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2017(平成29)年度 うえの!ふしぎ発見

うえの!ふしぎ発見:ゴッホ部(2017.11.3)

11月3日(金)に、あいうえのファミリー向けプログラム「うえの!ふしぎ発見 ゴッホ部」が実施され、小中学生とその保護者計26名と、アート・コミュニケータ(とびラー)12名が、東京都美術館と東京国立博物館を舞台に活動をしました。

「うえの!ふしぎ発見」は、上野公園の文化施設が有機的に連動し、アートからサイエンスまで、バラエティ豊かなテーマにそってミュージアムをめぐり、モノを丁寧に観察・鑑賞するプログラムです。

「うえの!ふしぎ発見」シリーズの第4弾となる、「ゴッホ部」では、東京都美術館と東京国立博物館がコラボレーションをして、ゴッホの作品とゴッホが愛した日本美術を鑑賞するワークショップを開催しました。

《1. はじめに》
この日のプログラムは、午後4時半からはじまりました。夜のミュージアムでは、一体どんな体験が待っているのでしょう。

プログラムの開始を前に、参加者のファミリーが東京都美術館のアートスタディルームにぞくぞくとやってきます。参加者は、アート・コミュニケータ(とびラー)に迎え入れられると、こどもとおとなそれぞれに別れて、活動チームの席につきます。

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はじめて会うとびラーに、少し緊張した様子をみせながらも挨拶をするこどもたち。席に着いたこどもたちには、ミュージアムを楽しむための道具、「ミュージアム・スタート・パック」がプレゼントされます。そうして、いよいよプログラムのはじまりです。

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プログラムのはじめに、「アート・カード」を使った自己紹介をチームごとに行います。この日、参加者が手にしているアート・カードは、東京都美術館で開催されている「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」に展示されるゴッホの作品や日本の美術作品のカードです。

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「わたしは〇〇です。気になった作品は、この一枚です。なぜかというと〜」というように、アート・カードの中から自分の気になる一点を選んで自己紹介をしていきます。一緒に活動するチームメンバーの顔を覚えながら、自然と作品を「見る」ことに慣れていきます。

少しずつ周りのメンバーと打ち解け、会場の雰囲気が温まってきたところで、東京都美術館学芸員の稲庭彩和子さんから「ゴッホ部」のためのレクチャーがはじまりました。

今回のテーマは「ゴッホとゴッホの愛した日本美術」。

なかでも今回のワークショップでは、ゴッホが日本の美術作品を愛し、アイディアの源泉としたように、参加者もゴッホや日本の美術作品の鑑賞活動を通じて、自分がアイディアをぬすみたくなるような作品を探していきます。

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ワークショップの導入にあたるレクチャーは、画家ゴッホの紹介からはじまりました。

「ゴッホは自分らしい絵の描き方をどうやって考え出したんだろう?」と、稲庭さんがみんなに問いかけます。

パリの画家たちが日本の絵やデザインに夢中になった今から約140年前の時代、ゴッホもそうした「日本を夢みた」画家のひとりでした。ゴッホが自分らしい絵を生み出す背景には、日本の浮世絵をパリでたくさんみたり、集めたりして、日本の美術作品から学ぶ体験がありました。

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「アイディアとはすでにある要素の新しい組み合わせ」であり、ゴッホにとって日本の美術作品は、心惹かれるような、すでにあるアイディアでした。

今回のワークショップでは、ゴッホがそうしたように、こどもたちが作品をよくみて自分流の注目ポイントを探していきます。まずは、東京都美術館の「ゴッホ展」の絵を見て、ゴッホの絵と浮世絵とを見比べて「いいな」と思うポイントを見つけることからスタートです。

《2. 鑑賞 ゴッホの作品と日本の美術作品をみてみよう》

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いよいよとびラーと一緒に「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」に出発です。この日も「ゴッホ展」には、たくさんの来館者がおとずれています。こどもたちは、展示室内でのお約束をとびラーと確認しながら、「ゴッホ展」への入室を待ちます。

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展示室に入ったら、まずはチームごとにゴッホの絵と浮世絵の2つの作品を鑑賞していきます。こどもたちが持っているのは、吹き出し型のふせんがついた特別なシートと会場マップです。

とびラーがファシリテータ役になって、色や形に注目しながら対話を進めます。

ゴッホの絵をみて自分がいいなと思うポイントと、浮世絵をみてゴッホがいいなと思ったであろうポイントを見つけたら、吹き出し型のふせんのなかに書き留めます。

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チームで2つの絵を比べながらよくみたら、今度は発見したことをチームの仲間と共有していきます。

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「浮世絵の手のいちやかみがた、色づかいやきもののえりのかたちをゴッホはいいと思ったんじゃないかな」

自分の発見を伝えたり、だれかの気づきを聞いたりして、互いの見方について共有することも、鑑賞体験を豊かにするための大切な時間です。

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絵画をみるコツを少しずつ覚えてきたら、今度はこどもたちが個々人で鑑賞をします。時折絵の前で立ち止まりながら気になる一点をさがし、各自気になる作品を見つけたら、作品のなかにどんな工夫やアイディアがかくれているかじっくりと見つめます。

