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2016(平成28)年度 スペシャル・マンデー・コース

墨田区立第四吾嬬小・文京区立大塚小・荒川区立尾久第六小@木々との対話展(2016.9.26)

2016年9月26日(月)、今年度2度目の「スペシャル・マンデー・コース」が東京都美術館で行われました。

「スペシャル・マンデー・コース」は、展覧会の休室日に特別に学校のこどもたちのために開室してゆったりとした環境のなかで展覧会を鑑賞できる学校向けのプログラム。今回の会場は、開催中の企画展「開館90周年記念 木々との対話展」です。木にまつわる彫刻作品が集まる、現代美術の展覧会。
参加したのは、墨田区や荒川区、文京区など近隣の小学生たちです。

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それぞれの学校の様子について、紹介していきます。

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墨田区立第四吾嬬小学校  5,6年生 50名
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東京都美術館のアートスタディールームに到着したみなさん。まずは全体のご挨拶から今日の活動が始まります。
ミュージアム・スタートあいうえの のプログラム・オフィサーより展覧会の内容についてや今日の活動の流れについて紹介してもらいます。

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次にグループごとになって今日一緒に活動する仲間のアート・コミュニケータ(とびラー)とご挨拶します。こどもたちにとっては初めて出会うおとなたち。とびラーのみなさんは、こどもたちの緊張を和らげるように意識して、声かけをしています。

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活動の仲間のことを知ったら、いよいよグループごとに作品を見に行きます!
今回の展示で唯一ある屋外作品。東京都美術館にずっと前からあるイチョウの木を作品にしたアーティストがいました。

今回は学校より「実際に制作した現代アーティストの存在をこどもたちにぜひ伝えたい」という希望と授業のねらいがあったので、実際に制作に使われた素材を用意しました。こどもたちが手にしているのはこの作品に使われた「コルテン鋼」という素材。実際に持った時の重さや、作品となったときの変化など、目だけではなく触れることによって味わっています。

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どんな作品があるのか展示室全体を把握したあとは、グループ鑑賞の時間です。
ひとつの作品を15分間ほど、グループでじっくり鑑賞します。

複数の視点で見つめることで、ひとりでは気づけない発見や新しい見方をすることができます。

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グループ鑑賞を2作品ほど行い、作品を見ることや展示室の空気に慣れて来たところで、いよいよ今度は「ひとりの時間」です。
この時間は、「自由時間」ではありません。自分が見たいと思う作品を「ひとりでじっくり見る時間」です。

じっくり見るためのツールとして、ひとりずつに「つぶやきシート」を渡しています。
自分が見つけたことや感じたことをメモやスケッチで書き留めることができるシートです。
これによって、こどもたちは友達同士が隣に来ても、静かにじっくり、作品と向き合うようになります。

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展示室での活動が終了した最後に、こどもたち一人一人に「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼントします。
今度は日常生活の中でも、ぜひ美術館に足を運んでもらえるように願いを込めて、渡しています。

最後はとびラーのみなさんと挨拶をして、美術館をあとにしました。

その後、学校では事後学習が行われ、先生からこどもたちがまとめた「冒険の記録」が届きました!
ほんの一部ですがご紹介します!

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先生が、当日こどもたちが書いていた「つぶやきシート 」をコピーして配ってくれたそうです。こうすることで、本物の作品を見て感じたことをそのまま記録に残すことができています。
これからも作品やものを見て発見したことをたくさん書きとめて、冒険の記録をいっぱいにしてほしいと思います!

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文京区立大塚小学校 5年生 25名
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同じく午前中に来館した大塚小学校5年性のみなさん。

「スペシャル・マンデー・コース」では、貸切バスを用意しています。近隣の学校の場合は路線バスを使うこともしばしば。
普段は一般の人たちが乗るバスを貸し切ることができて、興奮気味!

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全体挨拶を終えたら、グループにつくとびラーと自己紹介をします。
今回1グループは5人という少人数のグループでまわります。

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学校で、事前準備もしっかり行ってきたこどもたち。今日は美術館で何をするのかをきちんと理解し、またどんな作品を見るのかを 楽しみにしていたそうです。とびラーのみなさんから「この作品をこれから見に行くよ」と話すと、「あ、学校でそれを見た!」と嬉しそうな反応が返ってきました。

とびラーとの会話が温まって来たら、いよいよ展示室へ向かいます。

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ぐるっと展示室を「散歩」したあとに、グループで作品を鑑賞する時間があります。

今回見られるのは全て立体作品。下から見上げたり、横から見たり、様々な角度や視点から、作品を楽しむことができます。

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この作品を見ていたときに出て来た発言です:

・思っていたよりずっと大きい。
金属の杖みたいなものかひっかかってる
・壊れたライトみたい
・何かの木の実みたい
・きっと作者の手だ!こんな風につっくって角は削ったんだよ
・「巨船」というタイトルだけど船に見えない
・でも真ん中の板の先がとがっていて船の先端と似ている
・このまま(浮かべたら)浮きそう
・なんで金色を付けたのか、赤ではだめなのか
・どれが正解なのか早く教えて~

