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2016(平成28)年度 ミュージアム・トリップ

ミュージアム・トリップ:児童養護施設編[1回目](2016.7.22)

7月22日金曜日の夕方、都内のある児童養護施設にアート・コミュニケータ(とびラー)6名とお邪魔しました。今年度からスタートした全2回のインクルーシブ・プログラム「ミュージアム・トリップ」の1回目です。

このプログラムは全2回で構成され、最終目標は、2回目に、施設のこどもたちが上野公園のミュージアムに来訪し、とびラーと一緒に作品鑑賞をしながらミュージアム・デビューを果たすこと!今回はそのための1回目で、こどもたちが、初対面の大人 とびラーと安心した関係性を築くことを目的に、彼らのホームである施設を訪問しました。

「ミュージアム・トリップ」は、経済的・社会的に困難な状況にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会をと、児童養護施設やNPOなどの専門機関と連携し、様々な状況にあるこどもたちを上野公園のミュージアムに招くプログラムです。今回は、「ことばキャンプ」というオリジナルプログラムの実践を通してこどもたちのコミュニケーション能力や自尊心の育成に取り組む、NPO法人JAMネットワーク*さんと連携。
プログラムの1回目では、「ことばキャンプ」ワークショップにとびラーもこどもたちと共に参加することで、こどもたちとの距離を縮めていくことになりました。

*JAMネットワークさんは、東京や神奈川を中心にこれまで多くの児童養護施設での活動実績があり、施設で暮らすこどもたちの現状や社会課題を踏まえた活動を展開されている団体です→http://kotobacamp.com/index.php/profile.html

 

施設に到着し、まず職員の方との打合せを経て、会場でとびラーと待機すること数分。
時間になり、施設で暮らす1年生〜6年生の3名の男の子たちが会場にやってきました。まずはアイスブレーク「バディーを探せ」。名札の片隅に書かれた共通の動物ごとにチームになります。とびラー2名とこども1名の3人チームが3つできました。1回目も2回目も一緒に活動するチームです。

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そして身体を動かしながら初対面の緊張をほぐしていきます。
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進行はJAMネットワークのスガ先生。闊達な声がけで、リズムよく場が展開していきます。
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「ことばキャンプ」のワークを通して、こどもたちは様々な形で発話の機会を得ていきます。自分の好き・嫌いを瞬時に判断するワークや、イラストをことばで伝えるワークなど、自然な形でいつのまにか話している、という状況が至る所で生まれていきます。このような活動を通して、こどもたちが「正解/不正解ではなく自分なりの意見・発見を言っても良い、尊重されている」という経験をすること、そして、とびラーとこどもたちがフラットな関係になり、こどもたちが「とびラーは安全な人だ」と思える関係になることを目指しました。_MG_7920_s

「スモールトーク」というワークでは、“集めているもの(集めていたもの)何ですか?”という共通テーマの下、チーム内でひとりずつスピーチをしました。とびラーは2分、こどもは1分。蟬の脱け殻・古切手と面子・ボタンや小布・ペットボトルのキャップなど、こどももとびラーも、本人の特徴や年代を反映したそれぞれの“集めているもの”エピソードを互いに聞き合いました。
(このテーマ設定は、2回目にミュージアムに出かけることを意識して決めたもので、ミュージアムは、モノを集め、保存し、展示している場所なので、“集める=コレクション”にフォーカスしたテーマ設定でスモールトークを展開しました。)
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最後の15分ほどは2回目への導入として、1ヶ月後の8月24日に上野公園のミュージアムに来てもらうことをMuseum Start あいうえののスタッフからお話しました。

「1ヶ月後、みんなのことを上野にある東京都美術館というところでとびラーと一緒に待っています!美術館というところにはたくさんの作品があって、、」と、展覧会ポスターやチラシを掲示しながら2回目の活動を案内します。東京都美術館の特別展「ポンピドゥー・センター傑作展」を鑑賞することや、鑑賞のときには気がついたことや発見したことをとびラーにどんどんお話しながら見てくださいね、ということなどを伝えました。

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そして「ポンピドゥー・センター傑作展」の出品作品アートカードから、1人2作品、それぞれの「気になる作品」を選びました。アートカードを床に拡げた瞬間、「わ!これ見ていいの??!」とこどもたちは目をキラキラとさせはじめ、真剣に選び始めました。

また、驚いたのが、「気になる作品」を選んだ後、こどもたちが自分のチームとびラーに「なぜこの作品を選んだか」を口々に報告しはじめたことです!「ことばキャンプ」でいろいろな発話トレーニングをした直後だったからかもしれませんが、この自発的に話し始めるこどもたちの姿に、とびラーに対して気持ちを開いてくれていることを感じ、嬉しい光景でした。

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最後に、次回上野のミュージアムに出掛ける時の“必須アイテム”として、ミュージアム・スタート・パックをプレゼント。来月上野の東京都美術館で待っているよ、ということを伝えてさようならをしました。

 

参加したとびラーたちからは、
「ワークごとにみるみるこどもたちの緊張がほぐれ、この短時間にこれだけ関係性が変わるんだ!と驚いた」「こどもの発言がとても面白くて、夢中でそのつぶやきを拾っている内に距離感が縮まった気がした」という声が聞かれました。1ヶ月後、こどもたちをミュージアムに迎えること、再会することが、心から楽しみになるプログラムでした。

 

Museum Start あいうえのプログラムオフィサー
東京藝術大学 美術学部特任助手 長尾朋子

プログラム: ミュージアム・トリップ |
投稿日: 2016年7月22日