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2018(平成30)年度 スペシャル・マンデー・コース

スペシャル・マンデー・コース:都立白鷺特別支援学校(2018.11.19)

11月19日(月)、学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」が開催されました。

来館したのは都立白鷺特別支援学校に通う高校3年生のみなさんです。
卒業後の進路として全員就労する予定のみなさん、「高校最後の機会として生徒たちを美術館に連れて行きたい」という思いで美術科の先生が申し込みました。

この日は全館休館日。「スペシャル・マンデー・コース」とは、本来お休みである美術館の展示室を学校のために特別に開室する日です。そのため、ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に鑑賞できると好評のプログラムです。

このブログでは、当日の学校の様子を詳しく紹介していきます。

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都立白鷺特別支援学校(高校3年生)

(生徒 12人 引率教員3人 とびラー8人)

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【はじめの挨拶】

_MG_6303_ 加工

 

貸切の路線バスを使用し、 上野公園に到着。
生徒たちは少し緊張した表情で東京都美術館に入館しました。まず最初に展示室の入口であるホワイエに集合し、はじめの挨拶を行いました。

これから行う活動について、これから見に行く展覧会「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」について、そして守ってほしいお約束について伝えました。

そして、今日は生徒たちと一緒に活動する仲間がいます。
美術館の楽しみ方を知っている大人の人たち、“とびラー”(アート・コミュニケータ)のみなさんです。
生徒3人のグループにとびラー2人が付き、展示室での活動を支えます。

このはじめの挨拶の時間で自己紹介もでき、少しずつ打ち解けていきました。

 

【展示室散歩】

展示室に入った各グループ。まずは展示室全体を”お散歩”するように、めぐります。

生徒たちは来館する一週間前、学校の事前学習で、ムンク展のアートカードを活用した授業を行いました。
一人ずつ気になる作品を選び、その理由を書く授業だったそうです。実際に会場で、その本物の作品を見つけると「あっ」と声をあげて近づいてみたり、みんなで少し立ち止まってお話ししたりする姿がありました。

ほとんどの生徒の人たちにとっては初めての美術館。
とびラーとお話ししながら20分程度かけてゆっくり歩き、展示室の雰囲気に徐々に慣れていきました。

 

【グループ鑑賞】

展示室をぐるっとめぐったあとは、複数のメンバーで一つの作品を見る、グループ鑑賞の時間です。

_MG_6322

まずはひとりずつがじっくり1分間、話さずに作品を見つめます。

_MG_6326

その後、とびラーが進行役(ファシリテーター)となり、みんなでお話ししながら15分程度、見ていきます。

_MG_6340 _MG_6351

それぞれの発言の中には、作品を見て気づいたことや感じたことなどが含まれています。とびラーは、その一つ一つの発言を丁寧に聞き、ひとりずつが参加している状態をつくることを意識しています。

複数で一つの作品を見る体験を経て、生徒たちは自分ひとりでは気づけない視点があること、そして多様なものの見方があることを学びます。

 

【個別鑑賞の時間】

グループ鑑賞の作品を2作品、30分かけてお話をしたあとは、ひとりになる時間です。

_MG_6359

この時間は、ひとりずつが「つぶやきシート」と会場マップを持って、自分の見たい作品をじっくり見に行く時間です。

事前学習で選んだ作品や当日気になった作品を20分間の間に見に行き、作品と向き合うことができます。
自分たち以外のお客さんがいない展示室は、先ほどまで打って変ってしんと静か。自然と集中力が高まります。

生徒たちが書いた「つぶやきシート」を一部紹介します。

D班(ドラッグされました) B班(ドラッグされました)

作品を見ながら、気になる部分をじっくりスケッチしたり、学校でアートカードを見たときではわからなかった部分に気づくことができたり。とびラーやグループのメンバーと一緒に近づいて見たり遠ざかって見たり、様々な視点で見ていた経験があったからこそ、ひとりで見る時にもそれを実践していたことがわかります。

先生も、当日の生徒たちの様子をこのように振り返っています:

初めは緊張していましたが、しばらくすると事前学習で見たことのある絵を発見したり、とびラーさんと打ち解け、学校では考えられないくらい作品に対して発言していました。
鑑賞の手がかりを引き出してくださり、生徒たちは真剣に考え、発言していたと思います。
本物の作品の力、美術館という場所の力にも感じ入った次第です。

 

【最後の挨拶】

充実した90分を終え、生徒たちは再びホワイエに集まりました。

そこで手渡されたのが『ミュージアム・スタート・パック』。
参加者のこどもたち全員に渡している、上野公園のミュージアムが楽しくなる冒険の道具です!

その中身は、上野公園の9つの文化施設を紹介する内容が書かれたガイドブック機能の「ビビハドトカダブック」と自分の記録を作る「冒険ノート」など、今日の活動の延長線上に使うことができる教材となっています。また、『ミュージアム・スタート・パック』を持って各施設をめぐると、9つのオリジナルバッジを集めることができます!

最初に到着したときより、ずっと和やかな表情になっていたみなさん。
《叫び》と同じポーズをして全員で集合写真を撮り、名残惜しそうにお別れをしました。

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「ありがとうございました!」

「こちらこそ、ありがとうございました。また上野公園でみなさんを待っています!」

とお別れの挨拶をして、この日の活動は終了しました。

約2週間後に行った事後学習では、冒険ノートと報告新聞を作成したそうです。
その様子について、先生が事後アンケートでこのように書いていました:

この絵は何とかだ、タイトルはこうだった、と学習した事や思った事を話しながら、事前の時よりスムーズに冒険ノートに感想を記入していました。

当日美術館で充実した体験をしているからこそ、事後学習でも豊かにスムーズに言語化できていたようです。

さらに、その週末には、さっそく5人の生徒たちが一緒に『ミュージアム・スタート・パック』を持って上野公園に出かけてバッジを集めたそうです!

 

このように、事前学習から先生と共に準備を重ね、当日はとびラーとの対話を通して美術館での体験があり、事後学習でその体験を振り返り深める、という一連の流れを作ることができました。

当初のねらい通り、これから社会に出て行く彼らにとって、週末に出かける先の選択肢のひとつとして「美術館に行ってみよう」と思えるきっかけを作ることができたなら幸いです。

 


 

 

鈴木智香子|Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー

 

プログラム: スペシャル・マンデー・コース |
投稿日: 2018年11月19日