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2020年度 上野へGO!

「上野へGO! ステップ1オンライン」1日目
(2020.8.1)

日時:2020年8月1日(土)

午前 | 10:30-12:00 対象:小学校1年生~3年生

午後 | 13:30-15:00 対象:小学校4年生~6年生、中高生

場所: 東京都美術館アート・スタディ・ルーム(Zoomによるオンライン配信)

進行: 午前 河野佑美(東京都美術館 学芸員)、午後 鈴木智香子(東京都藝術大学 美術学部特任助手)

参加者: こどもと保護者31組62名(午前)、27組47名(午後)、とびラー14名

 


 

今年初めてのファミリープログラムが8月1日から始まりました!

 

春先から感染症が拡大する中、美術館・博物館の運営も困難に直面しています。
しかし「そんな中でもできることがあるはず!」とMuseum Start の運営チームは考え、
新しいスタイルで、当初の予定通り8月1日から今年度のプログラムがスタートしました。

 

その名も
ファミリープログラム「上野へGO!オンライン&リアル」。
学べて楽しいデジタル・ネイティブ世代のためのファミリープログラムです。

 

「上野へGO!」は2つのステップからなります。
STEP1がインターネットを活用したオンライン・プログラム。
STEP2が実際のミュージアムへ出かける全2回のプログラムです。

 

オンラインの良いところと、実際に集まる参加型の学びが効果的にブレンドされている学びのことを教育分野では「ブレンディッド・ラーニング」と呼ぶそうですが、まさにこの「上野へGO!」はブレンディッド・ラーニングと言えそうです。

 

スタッフもドキドキの初日8月1日。
午前・午後と合わせて58組109名の家族が参加しました。
なんと海を越えて上海からの参加者もいて、オンラインならでは。

 

時間になると、ぞくぞくと家族がオンライン越しに集まりました。
オンライン会議システムのZoomを繋ぐのは全く初めての家族は半分ぐらい。
「Zoomでマイク(音声)のオン・オフできるよ!」というデジタルネイディブらしい振るまいのこどもたちもいました。

 

*前日にはZoomの接続に不安のある参加者向けの接続テストの時間を設け、当日は安心して接続できるようにしました。

 

まずは東京都美術館の学芸員の河野さんから、Zoomでのコミュニケーションの取り方や、グループに分かれてみんなで話をしながら絵を見ていくことの説明がありました。

 

Museum Start あいうえののプログラムの特徴はなんといっても
「コミュニケーションが豊か」ということです。
オンラインで豊かなコミュニケーションを実現するためには何が大切か、
企画段階から何日もかけて準備がなされてきました。

 

 

●オンラインでのコミュニケーション

IMG_3264

 

 

「じゃぁみんな、Zoomでやりとりをする準備体操をしていきますよ。」と河野さん。

 

オンラインでは相手の表情や反応は対面よりも読み取りにくく、コミュニケーションに齟齬が生まれてしまう可能性もあります。そのため、オンラインでの画面越しで意思を伝え合えあうための、ジェスチャーの応答練習です。

 

ここで「場」の雰囲気を作り豊かなコミュニケーションのキーとなるのが、アート・コミュニケータ「とびラー」です。

 

「とびラー」は、アートを通して対話する「場作り」をしたり、多様な人々を結びつける「コミュニティをデザイン」するのが得意な大人たち。この日に一緒に活動するとびラー12人は、時間をかけてスタッフと一緒にこの日に向かって準備をしてきました。今日は子供たちと一緒に作品を見るときのファシリテータ(伴走役)をとびラーが担います。

 

「とびらプロジェクトとは?」

 

 

●美術館って?作品を見るってどういうこと?

修正)2020-08-01 (34)_LI (1)

作品画像:フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》(メトロポリタン美術館)

 

こどもたちとジェスチャーの応答練習を経て、次に作品の鑑賞に入っていきます。
でも「さぁ、作品を見ましょう!」と言われても何をどこから見ていいのか・・・と、
難しく構えてしまいがちです。

 

そこで、まずは 見るときのコツを2つ伝授。

 

1)学校で朝顔の観察をしたことがあるかな?
芽、葉、茎、花と隅々まで観察したように、絵を「観察」していきます。
何が描かれているのか、隅々までじっくり観察すること

 

2)透明人間になって、絵の中に自分が入ってみて、その世界について想像してみる。

 

ここで小学校6年生が自分たちの言葉で制作したユニークな1作品1分の音声ガイドを聞き、作品の鑑賞には正解がないこと。絵の知識をいうことが鑑賞ではないことをみんなで確認しました。

 

 

