オープンデイ キュッパ・チャンネル①(2019.8.13)
こんにちは。「Museum Startあいうえの」プログラム・オフィサーの鈴木智香子です。みなさんはどんな夏休みを過ごされたでしょうか?
夏休み真っ只中の8月13日、上野公園の東京都美術館では今年度新しく生まれ変わったファミリー向けプログラム「キュッパ・チャンネル」が開催されました。
(中・下写真2点 「伊庭靖子展 まなざしのあわい」東京都美術館 撮影:中島佑輔)
今年から新しく始まった、オープンデイ「キュッパ・チャンネル」。
たくさんのこどもたちにミュージアム・デビューを!
そして、たくさんのこどもたちがミュージアムへ何度も来ることができる(リピーターになれる)ように!という思いから、「オープンデイ」という名前になりました。
また、「キュッパ・チャンネル」という名前は、私たちが大好きな絵本『キュッパのはくぶつかん』(オーシル・カンスタ・ヨンセン作、ひだにれいこ訳、福音館書店刊)に由来しています。ものを集めるのが大好きな”キュッパ”のように、いろいろなものにアンテナを張って、好きなものを、見つけて集めてみることができる、スペシャルな1日となっています。集めたものを使って何かを作ったり、考えたり、そして最後には自分の考えたことや感じたことをみんなに”発信”しよう!ということで、「チャンネル」という名前をつけました。
当日は、初めて「ミュージアム・スタート・パック」(以下、MSパック)を受け取る「デビュー・プログラム」と、すでにMSパックを持っている人が参加できる「リピーター・プログラム」、そしてその両方が参加できる5回連続のプログラム「ムービー部」の3つのプログラムが開催されていました。
それぞれのプログラムの様子を、各担当よりお伝えいたします。
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デビュー・プログラム
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初めて「あいうえの」に参加する人のためのプログラムには、2つのコースを用意しています。「展覧会鑑賞」と「こども建築ツアー」の2つです。東京都美術館(都美)の講堂を会場に、午前と午後の2回、約130名のこどもが参加しました。プログラム担当は、東京都美術館(以下、都美)の河野佑美と柿澤香穂です。
最初に「Museum Start あいうえの」のこと、「ミュージアム・スタート・パック」のことをスライドやビデオで理解した後、それぞれのコースに分かれてワークショップが始まります。
「鑑賞」チームは、10人くらいの4つの小さいグループにわかれ、都美で開催中(~10月9日)の「伊庭靖子展 まなざしのあわい」を見に行きます。「建築」チームは、7人くらいの6つの小さいグループにわかれ、都美の建物を探検しに行きます。どちらのチームも、「ジロジロ」観察してくることがミッションです。そのため、「展覧会」チームは、各グループで1作品、「建築」チームは、各グループで2箇所をみんなでよく見てきました。
「伊庭靖子展 まなざしのあわい」東京都美術館 撮影:中島佑輔
講堂に戻ってきてからは、早速見てきたことを「冒険ノート」に記録。最後に冒険のための秘密の呪文を教えてもらってプログラムは終了です。
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リピーター・プログラム
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「リピーター・プログラム」は、これまで「あいうえの」に参加したことのある人向けのプログラム。午前と午後の2回、約80組のこどもと大人が都美企画展「伊庭靖子展 まなざしのあわい」を鑑賞しました。プログラムの担当は、Museum Start あいうえのプログラム・オフィサーの山﨑日希と渡邊祐子です。
都美のアートスタディルームとスタジオに集まったこどもたちを待っていたのはアート・コミュニケータ(愛称:とびラー)のみなさん。学年毎に8つのグループに分かれて活動をします。
今日の活動は、「あいうえのからの指令」を楽しみながら、とびラーやグループの仲間と作品をじっくり観察しながら、発見や気づきを話し合います。
展示室での指令は「作品の中に入って、絵の中のものに触れてみよう」「展示室をぐるっと回って、ビビビっとくる作品を探そう」の2つ。
「伊庭靖子展 まなざしのあわい」東京都美術館 撮影:中島佑輔
特別に用意された「伊庭展」を楽しむための道具「鑑賞ボックス」も活用して、作品に描かれた光や質感、空気感についても考えます。
作品鑑賞を楽しんだら、最後の指令が出されました。
「きみからの指令書をつくろう!」
〝次に作品を見る人へ〟展覧会をじっくりみるためのオリジナルの「指令書」を作りました。
完成した指令書を「冒険ノート」に挟んだら、今日の活動は終了です。
展覧会は10月9日(水)まで。「オリジナル指令書」を持って、また来てくれることを楽しみにしています。
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ムービー部
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「ムービー部」は、デビューする人もリピーターの人も参加できるプログラム。ただし参加条件があります。それは、5回連続で参加でき、そして“ミュージアム・チューバー”になる意欲があること!
7月に募集して見事選考された18名のメンバーが集まりました。
プログラム担当は、Museum Start あいうえのプログラム・オフィサーの鈴木智香子です。そして講師として、映像作家の森内康博さんを迎えました。
この日は第1回。森内さんより、“ミュージアム・チューバー”としてのミッションを与えられ、これからどんな活動が始まるのか参加者のみんなも少し緊張気味の様子。
3人1組で活動する「撮影チーム」には、とびラーが1名ずつ付きます。
こどもたちの活動に寄り添い、相談相手にもなる、頼もしい冒険の仲間です。
午前は、まず冒険の時間。映像づくりでいえば、「ロケハン(ロケーションハンティング)」「シナハン(シナリオハンティング)」です。撮影に向けて、「自分ならではの視点」で面白そうな発見物を探しに行きます。
この冒険の時間では、3つのグループに分かれました。展示室の作品を見に行く「作品グループ」、美術館で働く人の話を聞く「人間グループ」、それ以外の様子を見に行く「情景グループ」です。
お昼を食べて、午後は「シナリオ」を書く時間からスタート。
午前中に見つけた発見物をチームのメンバーと共有し、それをナレーションのための原稿や映像づくりのイメージへとつなげます。
最後はいよいよ、機材を使っての撮影タイム。実際の撮影現場に向かう前に、入念にリハーサルを重ねました。
たくさんの苦労もありましたが、長い1日が終了!
みんなが制作した動画は、「ミュージアム・チューバー」動画チャンネルで公開されているので、ぜひ見てください!
次回のオープンデイ「キュッパ・チャンネル」は10月5日(土)!
デビューする新しいこどもたちに出会えること、そしてリピーターとしてこどもたちに再会できること、そして“ミュージアム・チューバー”としての成長を、次回も楽しみにしたいと思います。
執筆:
鈴木智香子|Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー
山﨑日希|Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー
河野佑美|東京都美術館 アート・コミュニケーション係 学芸員
投稿日: 2019年8月13日