ゴッホの絵の中の色の濃淡、筆のリズム感や人物の表情など、見つめるポイントは様々。自分流の注目ポイントをみつけたら、こどもたちはふせんにメモしていきます。

この時も鑑賞するこどもたちには、発見をつぶさにひろって効果的に作品を鑑賞できるようにとびラーが寄り添います。

一つの作品のいろいろな注目ポイントを書き留めたところで、「ゴッホ展」での活動は終了。アートスタディルームに戻り、「冒険のノート」作りの活動に入っていきます。

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アートスタディルームでは、手のひら大に印刷されたゴッホの作品の中から、自分の選んだ作品を探し出して、ふせんと一緒に「冒険ノート」に貼り付けていきます。自分らしくノートに印刷された作品とふせんを配置したら、「ゴッホ展」の冒険の記録を完成させました。

《3. 鑑賞 東京国立博物館で日本の美術作品をみてみよう》
後半は、東京国立博物館の本館2階の総合文化展に展示される日本の美術作品をみて、自分がアイデアを盗みたくなる作品を鑑賞活動を通じて探していきます。

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次の冒険の舞台となる東京国立博物館に出かける前に、東京国立博物館教育普及室の藤田千織さんの解説を通じて、東博(トーハク)について知っていきます。

日本やアジアの文化を守り伝えていく役割を持つ東博。そこには、平成館(日本の考古)、東洋館(アジアの美術と歴史)、法隆寺宝物館(法隆寺に伝わった宝物)、本館(日本の美術と歴史)の4つの展示館があり、規模と内容ともに豊かなコレクションが展示されています。

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今日訪れるのは、本館の総合文化展です。ここには、屏風や浮世絵などの絵画、仏像、きものをはじめ生活の中で使われる工芸品などの日本美術が展示されていて、展示される浮世絵の中には、ゴッホも描いた広重の風景画もあります。どんな作品をみていくのか、興味と関心を高めたところで展示室に向け出発です。

東京都美術館を出発し、夜の上野公園を抜けて東京国立博物館に移動します。この日、特別夜間開館を実施する東京国立博物館の建物は、プロジェクションマッピングによる美しいあかりで彩られています。

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博物館に入館したら、こどもたちは展示室でのお約束をとびラーと確認します。作品を見る心の準備が整ったところで、日本の美術作品が待つ総合文化展に入室です。

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まずこどもたちは、個別にわかれてとびラーと一通りの展示作品をみていきます。そこには、鮮やかな色を使った日常的に使われていた道具、背面に植物のモチーフの装飾が施された鏡、独特な色やモチーフをもつ作品群が展示されています。展示ケースごしに作品を覗き込みながら、一目見るだけではわからない色の妙に触れていきます。

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活動の中で参加者に寄り添うとびラーは、鑑賞するこどもたちの感じたこと、発見したことを、「どのあたりからそう想ったの?」と聞いていきます。こどもたちがその問いかけに答えるなかで、作品を介した対話が生まれ、鑑賞が深まっていくのです。

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それぞれの参加者がお気に入りの作品をみつけ、よく観察し、その作品の魅力的な部分、いいなと思う部分を探しながら、気がついたことを吹き出し型のメモに書き出していきます。

《4. 冒険ノートに発見をまとめよう》
鑑賞ができたら、東京国立博物館地下1階のみどりのライオン(教育普及スペース)に移動し、展示室で見た作品の色、模様、配色などを思い起こしたり、スケッチやメモを見たりしながら、自分が見つけたお気に入りの一点についてみんなに共有する活動の始まりです。

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用意されているのは、総合文化展の展示作品が印刷されたアートカード。展示室で見た作品の魅力を言葉で伝えていきます。

出会った作品について注目ポイントを自分の言葉で語り、他の人に伝えながら、見た作品のことをもう一度思い起こして見る。そのようなことを繰り返しながら、それぞれの鑑賞体験をもう一段階深めていきます。

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自分が見つけたひとつの作品の魅力や注目ポイントをより深く自分なりに理解したところで、ノート制作に移ります。展示室で書き出した吹き出しと印刷された作品とをノートに貼り付け、今日のミュージアムでの鑑賞活動の記録となる「冒険ノート」が完成しました。どのノートにも、自分なりの作品の注目ポイントがよくかかれています。

完成した冒険ノートをご紹介します。

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活動の最後には、作成した「冒険ノート」を机の上に展示して、保護者たちにもお披露目します。活動の終わりに作品を展示すれば、自然とワークショップにまつわる会話が親子の間で交わされます。

色を観察し鑑賞する「うえの!ふしぎ発見 ゴッホ部」が、みることの楽しみや、心の中の充足感、人やモノや場所とコミュニケーションをとることの面白さを感じるような体験となったことを願います。

そして、これからも上野公園の文化資源に触れる体験を自分自身で続けていってもらえれば嬉しく思います。

「ゴッホ部」に参加してくださったみなさま、ありがとうございました。
また、上野公園で会えるのを楽しみにしています。


 

渡邊祐子|Museum Start あいうえのプログラムオフィサー

プログラム: うえの!ふしぎ発見 |
投稿日: 2017年11月3日