活動ブログ

2018(平成30)年度 うえのウェルカムコース

うえのウェルカムコース:吉見町立吉見中学校 美術部(2018.8.29)

2018年8月29日(水)、学校向けプログラム「うえのウェルカムコース」も本年度4回目を迎え、 埼玉県吉見町立吉見中学校の美術部の生徒たちを迎えました。

1~3年生の計24名は、夏休みの部活動の一貫として来館。東京都美術館で開催されている「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」を東京都美術館で活動する「とびラー(アート・コミュニケータ)」のみなさんと一緒に鑑賞しました。

東京都美術館のアートスタディルームに着くと、あいうえのスタッフととびラーが出迎えました。「とびラー(アート・コミュニケータ)」とは東京都美術館で活動し、多様な人々を結びつけるコミュニティのデザインに取り組む人々です。ミュージアムの楽しみ方をたくさん知っている大人の人たちです。今回は、「BENTO おべんとう展」の鑑賞体験やワークを生徒のみなさんと一緒に楽しみ、サポートしていきます!

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小倉ヒラクさんのアニメーション《おべんとうDAYS》の鑑賞から、プログラムが始まりました。”ね子ちゃん”、”おべんとウサギ”などのキャラクターが季節や文化を通じて、身近な人と一緒に「美味しいね」といいながら食べるような、「お弁当」やそのコミュニケーションについて考えるための入り口となる動画です。

「これから見に行く『BENTO おべんとう展』は、現代アートの作品が展示されている展覧会。さっきのアニメーションに出てきたお弁当箱も実際に展示されているし、“絵”や”彫刻”作品と違ってじっと見るだけではなくて体で感じながら味わうような作品:参加体験型の作品もあるよ。」

東京藝術大学 特任助手の鈴木さんが展覧会についてのお話しをすると、美術部の生徒のみなさんも興味深々。

今日の活動の流れは以下のように行います:
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①おべんとう展を見る
②お弁当を食べる
③「お弁当を拵(こしら)える」ワークを行う
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「お弁当を拵える」とは、出品作家の一人である小山田徹さんの作品で紹介されている本のタイトルです。展示室に行って作品を見てきたら、自分たちもお弁当を拵える予定です!
先生との打ち合わせの中で、「普段当たり前のように感じているお弁当のことを、大切なコミュニケーションのうえにあることなんだと気づく機会になれば」というお話を受けて、このようなプログラム内容に行き着きました。

美術館で守らなければならないマナー「走らない・触らない(今回の展覧会は触れる作品もあります!) お話しするときは小さな声で・メモをするときは鉛筆で」を確認したら、いよいよとびラーとの自己紹介タイム。

 

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生徒のみなさんは事前に送られていた、あいうえののオリジナル教材「ミュージアム・スタート・パック」の冒険ノートに、今回展示されているお弁当箱のアートカード8点から気になるもの・すきなものを選び、書いてくるという事前活動をおこなっていました。 とびラーとのあいさつも終えて、選んできたお弁当箱について班のメンバーととびラーとで紹介し合いします。生徒のみなさんは初めて出会う先生でも両親でもない大人の人たちに少し緊張しながらも、楽しそうに話していました。

準備が整ったら、班ごとに分かれて展示室へ出発です!

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【ギャラリーB】では、選んできたお弁当箱やアニメーションに出てきたお弁当箱の展示を発見しては「思っていたより大きい!」という驚きの声が。実際のお弁当を前にしながら、写真からの印象と違っていたり「何を入れていたんだろう」と考えたりしていました。

阿部 了さんの《ひるけ》を見ながら、食べている人の周りをみて「ここは学校かな? 」とその人の背景に思いを寄せてみたり、「食べている表情が楽しそうというより真剣だ!」と食べることに対しての感想が飛び出したりしました。

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お弁当箱に触れることができるハンズオンコーナーでは、様々な国のお弁当箱を実際に触って、とびラーと一緒に組み立て方法を考えてみる班もいました。インドのお弁当箱を手に取り「この銀のやつ初めてみた。どうやって使うのだろう」という疑問の声も。

