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2018(平成30)年度 スペシャル・マンデー・コース

スペシャル・マンデー・コース:台東区立金曽木小学校(2018.12.3)

12月3日(月)、学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」が行われました。

「スペシャル・マンデー・コース」は、東京都美術館の展覧会休室日である月曜日に、学校のためだけに特別に開室する日に開催されます。ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に、対話をしながら鑑賞をする特別なプログラムです。

 

この日は、午前中に台東区立金曽木小学校と文京区立柳町小学校の2校、午後に文京区立文林中学校が参加しました。

このブログでは、台東区立金曽木小学校の4年生70名の活動の様子を紹介していきます。

こどもたちは、美術館でどのような時間を過ごしたのでしょうか。

 

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★台東区立金曽木小学校4年生 

(児童70人 引率教員4人 とびラー14人)

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【活動スタート:全体あいさつ】

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黄色い銀杏の葉が落ちる、少し肌寒い上野公園にやってきたこどもたち。

学校外の活動ということで、少し緊張した面持ちでしたが、バスから東京都美術館までクラスごとにきちんと整列して入館しました。

 

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ホワイエで、本日の活動をサポートするとびラーと出会います。

今回は東京都美術館で開催中の特別展「ムンク展―共鳴する魂の叫び」を鑑賞します。

普段はたくさんの人で溢れかえっているこちらの特別展も、本日はこどもたちだけの貸し切り状態で見ることができます。

展示室に入る前に、Museum Start あいうえの プログラム・オフィサー 鈴木智香子さんから、ムンク展についてのお話や美術館マナーの説明がありました。

 

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「これから展示室という、ムンクの本物の作品が飾られた部屋に入ります。そこで守ってほしい、美術館でのお約束があります。覚えている人はいますか?」という鈴木さんの質問に、元気に手を挙げる子どもたち。

「大きな声で話さない・ゆっくり歩く・作品に触らない」

きちんと自分たちの言葉で答えられていました。

「学校ではA4サイズのアートカードを見て自分のお気に入りを選んできたと思うけれど、その本物の作品が展示室で飾られています。ぜひそれらを見て、色や絵の具の表情など、じっくり見てきてください!」

こどもたちは学校で行ってきた事前学習の内容を思い出しながら、展示室への興味をふくらませます。

 

【展示室散歩】

グループに分かれて、それぞれの班を担当するとびラーと自己紹介をしたあとは、いよいよ展示室へ。

まずは、展示室を”お散歩”するようにぐるっと歩き回ります。

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こどもたちは、事前学習で気になる作品を選んで来ているため、それを探しながらめぐります。

「気になった作品はどれかな?」

「○○さんが注目した作品はこれだね」

とびラーの声かけで、子どもたちは少しずつ展示室の空間に慣れていきます。

展示室は、地下1階(ロビー階)から2階までの3フロアがあり、壁の色や照明の明るさ・暗さにもこだわって設計されています。
「突然暗くなった!」と、発見する子もいました。

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また、ムンクの作品の中には、木版画やリトグラフの作品もあるので、絵画と立体的な素材の違いを味わうこともできます。

気になった作品の前で、思わず足が止まってしまう・・・その前に、さっとすべての階を見て回ります。

 

【グループ鑑賞の時間】

展示室の空間全体を体感したあとは、グループごとに一つの作品をじっくり鑑賞する時間に入ります。

とびラーの進行で、こどもたちは気づいたことや発見したことを言葉にしていきます。

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「この作品のどんなところが気になった?」

金曽木小学校のこどもたちは、作品に興味を持ち、手を挙げてたくさん発言をしていました。

とびラーは、ファシリテータとして、こどもたちが発言しやすい雰囲気を作ります。こどもたちから出た言葉を言い換えたり、一人の意見をグループ全体に共有したりします。

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《叫び》の作品の前で、座って作品を鑑賞するこどもたち。
グループの仲間やとびラーと一緒に見ることによって、考えが整理され、理由を言葉にしやすくなります。アートカードなどの印刷物ではなく、実際に絵の前で鑑賞することによって、作品の細かな部分が見えてきたようです。