その言葉、待っていました!
とびラーは、決して「正解」は伝えません。作品に対して一人一人が感じたことや気づいたこと、疑問や問いそのものも、「正解」となります。
2作品のグループ鑑賞を終えたところで、こどもたちは「もっと見たい」と思い始めてきている様子。

ここからは「ひとりの時間」です。
「先ほどまでみんなで見て、一緒にお話ししていたけど、これからは自分ひとりになって、自分と作品との対話の時間です」ととびラーが伝えると、「作品と対話かぁ」とすぐに繰り返してくれていました。

「つぶやきシート」を持って、それぞれが見たい作品のところへ向かいます。

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同級生と同じ作品のところに集まっても、みんなすっかり集中して作品と向き合っています。
ひとりの「つぶやきシート」を紹介します。

大塚小C班-3

 

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今日の活動の最後に、「ミュージアム・スタート・パック」を1人ずつにプレゼント。

東京都美術館で働く学芸員の熊谷さんから、大切なメッセージが伝えられます:
「はじめに。ミュージアムには、人々がずっと昔から守ってきたものやまだ解き明かされていない謎、未来のことまでたくさんのふしぎがつまっている。上野公園には、そんなミュージアムが9つ。ふしぎと共に、きみを待っている。さあ、ミュージアムの扉をひらき、いまと昔、未来をめぐる冒険へでかけよう。」

中には上野公園の地図が書かれており、今日訪れた東京都美術館をはじめ、9つの施設へ出かけるきっかけとなる冒険の道具です。

今日の体験をもとに、次は日常生活のなかでもミュージアムへ出かけるようになることを願っています。

 

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荒川区立尾久第六小学校 6年生 60名
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本日3校目の来館は午後の時間。
上野公園を通り抜けて、東京都美術館へと向かいます。

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「上野公園に来たことがある人?」と尋ねると、ほぼ全員が「は〜い!」と元気よく手を上げてくれました。荒川区の小学校のみなさんにとって、上野公園はとても親しみにある場所だそう。だけど、美術館に行くのは、初めての子がほとんど。

これからどんな作品があるのだろう?こどもたちはとてもワクワクしながら展示室へと向かいます。

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展示室に入る前に、必ず立ち止まってひと呼吸を置くことも大切です。

「ここから展示室に入るよ」というとびラーからの声かけにより、こどもたちの意識はさらに集中力が増します。

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展示室に入ってみると、こどもたちは一斉に感想を話し始めました。

「すごい、木の香り!」「新築のお家の匂いがする」

初めて展示室に入り、そして見たことがない大きな作品を目の前にして、たくさんの言葉が出て来ます。

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グループの時間では、立体作品だからこその楽しみ方をとびラーと一緒に味わいます。

しゃがんで見たり、遠くから見てみたり、正面だけでなく横や後ろ側から見てみたり、、、
1人で見るのとは違い、複数の人と見ることにより、様々な視点や意見を取り入れながら鑑賞を深めていきます。

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さらに、今回は生きているアーティストの展覧会なので、実際にどんな人が作っているのか、どんなものを使って作っているのかをイメージしてもらえるように作品の素材を特別に用意しました。

「これは実際にアーティストさんが作品を作っている最中にできた削りカスなんだよ」

実際の作品には触ることができませんが、実際の素材に手で触れたり、鼻を近づけて匂いを嗅ぎながら、作品の見方がさらに深まっている様でした。

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そうして、たくさんの見方を楽しんだあとは、「ひとりの時間」です。
自分が見たいと思う作品のところへひとりで行き、じっくり鑑賞する時間となります。

先ほどまでとびラーや同級生とお話ししていて賑やかだった展示室も、この時間はしん、と静まります。

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展示室から戻って来たこどもたち一人一人に渡されたのは「ミュージアム・スタート・パック」。

「また上野公園に来てね!」と挨拶をしながら、とびラーとお別れです。

その後、学校の事後学習で、「ミュージアム・スタート・パック」に入った「ビビハドトカダブック」を使った授業が行われました。

こどもたちは展示室での体験を、丁寧にふりかえってくれたようです。いくつかの言葉とともに、ご紹介します:

DSC05926_初めての美術館のコピー DSC05940_静かに行く人は遠くへ行くのコピー

 

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“ぼくは美術館に初めて行ったから、どうせ価値など分からない、と思っていたけど行ってみたらどれも心をこめて作っていて、とてもキレイでした。美術館に行って本当に良かったです。”

 

今日の体験が少しでも、こどもたちにとってより良いものとなり、また美術館や博物館に行ってみよう、と思うきっかけとなったならこれほど嬉しいことはありません。

また上野公園でお会いできるのを、楽しみにしています!

 

(Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー
東京藝術大学 美術学部特任助手 鈴木智香子)

 

プログラム: スペシャル・マンデー・コース |
投稿日: 2016年9月26日