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2019年度 スペシャル・マンデー・コース

スペシャル・マンデー・コース@コートールド美術館展 魅惑の印象派
文京区立第三中学校(2019.11.25)

11月25日(月)、綺麗な紅葉が上野公園を彩る中、「スペシャル・マンデー・コース」が実施されました。

 

このプログラムでは、休室日の展覧会を貸し切りにして、じっくりと作品たちと向き合う機会を大切にしています。今回参加したのは3校。そのうちの1校である文京区立第三中学校の様子を、東京都美術館アート・コミュニケーション係インターンの小野がご紹介します。

 

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文京区立第三中学校 3年生+特別支援級

(生徒63名 引率10名 とびラー18名)

 

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【はじめの挨拶】

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朝の9時半ごろ、上野公園に学校からの貸し切りバスが到着しました。

静かだった朝の上野公園がぱっと賑やかになり、我々スタッフの気も引き締まります。

今日はどんな体験が待っているのだろう。期待感を胸に皆で東京都美術館へ向かいます。

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まずは展示室前のホワイエにて始まりの挨拶。来館する生徒たちを18名のアート・コミュニケーター(愛称:とびラー)とスタッフで迎えます。

スタッフから展覧会(「コートールド美術館展 魅惑の印象派」(会期:2019年9月10日〜12月15日)やプログラム流れについての説明があった後に、生徒5、6人ととびラー2人からなるグループに分かれ、自己紹介。

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最初は緊張気味であった生徒たちも、暖かくて気さくなとびラーと言葉を交わすうちに、笑みが溢れ始めました。グループでのコミュニケーションを取ったら、いざ展示室へ!

 

 

【展示室散歩】

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さっそく作品鑑賞!と行きたいところですが、まずは3フロアある展示室をぐるっと一周散歩します。

この時間は作品を見るのではなく、空間全体を把握する時間です。

展示室内はどんな雰囲気か、どこにどんな作品があるのか。そんなことを気にしながら、だんだんと展示室という空間に慣れて行きます。そうすることで作品との距離が縮まり、より多くのことに気が付けるようになります。

 

【仲間と見る】

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散歩が終わるといよいよ作品鑑賞!

グループの全員で一つの作品を見る「グループ鑑賞」を行います。作品から感じ取ったこと、気がついたことなどを言葉にし、共有することで、一人では気がつかない様な事柄に気がつくことができます。また、グループ鑑賞は「こんなところを見てるんだ!」と、作品だけではなく仲間のことを知る有意義な時間でもあります。

生徒たちは貸し切り状態の展示室でゆったりと対話しながら作品を見ていきます。

 

【ひとりの時間】

 

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グループ鑑賞の後は、「個別鑑賞」を行います。

個別鑑賞はさっきまでとはうって変わり、作品と一対一で向き合う時間です。

生徒たちは「つぶやきシート」に気がついたことを文字やスケッチでアウトプットし、作品との体験や思考を確かなものにしていきます。

 

このプログラムでは、「グループ鑑賞」と「個別鑑賞」の2つの鑑賞方法を実践することが特徴の1つだと言えます。他者との対話を通した鑑賞によって様々な発見や意見に触れ、その後じっくりと考えやイメージを深化、発展させていく。このプロセスが鑑賞体験をより面白く、豊かにするのだと思います。

 

生徒のみなさんが実際に書いた「つぶやきシート」のうちのいくつかをご紹介します。

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【おわりの挨拶】

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鑑賞の時間が終わり、ホワイエに生徒たちが戻って来ました。

まだまだ話し足りない様子で、鑑賞での気づきや感想を伝え合っていました。

それぞれ仲間や作品と良い時間を過ごせたようでした。

プログラムの最後にスタッフから生徒の皆さんに「ミュージアム・スタート・パック」が渡されます。これは、今後も上野公園にあるミュージアムを活用していく手助けとなる特別な冒険の道具です。

「ミュージアム・スタート・パック」を手に、満足そうな表情で生徒たちは帰路につきました。

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今回のプログラムで印象的だった場面の一つを紹介します。

個別鑑賞が終わり、集合場所であるホワイエに一人早く到着した生徒がいました。

すると直ぐに、彼に気がついたとびラーが話しかけに行きました。二人の会話は弾み、楽しそうな雰囲気でした。

とびラーが常に生徒たちを気にかけ、鑑賞の「伴走」をしようと行動していることが伝わってくる、象徴的な場面の一つだなと思いました。

 

 

【事後学習】

後日、文京区立第三中学校の生徒たちからとびラーへお手紙が届きました。そのうちの一部をご紹介したいと思います。

 

文京区立第三中学校

~とびラーへの手紙より~

  • ●私はお二人から大切なことを学ぶことができました。それは相手の話を聞く姿勢です。みなさんは、私たちの話を聞いているときに話をずらすことなく、また話を否定することもありませんでした。そしてみなさんは私たちの話を想像して、うなずきながら共感してくださりました。このことは、とても重要だと思いました。相手の話を聞くということは、ただ「聞く」だけでなく、その話を「想像」することであると感じました。私もみなさんの姿勢を見習いたいと思いました。また、美術館そのもののイメージを変えてくださりました。美術館といえば静かにしなくてはいけないというイメージが私にはありました。しかし意見を共有することもできるということが分かりました。

 

  • ●本日は僕達の為にコートールド美術館を開館していただきありがとうございました。1つのグループごとにとびラーさんがついてくれて、詳しく説明していただき、とても勉強になりました。学校の授業でやった時は、細かい所までじっくり鑑賞することはできませんでしたが、実際に見て見ると、写真では発見することができなかったものなどがたくさんできました。色彩や筆使い、作者が伝えたかったことがわかったような気がします。《テ・レオリア》(ポール・ゴーガン、1897年)は写真で見るととても不思議な絵でよく鑑賞することができませんでした。実物を見てみるとやはり不思議な絵でしたが写真では見つけることができなかったことがいくつかありました。今回、コートールド美術館展を鑑賞して、美術、絵、美術館への興味を一層広げることができました。僕は大人になったら、フランスに行って、ルーブル美術館へ行くという小さな夢があります。今回の体験で絵の知識を広げることがでいたので、この経験を生かして、これからの人生につなげていければいいなと思います。

 

皆さんのお手紙を拝見し、美術館という場所が生み出すコミュニケーションの豊かさを実感しました。

今回の経験が出発点となって、ミュージアムでのより素敵な体験が皆さんのもとに訪れることを願っています。

 

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執筆|小野暢久(東京都美術館 アート・コミュニーション係 インターン)

多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程芸術学専攻在籍。近現代日本における創作人形を研究。

ミュージアムに訪れる皆さんに素敵な体験をしていただけるよう、サポートします!

 

 

プログラム: スペシャル・マンデー・コース |
投稿日: 2019年11月25日