「夕焼けの海の音がうるさくて、耳をふさいでいるように見えた」

「叫んでいる人の目が消えていたことが、こわいと感じた」

「空と地面が混ざっていて、不思議な世界を表していた」

など、様々な気づきがありました。

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立って見るだけではなく、作品に近づいたり離れたりするなど、身体を動かし距離を変えながら見ることで、作品の感じ方が変わってきます。

実際の作品の大きさや、絵の具の鮮やかさを見て、こどもたちは驚いている様子でした。

また、「とびラーさんは意見ないですか?」と、とびラーの見方を聞いてきたこどももいたそうです。このようにとびラーは、親でもない、先生でもない大人として接し、グループの仲間として関わります。このように一緒に作品を鑑賞していくなかで、こどもたちは大人もこどもも関係なく多様な見方や考え方があること、そしてそれを楽しむことを体験していきます。

 

【ひとりの時間:作品と向き合う】

グループ鑑賞を終わると、次はひとりで作品を見る時間です。

こどもたちは、会場マップと「つぶやきシート」をはさんだボードを持って、それぞれが選んだ作品のもとへ向かいます。

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グループ鑑賞の時間にみんなで意見を出し合ったあとは、一人で静かに考えを深めます。

こどもたちは、作品の前に立ち止まり、集中して「つぶやきシート」に気づいたことをメモしたり絵をスケッチしたりしていました。

「みどりに少しだけ赤やピンクが混ざっていた」

「波が揺れているような線で描かれていた」

筆のタッチや、色の混ざり方など、本物を見ることによって気づくことのできる細かな部分に注目し、一生懸命書き込んでいました。また文末に、その様子を詳しく紹介したいと思います。

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【おわりに:「ミュージアム・スタート・パック」をプレゼント!】

展示室での鑑賞の時間が終わり、それぞれが集合場所に戻って来ました。

先ほど座っていた椅子の上には、『ミュージアム・スタート・パック』が置かれています。

このパックには、上野公園のミュージアムを楽しむためのヒントがたくさんつまっています。

パックの中に入っている「冒険ノート」には、今日と同じように、美術館や博物館で感じたことや気になったことを書くことができます。チラシを切って画像を貼ったり、スケッチや言葉で表現したりするなど、自分だけの冒険の記録として残すことができます。

今日の活動の延長に、今度は日常の時間でもミュージアムに来て、「自分のお気に入り」を見つけたり、それについて気づいた「つぶやき」をまとめたりすることができるようになります。

『ミュージアム・スタート・パック』の使い方を鈴木さんから教えてもらったあと、最後はみんなで元気に挨拶し、本日の活動は終了しました。

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展示室で作品を見て、こどもたちはどのような気づきができたのでしょうか?

こどもたちの「つぶやきシート」を、いくつか見てみましょう。

つぶやきシート つぶやきシート2

 

(左)
 よくみると、りったいてきに、なっていました。
 色は色でも、こいものやうすく、つよくかかれているのがすごかったです。

(右)
リンゴのきの方へむかってくる人はリンゴを食べようとしていると思った。(中略)

 リンゴは青リンゴなのかまだじゅくしていないリンゴなのかがきになる。

 

こどもたちはグループ鑑賞の時間に、作品について気づいたことや発見したことを仲間と言葉にして共有しました。ここで「作品を見て自由に話す」経験をしたことによって、一人で作品を鑑賞する時間に、感じたことをそのまま書き留めることができました。
事前学習で注目したポイントが、実際に本物の作品を目にしたときの大きな気づきにつながっていることが分かります。

作品とじっくり対話したり、普段出会うことのない人と繋がることができるのは美術館・ミュージアムでしかできない体験です。

このようなミュージアムでの体験をきっかけに、「ミュージアム・スタート・パック」を持って、また上野公園に来てくれることを願っています。

 


 

原千夏 | Museum Start あいうえの アシスタント

 

 

 

プログラム: スペシャル・マンデー・コース |
投稿日: 2018年12月3日