Facebook

En

活動ブログ

MENU

2019年度 ミュージアム・トリップ

ミュージアム・トリップ:NPO法人キッズドア(2019.8.27)

2019年8月27日、2019年度1回目の「ミュージアム・トリップ」が行われました。
「ミュージアム・トリップ」プログラムは、さまざまな状況にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会をつくるプログラムです。こどもたちの学習を支援している団体や児童養護施設、海外にツールを持つこどもたちを支援する団体など、各分野の専門機関と連携して実施しています。本年度1回目の実施となる「ミュージアム・トリップ」では、貧困など困難な環境にあるこどもたちへの無料の学習支援を行なっているNPO法人キッズドアと連携をして、活動を行いました。

中高生6名とキッズドアの引率者3名と共に、アート・コミュニケータ通称とびラー10名が活動しました。

ミュージアム・トリップに参加するとびラーは、とびらプロジェクトの「アクセス実践講座」に事前に参加し、日本のこどもたちを取り巻く貧困の問題について学び、こどもたちに寄り添い、思いを「聞く」ことを心がけています。

《上野駅で待ってるよ!》
プログラムのはじまりは、JR上野駅公園口改札。とびラーは、ここでプログラムに参加するこどもたちを迎えます。こどもたちやキッズドアの引率スタッフの方たちと挨拶をしてプログラムが始まります。公園口改札から上野公園を歩き、東京都美術館に向かう時間は、お互いに打ち解けあう大切な時間です。公園の景色を見てお話ししながら、一緒に東京都美術館のアートスタディルームに向かいます。

IMG_5605

《はじめに:美術館との出会い》
こどもたちがアートスタディルームに到着すると、Museum Start あいうえのプログラム・オフィサーの渡邊より「上野公園へようこそ!」とキッズドアのみなさんを迎える挨拶をしました。今日はとびラーと一緒に、東京都美術館で展覧会を見て、お昼は美術と音楽の大学 東京藝術大学の学食でランチを食べ、午後は大学を見学します。

IMG_5626

今日、これから見に行く展覧会「伊庭靖子展 まなざしのあわい」についても、話しました。
伊庭靖子さんは、わたしたちの生活の中にある触れたくなるようなモティーフの質感やモティーフのまとう光を描くことで、その景色を表現し続けてきた現代の作家です。今日は、そんな伊庭さんの作品を「目で触れてみよう」という提案をしました。こどもたちの目の前には、これから見に行く作品のアートカードが置いてあります。自分の好みや今の気分で気になる作品のカードを選び、どんなところが気になるのか、触ったらどんな感じなのかをグループで発表して、本物の作品を見る心の準備を整えていきます。それぞれが選んだ作品からお互いを知る、小さなきっかけにもなりました。

《展覧会の鑑賞:「伊庭靖子展 まなざしのあわい」》
展示室に入ると、まずはグループで展示室をぐるっと散歩したら選んであった作品を2つ鑑賞していきます。はじめはそっと遠くから、つぎは作品に近づいて。こどもたちが作品の世界に入り込んでいきます。この日は、「伊庭靖子展」を鑑賞するための特製ツールも用意しました。
ふわふわした布地のタオル、なめらかな質感の陶器、ざらざらした手触りの漆器のかけらなどです。どれも伊庭靖子さんの作品に描かれたモティーフから、鑑賞のヒントになるようにと、用意されたものです。こどもたちととびラーは、それらのツールを手にとりながら、作品を目で見て触って感じとっていきます。

IMG_5652

グループ鑑賞をしたら、こどもととびラーは一人ずつペアになって、こどものペースで気になる作品を見ていきます。とびラーへ積極的に話しかける子だけでなく、二人になった途端に言葉が溢れるように話しかける子、一見ただ歩き回るようだけどポロっと作品について呟いている子など、こどもたちは十人十色。とびラーは一方的に解説をしたり誘導をしたりするのではなく、こどもと一緒に作品を見ながら、その小さな言葉や表情の変化に現れる「本人が感じたこと」を受け止めて、自然な会話の中で作品を楽しむことを心がけます。

IMG_5657

《ランチ:大学の学食で》
ランチをしに、東京都美術館のお隣にある東京藝術大学の学食へ向かいます。夏の公園内の並木道は、青葉がきれいでなんだか心を開放的にしてくれるようです。
大学の学食でのランチは、こどもたちにとっては新鮮な体験です。この日は、様々なお客さんで大賑わう学食の雰囲気を感じながら、「あったかいね!」「おいしいね。」と、みんなでワイワイお話ししながら、ハンバーグのカレーがけプレートを食べました。

IMG_5685

《東京藝術大学ツアー》
午後は東京藝術大学の大石膏室を見学します。東京藝術大学美術学部特任准教授の伊藤達矢先生に大石膏室を紹介してもらい、普段は見られない特別な場所を冒険しました。こどもたちから石膏像について質問が出る場面もあり、こどもたちが自分と年齢の近い大学生のお兄さんお姉さんが生き生き学ぶ雰囲気を味わいながら、「大学ってこんなところなんだ」と知る時間になりました。

IMG_5699

IMG_5701

大石膏室をでると美術学部の講義室へと移動します。階段教室になっている講義室は、なんだかいつもの教室とはちがう雰囲気ですこし緊張した様子のこどもたち。ここでこどもたちを出迎えるのは、東京藝術大学博士課程の原千夏さんと、多摩美術大学修士課程の小野暢久さんです。美術大学で学ぶ大学院生のふたりが、こどもたちのために「どうして大学でその勉強しようと思ったの?」「何を大学/大学院でしているの?」かについて写真を交えながらお話をしました。大学という場所がこどもたちにとって身近に感じられるよう、かつて高校生だったころのお話や進路についての悩みなども、お話は多岐にわたりました。

IMG_5716

IMG_5730

IMG_5719

《一日の記録をまとめ》
最後に東京都美術館のアートスタディルームに戻り、「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼント。一日を振りかえりながら記録を作りました。とびラーも一緒にこどもたちに宛てたメッセージカードを作り最後にプレゼントをして、今日のプログラムを終えました。4時間のプログラムの中で、とびラーもスタッフもこどもたちの小さな呟きや想いを見逃さないように過ごしました。こどもたちが、親でも先生でもない大人「とびラー」と一緒に展覧会や大学を巡る時間をまた思い出してくれたら嬉しいです。そしてぜひ、また上野公園で再会できることを心待ちにしています。

IMG_5756

IMG_5758

 

執筆|Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー渡邊祐子

プログラム: ミュージアム・トリップ |
投稿日: 2019年8月27日