●鑑賞の時間、気づいたことを言葉にしてみる

修正)スクリーンショット 2020-08-01 13.53.39 (1)_LI

【1作品目】
千葉美香《神秘》2017年 「なんでもないない日、ばんざい!」展 上野の森美術館
(会期:2020年7月23日~8月30日)

画面を食い入るように見る子どもたち。画面越しからエネルギッシュな眼差しを感じます。

 

いよいよ鑑賞の時間。
参加者全員が、オンライン会議の「ブレイクアウト」と呼ばれる機能を使って4~5名でオンライン上の小部屋「ブレイクアウトルーム」に分かれていきます。
行ってらっしゃい!
ここから1作品15分ずつ、2作品を30分で鑑賞していきます。
各部屋にはアート・コミュニケータが2名ずつ入り、とびラーと子供達は一緒に作品を見ていきます。まずは数分間じっくりと作品を見たあと、発見したことや気づいたことを言葉にしていきます。

 

“海の中でリラックスをしているようにみえる”

“波が冷たそうで気持ちよさそう”

“波がゼラチンみたい”

“影がお魚みたい!”

“画面の奥の方が深そう。青の色が濃いよ”

 

同じ作品を見ているのに、人によって感じたり想像したりするものが違います。

 

さらにもうひとつの作品を鑑賞しました。

 

修正)2作品目 2020-08-01 14.06.28 (1)_LI
2作品目】
葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川県沖浪裏》 
太田記念浮世絵美術館蔵 「THE UKIYO-E 2020 日本三大浮世絵コレクション」展 東京都美術館
(会期:2020年7月23日~9月22日)

 

2作品目は、知っている子も多く「北斎さん!」と作者の名前を言う子もちらほら。

 

“小さな船に乗って、落ちないように必死につかまっている人がいるよ”
“手前の波が奥の富士山に似ている!”
“波が強そうだから、風も強いんじゃないかな?”
“地震のあとの津波で、船を飲み込んでいるんじゃないかな?”
“白い点々がたくさんあるから、雪が降っているんじゃないかな”

 

作品に描かれている要素だけではなく、そこからストーリーを想像する子も。
とびラーから「どこからそう思ったの?」と聞かれ、子供達は具体的な作品の部分や色合いを指して説明する姿が印象的でした。さらに、「ほかにも気づいたことはない?」と聞かれ、さらに作品を隅々まで観察していると、、、

 

あっという間に鑑賞の時間はおしまい。

メインルームに戻ってグループごとに出た気づきを共有しました。

 

修正)パック紹介2020_08_01

 

そのあとは、次回のSTEP2で使う冒険のツール「ミュージアム・スタート・パック」と、その中に入っているミュージアムでの発見を記録する「冒険ノート」の使い方を聞きました。
そして、最後には画面越しの記念撮影をしてお別れです。

 

修正)スクリーンショット 2020-08-01 11.30.58 (1)_LI

 

 

●画面を超える眼差し

グループごとに分かれての対話を通した作品鑑賞でのそれぞれの様子を見ていると、真っ先に手を挙げて気づいたことを話す子、他の子の気づきに重ねるかたちで新しい発見を教えてくれる子、発言はなかったけれども真剣に画面上の作品を見つめる子など鑑賞の仕方は実にさまざまです。

 

オンラインでは、鑑賞の環境がそれぞれ異なりますが、「みんな見えているかな?何か気づいた?」といったとびラーからの呼びかけは「あなたのことをちゃんと見ているよ」という合図となり、子供達に安心を与えているように感じました。

 

修正)スクリーンショット 2020-08-01G集合写真 (1)_LI

 

展示室という空間の中で集うことができなくても、離れた場所からつながることができるオンラインでの作品鑑賞。参加者全員の「(どのような状況であっても)みんなと作品を楽しみたい!」という気持ちをひしひしと感じました。ジェスチャーや声かけを上手く駆使し、お互いに「コミュニケーションを取り合おう!」という姿勢で向き合えば、画面超しであっても有意義な鑑賞時間を作り出せるのだと実感させてくれるプログラムでした。

 


 

藤本奈七_2

執筆:藤本奈七(東京都美術館インターン)

関西学院大学大学院 文学研究科 博士課程後期課程在学中。大阪府出身。専門は19世紀フランス美術史。アートを介して、多種多様な人々がつながり合える場作りについて関心がある。みなさんと一緒に楽しみながらも、全力でサポートしていきます!

編集:稲庭 彩和子(東京都美術館 学芸員)

 

 

 

 

 

プログラム: 上野へGO! |
投稿日: 2020年8月1日