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2019年度 うえのウェルカムコース

うえのウェルカムコース@伊庭靖子展(2019.7.31)
私立ドルトン東京学園 

2019年7月25日(水)私立ドルトン東京学園の中学生21名と教員2名が学校向けプログラム「うえのウェルカムコース」に参加しました。東京都美術館で現在開催中の(〜10月9日)企画展「伊庭靖子展 まなざしのあわい」を鑑賞しました。開館してすぐの美術館の入り口で集合した子どもたちを、7名のアート・コミュニケータ(とびラー)とスタッフで迎えました。IMG_3729

展示室へ行く前にまずは、展覧会や美術館のことを知る時間が設けられました。とびラーの拠点である「アートスタディルーム」にて、上野公園のことや、とびラーのこと、展覧会のことなどをMuseum Startあいうえのプログラム・オフィサーの山﨑日希さんから聞きました。

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次にとびラーと生徒たちは4つのグループに分かれ、とびラーを進行役として、グループ内で自己紹介をし合いました。最初は緊張していた生徒たちでしたが、気さくで明るいとびラーのもとで、自身の好きなことについて語ったり、聞いたりするうちに、会場はすぐに和気あいあいとした雰囲気になりました。自己紹介が終わると、「アートカード」を見ながら、気になる作品をそれぞれ選び、気になった理由を紹介し合いました。「本物はどうなっているのだろう」と、生徒たちの作品への興味がますます高まっていきました。

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いよいよ展示室へ!本物の作品と触れ合う時間です。
作品を集中して見る前に展示室をぐるっと散歩しました。この散歩は、展示空間全体を知るための時間です。散歩を通して、「展示室」という空間に慣れ、その空気感を味わうことで、作品との距離が縮まっていき、作品からより多くのものを受け取れるようになります。

展覧会に行くと、つい張り切ってしまって、一点一点じっくり見ているうちに疲れてしまい、中盤、終盤の作品を見る頃にはヘトヘト、ってことがよくあると思います。この様に最初に散歩をすると、展示全体と作品の位置関係を確認でき、自分が気になった作品をしっかりと見ることができます。とびラーは美術館の楽しみ方も知っているのです。

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散歩が終わったらグループ毎に一つの作品を見るグループ鑑賞の時間です。作品をじっくりと見て、気がついたこと、感じたことをグループ内で共有しました。グループ鑑賞では、画面全体から雰囲気を感じ取ったり、細かい部分に着目し作品の特徴を発見したり、様々な意見が飛び交いました。みんなで鑑賞することによって、一人ではなかなか気が付けないようなことを作品から次々と見出し、言葉にして共有していく有意義な時間でした。

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グループ鑑賞が終わると、個別鑑賞の時間です。生徒の各々が、気になった作品をじっくりと鑑賞することで、作品と一対一で向かい合い、「ひとりの時間」を堪能しました。「つぶやきシート」に気づいたことをメモしたりスケッチしたり、作品から得られたことをしっかりと記録していきました。

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鑑賞が終わると「アートスタディルーム」に戻ってグループで「つぶやきシート」を見せ合いました。写真と本物でどう違ったか、何を感じたかなど、今日の鑑賞を通して感じたことを共有しました。

文書名A班 文書名D班

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最後に、「ミュージアム・スタート・パック」がとびラーから手渡されました。「ミュージアム・スタート・パック」とは、上野公園のミュージアムがもっと楽しくなる冒険の道具です。ミュージアムを楽しむためのヒントがたくさん載っている「ビビハドトカダブック」と、「つぶやきシート」に書いたような気づきなどを、今後も一人で記録していける「冒険ノート」がセットになっています。また、これらを持ち運べる布製バックには、上野公園の9つの施設に設置された「ビビットポイント」という場所でオリジナルの缶バッジを集めて付けることもできます。生徒たちは残りの時間で「冒険ノート」を作り、本日の活動は終了しました。

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プログラム中、印象に残ったのはとびラーさんたちの活躍でした。私は、鈴木重保さん(通称:シゲさん)のサポートとしてプログラムに参加しました。グループ鑑賞中、なかなか発言が出ない場面があったのですが、その時シゲさんが私に耳打ちした「無理に話してもらっても仕方がない、ゆっくり待ちましょう。」という言葉が心に残りました。発言しやすい環境を作り、議論を活性化させるファシリテータの役を担う彼から、どうしてこの様な言葉が出たのでしょうか。この言葉からは、鑑賞の本質はまず何かを感じ取ることであり、発言することではないのだというシゲさんの思いがあるのではと感じました。

 

とびラーたちは鑑賞中、一方的に絵に関する知識を与えるのではなく、本人が何かに気が付くきっかけになるような要素を臨機応変に提示していきました。

また、生徒たちの反応(〇〇が描いてある、何色がある、綺麗など)に、すかさず「どこからそう感じたのかな」、「なぜ作家はそうしたのだろうね」と問いかけ、「反応」を「思考」へ発展させていきました。この様に、最初はあまり発言しなかった生徒も、とびラーさんの後押しによって自身の意見を発言できるようになりました。「うえのウェルカムコース」は美術館や鑑賞について深く考え活動する、とびラーたちがいてこそのプログラムなのだなと感じました。

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「うえのウェルカムコース」は文字通り、上野公園のミュージアムに訪れるこどもたちを歓迎するプログラムです。生徒たちにとって今回の経験は、一過性のものではなく、今後も深い鑑賞を続けていくためのきっかけであり「スタート」であると思います。生徒たちが今回のプログラムを通して、ミュージアムに親しみを持ち、作品との新たな出会い、新たな体験を求めて訪れてくれることを願っています。

 


小野暢久|東京都美術館アートコミュニケーション係インターン

多摩美術大学大学院美術研究科芸術学専攻在籍。神奈川県出身。主にパウル・クレーを研究。
皆様が美術館で素晴らしい体験ができるよう、サポートしていきたいです!

プログラム: うえのウェルカムコース |
投稿日: 2019年7月31日