自分が気づいたこと・発見したことを一人で見るのとは違い、それを誰かに伝えることで色々思いを巡らすことができます。とびラーのみなさんは、まさにその役割。こどもたちの小さなつぶやきや声を丁寧に拾い、それぞれの考えが引き出せるようにしていきます。

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【ギャラリーA】では、マライエ・フォーゲルサングさんの参加型作品《intagible bento》を鑑賞。
お弁当の見ることができない側面や触ることができない側面について体感できる作品です。この作品の案内人となるのが「おべんとうの精霊」。精霊の声を聞くことができる精霊フォンを手に、鑑賞者は作品の世界へと飛び込みます。

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自分自身が精霊になって向こう側にいる相手と手を繋ぐことができる部屋“Connection”(繋がり)。食べ物は生産過程において多くの人々が関わっています。この部屋では、そういった食べ物における人と人の繋がりや愛情を、ハグで体感することができます。生徒たちは実際にハグをすることで、目には見えない食べ物における「繋がり」を実感しているようでした。
お弁当への思い出を共有する部屋” Memories”(思い出)では、リボンにグループで寄せ書きをする生徒もいたりして、お弁当の思い出話で盛り上がりました。

最初はどう話していいかわからなかった生徒の一人も、とびラーと一緒にリボンをくぐって色々な部屋に入っていくほどに、少しずつ自分なりの「見方」を言葉にして伝えてくれるようになっていく様子が印象的でした。

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続いて、最後の展示室【ギャラリーC】へ。

小山田徹さんの作品《お父ちゃん弁当》では、弟のためのお弁当を姉がスケッチを描き、その父である小山田さんがその指示書を元にお弁当を作るというチームワークで出来上がった日々のプロジェクトともいえるような作品です。

展示室には、作品と同じお弁当の指示書を描くことができるワークシートがあります。美術部の生徒のみなさんも午後には、このワークシート作りが待っていると聞かされて展示室にやってきました。描けるかなと少し不安そうにしていた生徒も、来館したお客さんが描いたワークシートを眺めると「面白い!」と笑顔になり、自分も描いてみたいと心躍らせている様子でした。小山田さんが食材をどのように工夫して使っているかをとびラーさんから聞いて、なるほどと頷く人も。最後まで、興味津々の様子で作品を見つめていました。

また、森内康博さんの《Making of BENTO》では、自分たちと同年代の中学生が自分で作るお弁当のドキュメンタリー映像に集まって覗き込んでいました。 中学生たちが映像作りまで行ったと知って、感心していました。

 

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北澤 潤さんが手がけた《FRAGMENTS PASSAGE -おすそわけ横丁》は、お弁当を誰かと食べるときに自分の中身を誰かとわかち合う「おすそわけ」という行為に着目したプロジェクト型作品。市場に並んでいるものは全て誰かからの「おすそわけ」です。ものに込められた物語を考えながらみんなで鑑賞していきます。

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おすそわけ横丁を名残惜しく出た後は、アートスタディールームに戻ってみんなでお弁当タイム!
展覧会を見たあとに食べるお弁当は、どんな風に味わうでしょうか?
とびラーのみなさんともお話しながら楽しくお弁当をいただきました。

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後からは、先ほど展示室で見た小山田徹さんの作品と同じように、”だれか”のために作るお弁当:「お弁当を拵える」ワークを行いました。食べさせたい人、テーマ、タイトルを考えて、自分なりのお弁当指示書を書いていきます。

小山田さんの展示から学んだ、食材の見立て方を思い出しながら、とびラーと一緒に「誰に作ろうかなあ。何をテーマにしよう。」といろいろ悩みながら描いていました。

しばらくすると、さっきのお弁当の時間とは打って変わり、部屋がしんと静まりかえりました。
さすが美術部の生徒のみなさんです。とても集中して楽しそうに描いていました

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描き終えたら、みんなで鑑賞タイム!
班ごとに展示してもらい、好きに回ってみていきます。生徒さんは面白いテーマにクスっと笑ったり、自分にはなかった発想に驚いたりしていました。同じ展示を見ていても、同じ食材を使っていても、出てきたデザインは異なっていて、驚くほど色とりどりのアイディアでいっぱいでした!

