缶バッジをつくろう!

 

活動の最後に、ブリューゲル展を鑑賞した今日の思い出として、ブリューゲルの版画作品を元にしたオリジナル缶バッジをつくりました。

ブリューゲルの版画作品を拡大コピーした画像の中から、気になる部分を探し出します。
その部分に台紙を当てて、トレーシングペーパーでなぞります。
細いペンでなぞっていくと、まるで、ブリューゲルの描き方を真似しているみたいに!

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さらに、元の版画作品は白黒ですが、色鉛筆で色をつけることで、オリジナルのものに仕上がります。

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こどもたちはみんな夢中になって細かい線をなぞり、小さな缶バッジに今日の思い出を閉じこめているようでした。

実はこのコピーは本作品を反転コピーしたもの。
トレーシングペーパーでなぞったものをひっくり返すと実際の作品と同じ向きになるという、版画作品の作り方を少し理解できる工夫にもなっています。このプログラムを考えたのも、実はとびラーのみなさんのアイディアから!

家族で1個、思い出の缶バッジが完成しました。

 

 

最後に、もう一度プログラムオフィサーから「ミュージアム・スタート・パック」についての詳しい説明がありました。

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「ミュージアム・スタートをしたみなさんは、今日から『あいうえのメンバー』です!
あいうえのメンバーは、これからお話しする3つの特典を受けることができます。

 

その1、上野公園の9つの文化施設でオリジナル缶バッジを集めることができる!
ブリューゲルのオリジナル缶バッジとは異なりますが、上野公園の9つの施設にある「ビビットポイント」を訪れるとそこでしかもらえない、オリジナル缶バッジを受け取ることができます。受け取るためには秘密の呪文が必要です・・・

その2、「あいうえのスペシャル」に参加できる!
年3回、あいうえのメンバー向けに開催している特別プログラム「あいうえのスペシャル」。また上野公園を再び訪れることができるきっかけとなる日です。夏・秋・冬と季節ごとに楽しんでみたり、その時しか行っていない展覧会を目当てに行ったり、今まで行ったことのないミュージアムに足を運んでみたり、、、1年の中でも、数年後にでも、定期的にミュージアムを楽しむことができるようになります!
(当日の詳しい様子は、ぜひこちらのブログをご覧ください)

その3、冒険ノートをウェブサイトに投稿することができる!
今日みなさんがそれぞれ書いた記録を写真に撮れば、あいうえののウェブサイトに投稿して発表することができるんです。ぜひ恥ずかしがらずに、自分が見つけたことを世界中の人たちにも知らせよう。そうすると、きっと誰かの次の冒険のヒントになるし、お互いに発見したことをシェアすることができるようになるよ。」
(投稿される「ブックギャラリー」のサイトはこちらをご覧ください)

 

ミュージアム・トリップに親子ペアを対象にしたのは、事業が始まって以来、初めてのことでした。

保護者の方にとっても、久しぶりに訪れる美術館を楽しむきっかけとなったこと、お子さんから解放されてゆったり過ごす時間ができたことなどが良かった、というフィードバックをいただくことができました。
また、「普段なら騒いでしまうから展示室でちゃんとしているか心配だったけど、意外にも大人しくしていたので驚いた」という一言も聞かれました。

それは、こどもが普段の家庭や学校で出会わない大人、つまりアート・コミュニケータと一緒に過ごし、「ありのままの自分を受け止められる存在」に出会えたことによるのではと、ふりかえって感じています。
それこそが、「ミュージアム・トリップ」が目指す姿ではないだろうかと私は考えます。

ミュージアムという場だからこそ出会う存在に触れ、またミュージアムという場だからこそできる体験を作り出すことで、さまざまなファミリーにとってのミュージアム・デビューを豊かなものにしていきたいと思います。
今日参加していただいた方々も、ファミリーでミュージアムを楽しみ続けてくださることを願っています。

 


鈴木智香子|東京藝術大学美術学部特任助手、Museum Start あいうえのプログラムオフィサー

 

プログラム: ミュージアム・トリップ | 投稿日: 2018年3月25日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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