上野へGO! ステップ1オンライン(2020.12.5)
今年の新しいファミリープログラム「上野でGO!」は、Web会議サービスZoomを使った作品鑑賞と、実際にミュージアムで作品に出会うことを組み合わせた、2ステップのプログラムです。
オンラインとリアルの両方の良いところを組み合わせた「ブレンディッド・ラーニング」という新しい学びの形をデザインしています。
12月5日(土)は「上野へGO! リアル」と「上野へGO!オンライン」が東京都美術館で同日開催されました。
ここでは、「上野へGO! オンライン」の様子をお伝えします。
オンライン上で作品を鑑賞できるファミリー対象のプログラム「上野へGO! オンライン」は、8月、11月にひきつづき、今回で3回目の開催です。
今回の進行は、Museum Start あいうえのプログラム・オフィサーの鈴木智香子です。
プログラムの場づくりは、とびらプロジェクトで活動するアート・コミュニケータ(愛称:とびラー)も担います。
今回のプログラムでも、2つの作品を鑑賞しました。1作品目は、東京都美術館で2021年の1月26日から開催される特別展「没後70年 吉田博展」にて展示予定の《金魚すくい》。2作品目は、東京国立博物館 総合文化展にて2021年の1月から展示中の葛飾北斎の《宝船の七福神》です。
プログラムでは、こども5名ととびラー2名がひとグループとなって、2作品を20分間鑑賞しました。
今回のグループ鑑賞では、みんなからどんな発見や気づきが生まれたのでしょうか?
鑑賞後のふりかえりでは、グループ代表のとびラーが鑑賞中にこどもたちからの発見や気づきを発表してくれました。その一部をご紹介!
【1作品目】 吉田博《東京拾二題 金魚すくい(とうきょうじゅうにだい きんぎょすくい)》1928年 木版、絹 特別展「没後70年 吉田博展」 東京都美術館 (会期:2021年1月26日(火)~3月28日(日))
「金魚すくいの場面で人がいっぱいいるけど、人の表情から、なんとなく楽しそうな感じがしないな」
「着物を着ている人がいるから、江戸時代?昔の作品だと思う」
「昭和3年って書いてある、ずいぶん昔なのかな」
「金魚すくいって子どもがやるイメージだけど、大人も興味津々で見てるから、当時は金魚すくいが珍しかったのかな?」
「金魚すくいの看板があるね。十銭って書いてある。自分が金魚すくいしたときはこんなに人がいなかったのに、この絵の中ではにぎやかだね」
「十銭と書いてる隣に“魚”っていう文字が書いてあるけど、自分の知ってる“魚”の文字と違うな」
「魚釣りしてないのに立っている人は何をしてるのかな。(立っている人とこどもは)じつは親子で、子どもにもうすぐ帰るよって話しかけているのかな?」
【2作品目】 葛飾北斎《宝船の七福神(たからぶねのしちふくじん)》1700年代 木版、錦絵 東京国立博物館 総合文化展(展示期間2021年1月2日 ~ 2021年1月31日)
「上の方にいる人が、小さな家を持ってるよ、なんでだろう?その下にいる人は、髪型とか服装とかから女の人かな。つるを指差して、つるを呼んでるんじゃないかな?文字が書いてるものを持っているから、それにつるを呼ぶ言葉が書いてあるんじゃないかな。」
「網を持っていたりして、釣りをしてる人がいる。」
「船?ボートに乗ってるのかな?おじさんが多い気がするけど、なんでおじさん多いんだろう?波があって危険な場所なのかな?」
「動物がいっぱいいる。鶴、亀、鯛、龍の4つの動物がいるね」
ここに挙げたのは一部ですが、こどもたちが絵を隅々まで観察して、たくさんの興味深いポイントや不思議を発見してくれたことが伺えます。
鑑賞では、自分の発言に対してとびラーやグループ内のこどもたちが共感してくれたり、また違う視点から興味深いポイントを見つけ出してくれたり…、その積み重ねが、より深く絵を観察し味わうという体験にもつながっていきます。
そして、自分の意見を興味深く聞いてくれる仲間たちとともに、自分も周りの人々の言葉にも耳を傾け、違った視点を知り味わうことができる。その体験は、こどもたちにとって、今後の日常生活においても、何か新しい人・ものと出会うとき、様々な多様性を受け入れる姿勢にも繋がり、身の回りの世界を広げてくれるものかもしれません。
最後にみんなで記念撮影!はいチーズ!
オンラインとリアルの2つプログラムで実施している「上野へGO!」。
この日、隣の部屋では、リアル プログラムが行われていました。
コロナ禍でも「Museum Start あいうえの」は豊かな体験を共有しあえるきっかけとなるプログラムを、これからも美術館から届けていきます。
みんなに上野公園で再会できる日を楽しみにしています!
日時:2020年12月5日(土)
午前 | 10:30-12:00 対象:小学校1年生~3年生
午後 | 13:30-15:00 対象:小学校4年生~6年生、中高生
場所:東京都美術館アートスタディルーム(Zoomによるオンライン配信)
進行:午前/午後 鈴木智香子(Museum Start あいうえのプログラム・オフィサー/東京都藝術大学 美術学部特任助手)
参加者:こどもと保護者18組36名(午前)、17組13名(午後)
とびラー:12名
執筆| 金盛郁子(Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー)
投稿日: 2020年12月5日