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最後に、上野公園の9つのミュージアムを冒険するための特別な道具、オリジナル教材である「ミュージアム・スタート・パック」をもらい、鈴木さんから説明を受けます。

この教材「ミュージアム・スタート・パック」を活用することで、発見や気づきを冒険ノートにまとめたり、行き先のミュージアムでオリジナル缶バッジを集めたりと、何度でも上野公園に行きたくなるような仕掛けになっています。また、他の生徒さんとノートを見せ合い、それぞれの作品への感じ方を知ることで、同じものを体験していても実に多様な感じ方があることを知ることができます。

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さらに、この後見に行く東京都美術館で開催されている「没後50年 藤田嗣治展」をご案内。 生徒のみなさんを見送って、プログラムはこれにて終了しました。

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終了後には、参加したとびラーのみなさんとスタッフとで記念写真をパシャリ。

一緒に展示を見て、生徒さんの一言に共感したり、展示の感想を互いにやりとりすることがとても楽しかったと、プログラムが終わったあともたくさんの感想がとびだしていました。

最後に、参加していたとびラー(原田清美さん:右から3人目)の方の言葉をご紹介します。

 

 吉見中学の美術部の生徒さんたち、本当に素朴な感じの中学2年生で、初めて会ったのに最初からとても楽しくコミュニケーションが出来ました。自己紹介時に「お弁当で大好きなおかずは何か」も入れたので、展覧会場に行く前に食への関心はすでに高まりつつありました。
・・・

 マライエさんの展示では、最初、布をかき分け入っていくのを「ちょっと怖いな」と言った子がいたので、みんなで一緒に入りました。彼女たちの反応が面白かったので私も一緒に回っていると、匂いのあるブースで、「あ、これは何とかの香りかな?」など話し合っていました。コネクションのブースは、なかなかの盛り上がりで嬉しそうでした。中学生のお弁当ムービーもワクワクしながら蓋をあけてみていました。
 でも一番反応が良かったのは、お父ちゃん弁当。ひとつつずつ、デッサンとお弁当をじっくり鑑賞していました。「すごいね、これよく出来てる」「わあ、お腹が空いてきちゃった!」と言うので「どれが一番食べたい?」と聞くと4人がそれぞれ選んでその選んだ理由も話してくれました。お父ちゃんとおねえちゃんの発想の素晴らしさに感動し、弟(息子)のために考えることから「お弁当って大切な人への思いも届けるね」などと対話しました。
 ・・・
 昼食中には、運動部から転部してきた子が2人いて、どうして転部したかを話してくれました。「美術部に入って本当に良かった。」とのこと。夏休みの宿題の話、文化祭や体育祭のことなども話してくれました。「おべんとう展、来てみて面白かった」「美術館にまた来たい」とのことでした。
 アートに関心があって、遠くからでも美術館に来るのを楽しみにして来た生徒たち、これからもまた来る機会があるといいですね。

 

まさにとびラーの言葉通り、今回は学校での部活動がきっかけでミュージアム・デビューした生徒のみなさんですが、次はぜひファミリーやお友達などと一緒に、来てくれるのを待っています!

日常生活の中で少しでも美術館やミュージアムが身近に感じられるようになることを願っています。

 


 

津田愛子|東京都美術館  アート・コミュニケーション係 インターン

 

プログラム: うえのウェルカムコース | 投稿日: 2018年8月29日

主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

共催/上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、
国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、
東京文化会館(五十音順)

お問い合わせ:Museum Start あいうえの 運営チーム(東京都美術館×東京藝術大学)
Tel: 03-3823-6921(東京都美術館 代表番号)
Fax: 03-3823-6920
E-mail: aiueno@museum-start.info

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